胃けいれん の原因 ー急激な痛みとその治療法と対策
【目次】
1.胃けいれん(胃神経症)の原因と症状
2.胃けいれん(胃神経症)の鍼灸治療
・主要なツボ
・治療法
・胃けいれん発作時の対処法
・右上腹部が痛む場合
・左上腹部が痛む場合
胃けいれんの原因と症状
胃に起こる様々な症状の中でも、特に発作的にくる急激な痛みを胃けいれんといっています。今日では胃神経症といわれていますが、痛み方には、軽いものから激しいショック状態になるものもあります。
胃けいれんの時間も、2~3分から、長い場合になりますと1時間も2時間も、みぞおちから脇腹、へその上にかけて痛み、患者は横になって背を丸め、ひざを曲げて太ももで脇腹をおさえるような格好になり、冷や汗を流して苦しみます。吐き気や嘔吐を伴うこともあります。けいれんが治まれば、平常に戻ります。
原因は、胆石、胃・十二指腸潰瘍、脳や脊髄の病気、寄生虫、婦人科の疾患など色々あります。また、精神的な要因も見逃せません。
一般に神経質、無力性体質の人に多く、何らかの原因によって胃をめぐる神経が異常に高ぶり、胃の壁をつくる筋肉が収縮したときにけいれんが起こります。
このけいれんが続いた時間、食事時間との関係、痛みの種類、どんなものを吐いたかなどの記録は、診断のよい参考になります。
胃けいれんは、上述のように様々な病気に原因を発していることが多いので、その原因がなんであるかを明らかにすることが重要で、そのためには医師の診察が必要であります。
精神的な要因からくる胃けいれんなら、ツボ刺激は効果があります。
胃けいれんの鍼灸治療
主要なツボ
などが中心となるツボです。
治療法
うつぶせで、背中の「膈兪」、「肝兪」、「脾兪」、「胃兪」を刺激します。背中の緊張もとれます。
次にあおむけで、「巨闕」、「不容」、「中脘」、「鳩尾」を刺激します。
痛みがひどい場合は、無理に腹部の治療を行わず、「胃兪」をしっかりと刺激します。「胃兪」は文字通り、胃に直接効くツボです。
「胃兪」の刺激で楽になったら、腹部の治療を行います。
けいれんが落ち着いたら、手足のツボを治療します。中でも、「合谷」、「足三里」、「三陰交」は重要なツボであります。
鍼灸治療は非常に効果的であります。
胃けいれん発作時の対処法
胃けいれんの発作時、お腹のツボを施すときは、息を吸い込んだときは刺激しないで、徐々に息を吐きながら刺激し、完全に息を吐き終えたときに少し強めに刺激するのがコツです。このように、患者の呼吸に合わせて刺激しますと、患者にとって爽快な刺激感となります。
胃けいれんは、神経質な人に多いので、リラックスした生活を送るようにアドバイスします。
右上腹部が痛む場合
この場合、肋骨弓に沿ってみぞおちから季肋部にかけて、自覚的、他覚的に苦痛などの不快な症状が有るか無いかが問題になります。この腹証(漢方ではこれを胸脇苦満といいます)があれば、東洋医学では肝の臓の異常があると考えます。また、胃や胆のうにも不調があるとも考えられます。
その場合は、治療として肝の経気の集結するツボの「期門」が重要なツボで、あわせて胃のツボである「不容」も治療します。
背中では「肝兪」、「胆兪」、「脾兪」、「胃兪」、手では「曲池」、「手三里」、足では「三陰交」、「解渓」を処置します。
左上腹部が痛む場合
ここに痛みの症状が出る場合は、現代医学でいう胃や膵臓、脾臓の病気の場合あります。医師の診療が必要ですが、ツボ治療を行うのであれば、季肋下部の「期門」の他に、脾の経気の集結するツボの「章門」がポイントになります。
左上腹部といってもヘソに近い部分が痛むときは、「中脘」、「天枢」、「梁門」を処置します。背中は上記の右上腹部の場合と同じで、「肝兪」、「胆兪」、「脾兪」、「胃兪」、手足も同様のツボを治療します。
背部 「膈兪」、「肝兪」、「胆兪」
「脾兪」、「胃兪」
腹部 「巨闕」、「不容」、「中脘」
手部 「合谷」
足部 「足三里」、「三陰交」