慢性関節リウマチの原因 ー鍼灸治療の効果
症状
慢性関節リウマチは、膠原病といわれる病気の一つで、関節だけではなく全身の病気であります。
人間の体には、内臓の壁をつくったり組織のすき間をうめたりする結合組織があります。この組織をつくっている線維の主体を膠原繊維といいます。
この結合組織が腫れて熱をもって痛むのが膠原病です。
関節リウマチの原因は、ウィルス説、自己免疫説などいろいろありますが、まだ定説はありません。扁桃の感染巣がリウマチ因子をつくるのではないかという説もあります。
いずれにしても、朝起きたときに指が動きにくい、こわばるといった症状が関節リウマチの初期症状であり、左右の関節が対象的におかされて、痛みが繰り返し起こり、持続的に痛むこともあります。
そして、病気の進行は大きな関節に進んでいきます。すなわち、指から手、ひじ、足、ひざというように痛んでいくのであります。
全身症状としては、何となく元気がなく痩せ、食欲不振、貧血などの症状が見られます。手足の冷え、腰痛、便秘、不眠などもみられます。
症状は一進一退で慢性の経過をたどり、関節の部分が固まって節くれ立ち、いわゆるリウマチ結節になります。
この病気は天候に非常に関係が深く、季節の変わり目や湿気の多いときに、特に痛む傾向があります。
そして、罹患しやすいのは20才以上の女性で、女性患者は男性患者の3倍といわれています。慢性症状になると回復は難しくなります。
治療効果をおさめたときは“緩解”という用語を用いるのが普通でありますが、現代医療で難治とされる慢性関節リウマチは、全治する例は非常に少ないのであります。
しかし、東洋医学療法を用いますと、緩解する例があります。東洋医学療法は、それが漢方であっても、鍼灸治療であっても、病気そのものより、病人を診ることが前提の治療法であるからです。
したがって、東洋医学療法は関節リウマチのように、全身の結合織という組織が炎症にかかる病気であり、全身にわたって関節にも、内科的にもいろいろな症状が出てくる病気で、しかも気候や気象に左右され、慢性の経過をたどる病気には適している療法であります。
関節リウマチの治療に、現代医学的治療と鍼灸治療を併用して、臨床検査の結果からも効果が実証され、学会にも多く報告されています。その後も多くの追試もなされています。
鍼灸治療を行うと、特に朝のこわばり、頭重、肩こり、不眠、手足の冷えなどが消え、食欲も出て体重が増えるなど顕著な効果を示します。
痛む関節だけを対象とせずに、全身の血液循環をよくすることに主眼を置き、病人の訴える体の不調を整えます。
これが鍼灸治療のねらいであり、効くポイントであります。医師の治療と並行して行うと、一層効果があります。
鍼灸治療
主要なツボ
基本的なツボとして
背部 「肝兪」、「脾兪」、「腎兪」
腹部 「中脘」、「天枢」、「大巨」
手部 「曲池」、「尺沢」、「曲沢」、「陽池」、「陽渓」、「大陵」
足部 「膝眼」、「解渓」、「太渓」
などが挙げられます。
治療法
関節リウマチの本隊が、全身の結合組織を侵す病気であるため、患者は節々の痛みや腫れとともに、疲れやすさ、食欲不振、便秘、不眠、頭痛などを訴えるものであります。
鍼灸治療のねらいは、こうした全身症状の軽減することで、それぞれの症状に対するツボを活用した治療をすることが大切であります。そして、患者さんの全身の血液循環を改善することもポイントになります。
そこで、まず患者さんにとって最も痛む関節周囲のツボを刺激します。そして、体の機能を高め、調子を整えるために上記の背中やお腹のツボを、関節の痛む場所にかかわらず、必ず刺激します。刺激量には細心の注意はしなければいけません。
灸治療をする場合は、上記のツボやその周辺で圧痛やコリのあるところを選択して、1日1回、米粒大のもぐさを各3壮ずつすえます。
免疫学から考える慢性関節リウマチ
慢性関節リウマチ(RA)の患者の末梢血では、リンパ球の減少とともに顆粒球の増多が必ず認められます。さらに、RA患者の関節液中の炎症細胞の実に95%以上が顆粒球であり、残りの5%も胸腺外分化T細胞(ヒトではCD57⁺T細胞)がほとんどです。
このようにRAも他の自己免疫疾患と同様に、基本は免疫抑制であり、リンパ球が減る代わりに顆粒球が増加して、顆粒球の炎症になっています。
顆粒球は周りに細菌があると化膿性の炎症をつくりますが、無菌状態では組織破壊の炎症となります。放出する活性酸素による組織障害です。
安易な投薬は病気を治りにくくする
このような顆粒球の炎症に、NSAIDsやステロイドを投与(貼り薬も含みます)しているのが現状です。もし、RA患者が、これらの薬剤の使用を停止しますと、関節に激しい発赤、発熱、痛みが生じます。しかし、これは血流回復によるもので、治癒反応なのです。あらかじめ、患者にこの現象を詳しく説明することによって、間違った治療を止めて病気から逃れることができます。
NSAIDs使用だけだった場合は、発赤や痛みが2~3日続いた後に治癒に至ります。時々ぶり返しますが、間違った治療のときのような深刻さはありません。
ステロイドを使用していた場合は、長い期間、発赤と痛みの発作が繰り返します。これは1年余り続くこともありますが、間違った治療からの脱却の過程です。いずれは、酸化コレステロール刺激による冷えの苦しみや絶望などの心の苦悩からも抜け出すことができます。
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