鍼治療

鍼治療 とは

鍼治療はりちりょうは、身体の特定の部位(経穴、いわゆるツボなど)に極めて細い鍼を刺入または接触させることで、身体や内臓のバランスを整え、様々な症状の改善や健康増進を目指す東洋医学の伝統的な治療法の一つです。この治療法は、数千年の歴史を持ち、古くから多くの人々に活用されてきました。

鍼治療の効果が期待できる症状

鍼治療は以下のような幅広い症状に対して効果が期待できます。

  • 痛みやコリの緩和
    肩こり、首のこり、腰痛(ぎっくり腰・慢性腰痛)、関節痛、頭痛、五十肩など
  • 神経系の症状
    神経痛(三叉神経痛、坐骨神経痛、肋間神経痛など)、しびれ、めまい、耳鳴りなど
  • 消化器系の不調
    食欲不振、胃もたれ、便秘、下痢、過敏性腸症候群(IBS)など
  • 婦人科系の悩み
    生理痛、月経不順、PMS(月経前症候群)、更年期障害、冷え性、むくみ、妊活サポート、逆子治療など
  • その他
    不眠症、自律神経の乱れ、ストレス軽減、慢性疲労、眼精疲労、アレルギー症状(花粉症など)、美容(美容鍼)など

より詳しい適応症については、こちらのページもご参照ください👇

鍼治療のメカニズム

鍼を身体に刺入または接触させることで、主に以下のような働きが体内で起こり、症状改善に繋がると考えられています。

1.免疫力調整効果
白血球の増加や免疫担当細胞の活性化を促し、身体が本来持つ自然治癒力を高める効果が期待されます。

2.鎮痛効果
痛みを抑制する脳内物質の分泌を促し、痛みの伝達をブロックします。

3.血行促進効果
鍼刺激により血管が拡張し、局所および全身の血液循環が改善され、筋肉の緊張緩和や発痛物質の排出を促します。

4.自律神経調整効果
交感神経と副交感神経のバランスを整え、内臓機能の調整や精神的な安定をもたらします。

鍼の起源

鍼治療の起源は古く、最も原始的な鍼の器具は「砭石(へんせき)」といわれています。これは石を鋭く尖らせたり、磨いたりしたもので、皮膚や筋肉への刺激、切開、瀉血などに用いられていたと考えられています。 太古の時代、人々は生活の中で怪我をすることが多く、痛む箇所に手や道具を使って刺激を与えることで痛みを和らげる知恵が生まれたのでしょう。

「砭石」は時代の流れと共に材質が変化し、骨、竹、そして金属製の鍼へと発展していったと考えられます。 中国最古の医学書の一つである『黄帝内経こうていだいけい』(前漢代成立)には、「砭石による治療は東方の国で発展し…」また「…九鍼(きゅうしん)による治療は南方の国で発展し、伝来した。」といった記述が見られます。

古代九鍼の写真
※写真は古代九鍼です。現在でも使用している鍼灸院があります。

鍼治療を受ける際の注意点

事前にご相談いただきたい方

  • 妊娠中または妊娠の可能性のある方
  • 出血しやすい傾向のある方(ワーファリンなど抗凝固薬を服用中の方を含む)
  • ペースメーカーを使用している方 重篤な内科疾患をお持ちの方 その他、健康状態でご心配な点がある方

(上記に該当する方は、必ず事前に医師および施術を担当する鍼灸師にご相談ください。)

施術後の反応について

  • 施術後、一時的にだるさ、眠気、または稀に症状が一時的に強く感じられること(好転反応)がありますが、通常は数時間から1〜2日で自然に回復します。ご心配な場合は遠慮なくご相談ください。

有資格者による施術

  • 鍼治療は医療行為です。必ず国家資格(はり師・きゅう師)を持った経験豊富な鍼灸師による施術を受けてください。

鍼治療のメリット

鍼治療には以下のメリットがあります。

  • 副作用が少ない
    薬を使用しないため、薬の副作用の心配がほとんどありません。(体質や状態により、一時的な反応は除く)
  • 全身的なアプローチ
    局所的な症状だけでなく、身体全体のバランスを整え、自然治癒力を高めることで健康増進に役立ちます。
  • 幅広い適応
    肩こりや腰痛といった運動器系の症状から、自律神経系の不調、内科的・婦人科的症状まで、様々な悩みに対応できる可能性があります。
  • リラックス効果
    鍼灸施術には心身をリラックスさせる効果も期待でき、ストレス緩和にも繋がります。

