胃けいれん(胃神経症)

胃けいれん(胃神経症)

胃けいれんの原因
急な胃の痛み、その治療法と対策

「みぞおちが、
突然キリキリと差し込むように痛む…」
「一度痛みが始まると、

冷や汗が出て体を丸めてうずくまるしかない…」

上記のような発作的に起こる急激な胃の痛みを、一般的に胃けいれんと呼びます。現代では胃神経症といわれることもあり、その痛みは軽いものから、時にはショック状態になるほど激しいものまで様々です。

この記事では、つらい胃けいれんがなぜ起こるのか、その原因と症状、そして東洋医学に基づく鍼灸治療によるアプローチや、発作時の対処法について詳しく解説します。

【目次】

  1. 胃けいれん(胃神経症)とは?~その原因と症状~
    • 胃けいれんの主な症状
    • 胃けいれんを引き起こす様々な原因
    • 【重要】 まずは専門医による正確な診断を
  2. 胃けいれんに対する鍼灸治療
  3. 発作時の対処法と日常生活での注意点

1.胃けいれん(胃神経症)とは?
~その原因と症状~

胃けいれんの主な症状

胃が痛む男性

胃けいれんの発作は、みぞおちから脇腹、おへその上あたりにかけて、急激な痛みが起こるのが特徴です。 その痛みは2~3分で治まることもあれば、長い場合には1時間から2時間続くこともあります。 痛みが出ている間は、横になって背中を丸め、膝を曲げて太ももでお腹をおさえるような姿勢になり、冷や汗を流して苦しむ方も少なくありません。吐き気や嘔吐を伴うこともあります。 けいれんの発作が治まれば、何事もなかったかのように平常に戻るのも特徴の一つです。

胃けいれんを引き起こす様々な原因

胃けいれんの原因は多岐にわたります。背景に以下のような病気が隠れていることがあるため、注意が必要です。

  • 消化器系の疾患
    胆石症、胃・十二指腸潰瘍、急性胃炎など
  • その他の疾患
    脳や脊髄の病気、婦人科系の疾患、寄生虫(アニサキスなど)

しかし、多くの場合、胃を支配している神経が何らかの原因で異常に高ぶり、胃の壁を構成する筋肉が過度に収縮することで、けいれんが起こります。 特に、精神的な要因は見逃せません。一般的に、神経質で繊細な方や、体力がなく疲れやすい体質(無力性体質)の方に多く見られる傾向があります。

診断のヒント
けいれんが続いた時間、食事の時間との関係(食前か食後か)、痛みの種類、吐いたものの内容などを記録しておくと、医師が診断する上で良い参考になります。

【重要】まずは専門医による正確な診断を

胃けいれんは、上記のように様々な病気が原因となっていることが多いため、その原因が何であるかを明らかにすることが非常に重要です。 そのためには、必ず医療機関(内科、消化器内科など)を受診し、専門医による正確な診断を受けることが最優先です。

ひごころ治療院では、医師の診断を尊重し、特にストレスや自律神経の乱れといった精神的な要因からくる胃けいれんに対して、鍼灸治療が優れた効果を発揮すると考えています。

疲れ、だるさ
心身症
慢性胃炎

2.胃けいれんに対する鍼灸治療

鍼灸が胃けいれんに効果的な理由

  • 鎮痙・鎮痛効果
    鍼や灸の刺激により、けいれんしている胃の筋肉の異常な収縮を緩め、激しい痛みを和らげます。
  • 自律神経の調整
    ストレスや疲労で乱れた自律神経のバランスを整え、胃を支配している神経の過度な興奮を鎮めます。
  • 血行促進
    腹部や背中のツボを刺激し、胃腸への血流を改善することで、胃の機能を正常化するのを助けます。
  • 内臓機能の調整
    東洋医学では、胃けいれんを「肝」や「脾」といった他の臓腑との関連で捉えます。全身のバランスを整えることで、根本的な体質改善を目指します。

症状緩和に効果が期待できる主要なツボの例

胃けいれんの症状や体質に合わせて、以下のツボを中心に施術します。

背部 「膈兪かくゆ」、「肝兪かんゆ」、「胆兪たんゆ
   「脾兪ひゆ」、「胃兪いゆ
腹部 「巨闕こけつ」、「不容ふよう」、「中脘ちゅうかん
手部 「合谷ごうこく
足部 「足三里あしさんり」、「三陰交さんいんこう

具体的な鍼灸治療法(鍼と灸)

  1. まず、うつ伏せの状態で、背中にある「膈兪」、「肝兪」、「脾兪」、「胃兪」といった、内臓機能と深く関連するツボを刺激します。これにより、背中全体の緊張も取れてきます。
  2. 次に、仰向けになっていただき、腹部の治療に移ります。みぞおちの「巨闕」、その下の「中脘」、肋骨際の「不容」や「鳩尾きゅうび」などを刺激します。
    • 痛みがひどい場合
      無理に腹部の治療は行わず、まず背中の「胃兪」をしっかりと刺激します。「胃兪」は文字通り、胃の不調に直接的に効果が期待できる重要なツボです。背中の刺激で痛みが少し楽になってから、腹部の治療を行います。
  3. けいれんが落ち着いてきたら、手足のツボで仕上げの治療を行います。手の「合谷」、足の「足三里」、「三陰交」は、胃腸の調子を整え、痛みを和らげる上で非常に重要なツボです。

お灸の活用
胃けいれんには、鍼治療だけでなく、お灸(灸治療)も非常に効果的です。心地よい温熱刺激が、筋肉の緊張を和らげ、神経を鎮めます。半米粒大から米粒大のもぐさで、1カ所に3~5壮程度行います。スライスしたニンニクやショウガの上でもぐさを燃やす隔物灸かくぶつきゅうも、胃を温め、働きを高めるのに有効です。

痛む場所別の追加アプローチ
(東洋医学の視点)

  • 右上腹部が痛む場合
    この場合、肋骨の縁に沿って、みぞおちから脇腹にかけて、押すと苦しいなどの不快な症状(腹証)が見られることがあります。(漢方ではこれを胸脇苦満きょうきょうくまんといいます。) 東洋医学では、これは「かん」の機能異常があると考え、胃や胆のうの不調も疑います。 その場合は、治療として肝の経気が集まるツボである「期門きもん」や、胃のツボである「不容ふよう」が重要な治療点となります。背中の「肝兪かんゆ」、「胆兪たんゆ」、「脾兪ひゆ」、「胃兪いゆ」や、、手では「曲池きょくち」、「手三里てさんり」、足では「三陰交さんいんこう」、「解渓かいけい」も併用します。
  • 左上腹部が痛む場合
    このあたりに痛みが出る場合は、現代医学でいう胃や膵臓、脾臓の病気の可能性も考えられます(医師の診断が必要です)。 ツボ治療を行うのであれば、肋骨下部の「期門きもん」の他に、脾の経気が集まる「章門しょうもん」がポイントになります。 もし、へそに近い部分が痛むときは、「中脘ちゅうかん」、「天枢てんすう」、「梁門りょうもん」などを処置します。背中や手足のツボは、右上腹部の場合と同様の「肝兪かんゆ」、「胆兪たんゆ」、「脾兪ひゆ」、「胃兪いゆ」などのツボを用います。

3.発作時の対処法と日常生活での注意点

胃けいれん発作時の呼吸に合わせた刺激法

胃けいれんの発作時に、お腹のツボを刺激する(または指圧する)際は、患者様の呼吸に合わせるのがコツです。

  1. 患者様にゆっくりと息を吸い込んでもらいます。この時は刺激しません。
  2. 息を徐々に吐きながら、ツボに優しく圧を加えていきます。
  3. 完全に息を吐き終えたタイミングで、少し強めにグッと刺激します。

このように呼吸に合わせて刺激を加えると、身体の緊張が抜け、患者様にとって心地よい、効果的な刺激となります。

日常生活での注意点

  • ストレス管理
    胃けいれんは神経質な方に多い傾向があります。意識的にリラックスできる時間を持ち、規則正しい平穏な生活を送るように心がけましょう。
  • 食事
    暴飲暴食を避け、消化の良いものをよく噛んで食べましょう。刺激物や冷たいものの摂りすぎにも注意が必要です。
  • 身体を冷やさない
    特に腹部を冷やさないように気をつけましょう。

ひごころ治療院では、あなたのつらい症状の原因を丁寧に見極め、最適な治療法とセルフケアをご提案します。急な胃の痛みでお悩みの方は、まず医療機関を受診された上で、ぜひ一度ご相談ください。

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