鍼治療のデメリット

鍼治療には以下のデメリットもあります。

  • 施術時の感覚
    鍼を刺す際にチクッとした軽い痛みや、ズーンと響くような独特の感覚(得気感)を感じることがあります。刺激の感じ方には個人差があり、当院ではできる限り痛みの少ない施術を心がけています。
  • 効果の個人差
    症状や体質、生活習慣などにより、効果の現れ方や必要な治療回数には個人差があります。
  • 内出血の可能性
    まれに皮下で細い血管に鍼が触れ、小さな内出血(青あざ)ができることがありますが、通常は1~2週間程度で自然に消えます。

鍼治療を受ける前に(鍼灸師にお伝えいただきたいこと)

より安全で効果的な治療のために、以下の情報について鍼灸師にお伝えください。

  • 現在最もお困りの症状(いつから、どのような時に、どの程度つらいかなど)
  • 過去の病歴や手術歴、大きな怪我の経験
  • 現在服用中のお薬やサプリメント
  • アレルギー体質の有無
  • 妊娠の可能性や現在の健康状態
  • その他、気になることやご要望

ご自身の状態を正確に伝え、施術者としっかりコミュニケーションを取り、十分な説明を受けることが、納得のいく治療への第一歩です。

鍼灸施術に保険は適用される?

特定の症状に対しては、医師の同意書がある場合に限り、鍼灸施術に健康保険が適用されることがあります。

  • 神経痛
  • リウマチ
  • 頚腕症候群
  • 五十肩
  • 腰痛症
  • 頚椎捻挫後遺症など

お手続き

保険適用には、医師による適当な治療手段のない旨の診断と、鍼灸治療を受けることへの同意書が必要です。詳細はかかりつけ医および当院にご相談ください。

ひごころ治療院の鍼灸治療について

当院では、上記のような鍼治療の特性を活かし、患者様お一人おひとりに合わせた丁寧な施術を心がけております。

初回カウンセリングから施術までの流れ

初めてご来院いただく際は、まず丁寧なカウンセリングと診察を行います。問診や脈診・舌診・腹診といった東洋医学的な診察を通じて、患者様の体調や体質を詳しく把握し、お悩みの根本原因を探ります。その上で、最適な治療計画をご提案し、ご納得いただいてから具体的な施術に移ります。

安心して施術を受けるための事前準備

  • 食事について
    施術直前の満腹状態、または極度の空腹は避けてください。軽食であれば施術の1時間前までに済ませるのが理想です。
  • 服装について
    ゆったりとしたリラックスできる服装でお越しください。必要に応じてお着替えもご用意しております。
  • その他
    施術当日は、アルコールの摂取はお控えいただくか、少量に留めてください。 ご不明な点やご心配なことがあれば、どんな些細なことでも遠慮なく事前にご相談ください。

当院のこだわりと院内環境

ひごころ治療院では、患者様一人ひとりの症状や体質に合わせたオーダーメイドの鍼灸治療を提供しております。使い捨ての鍼を使用するなど衛生管理を徹底し、清潔で落ち着いた院内環境の中で、心からリラックスして施術を受けていただけるよう常に心がけています。

-> ごあいさつ・理念
-> 院内紹介

新丸子駅から徒歩圏内のアクセス情報

当院は、東急東横線・目黒線「新丸子駅」西口から徒歩約4分という、通院に便利な場所にございます。JR「武蔵小杉駅」からもアクセス可能です。

-> アクセス情報(MAP)

予約方法とネットでの予約

当院は予約優先制です。お電話でのご予約に加え、24時間いつでもご利用いただけるインターネット予約システムも導入しております。お忙しい方でもご自身のタイミングで手軽にご予約いただけます。

国家資格保持と技術向上研修

当院の施術スタッフは、全員が「はり師」「きゅう師」の国家資格を有しております。また、定期的な勉強会や技術向上研修に参加し、常に最新の知識と技術を取り入れ、より質の高い治療を提供できるよう努めております。

鍼灸治療における衛生管理と新型コロナウイルス対策

患者様に安心して施術を受けていただけるよう、衛生管理には細心の注意を払っております。

  • 院内環境
    施術ごとにベッドや枕カバーの交換を行い、院内は常に清潔に保たれています。また、定期的な換気や空気清浄機の設置など、感染予防策も講じております。 (※新型コロナウイルス対策については、その時々の状況に応じた適切な対応を継続してまいります。)
  • 鍼について
    使用する鍼はすべて滅菌済みの使い捨て(ディスポーザブル)鍼です。一度使用した鍼を再利用することは一切ございません。
  • 手指消毒・器具消毒
    施術前後の手指消毒を徹底し、使用する器具類も適切に消毒・管理しております。