気管支喘息

気管支喘息

気管支喘息の原因と
鍼灸治療の効果
長引く咳・息苦しさを改善

「一度咳き込むと止まらない…」
「夜中や明け方に、ゼーゼー、

ヒューヒューという呼吸音で目が覚める…」
「季節の変わり目や、

ちょっとした刺激で息苦しくなる…」

そのつらい症状、もしかしたら気管支喘息かもしれません。

この記事では、気管支喘息がなぜ起こるのか、その原因と症状、そして東洋医学に基づく鍼灸治療がどのように発作の予防と体質改善をサポートできるのか、ご家庭でできる養生法も交えながら詳しく解説します。

【目次】

  1. 気管支喘息とは?~その原因と発作のメカニズム~
    • 気管支喘息の主な症状
    • アレルギー反応としての喘息
  2. 気管支喘息に対する鍼灸治療
  3. ご家庭でできる!喘息発作時のセルフケアと養生法
    • 発作時に試したい「熱手浴ねつしゅよく
  4. 免疫学から考える気管支喘息
    • 気管支喘息は「治癒反応」であるという視点
    • アレルギー体質と生活環境
  5. 喘息と上手に付き合うための生活習慣

1.気管支喘息とは?
~その原因と発作のメカニズム~

気管支喘息の主な症状

ハウスシック症候群

気管支喘息とは、発作的に呼吸困難と、呼吸の際に「ゼーゼー」「ヒューヒュー」といった音がする喘鳴ぜんめいが起こる病気です。 主症状はしつこい咳と痰で、特に起床時に出ることが多く見られます。急に症状がひどくなると、涙が出るほど激しく咳き込むこともあります。 病状が悪化したり、肺気腫などが合併したりすると、少し動いただけでも息切れを伴うようになります。

アレルギー反応としての喘息

気管支喘息の原因については様々な説がありますが、近年ではアレルギーの一症状であるという説が有力です。 アレルギーとは、特定の物質(アレルゲン)に対して、身体の免疫システムが過敏に反応してしまう状態を指します。

  • 主なアレルゲン
    • スギやヒノキなどの花粉
    • 室内のホコリハウスダスト家ダニ
    • ペットの毛やフケ
    • 特定の食べ物(卵、牛乳、魚など)
    • 冷たい空気タバコの煙排気ガス
    • その他(カビ、化学物質など)

このようなアレルゲンを含む空気を吸い込むと、過敏な体質の方の場合、身体を守ろうとする免疫反応が過剰に働き、気管支に以下のような変化が起こります。

  1. 気道の狭窄
    自律神経の一種である副交感神経が異常に高ぶり、気道を狭めてアレルゲンの侵入を防ごうとします。
  2. 気管支のけいれん
    副交感神経の働きで、気管支を構成する平滑筋がけいれんを起こします。
  3. うっ血と浮腫
    筋肉のけいれんが気管支壁の血管を圧迫し、血流が滞る「うっ血」が生じます。これにより、粘膜がむくんで(浮腫)、気道はさらに狭くなります。
  4. 痰の分泌
    気管支壁の粘膜も過敏になり、粘液を過剰に分泌します。これが「痰」となり、気道に絡むと、一層呼吸が困難になって苦しくなるのです。

また、ご両親や祖父母が喘息である場合、発作を起こしやすいアレルギー体質が遺伝することもあると言われています。

鍼灸治療の役割

鍼灸治療は、この一連の反応において、過剰に高ぶった副交感神経の働きを鎮め、交感神経の働きを適度に活発にすることで、気道の管を広げ、気管支の筋肉のけいれんを止めることを目指します。 交感神経の働きは、血液循環が良くなるにつれて高まるため、喘息発作を鎮める出発点は、全身の血液循環の改善にあると東洋医学では考えます。

蕁麻疹(じんましん)・アトピー性皮膚炎

2.気管支喘息に対する鍼灸治療

鍼灸治療が喘息に効果的な理由

  • 自律神経の調整
    鍼や灸の刺激は、副交感神経の過度な興奮を鎮め、交感神経とのバランスを整えることで、気管支のけいれんや狭窄を和らげます。
  • 免疫機能の調整
    全身のバランスを整え、アレルゲンに対する過敏な免疫反応を穏やかにするよう働きかけます。
  • 消炎作用と血行促進
    気管支の炎症を鎮め、血行を促進することで、むくみを軽減し、呼吸を楽にします。
  • 体質改善
    継続的な治療により、発作が起こりにくい、アレルギー反応に強い身体づくりを目指します。

喘息ケアに効果が期待できる主要なツボの例

喘息の症状や体質に合わせて、以下のツボを中心に施術します。

背中 「大椎だいつい」、「定喘ていぜん」、「肺兪はいゆ
   「心兪しんゆ
喉  「天突てんとつ
胸部 「中府ちゅうふ」、「膻中だんちゅう
腹部 「中脘ちゅうかん」、「天枢てんすう
腕部 「孔最こうさい」、「侠白きょうはく

具体的な鍼灸治療法
(発作時と寛解期)

発作がおさまっている時
(寛解期)の治療

発作がない時期には、発作が起こりにくい身体をつくるための全身的な体質改善治療を行います。

  1. 背部のツボ
    まず、「大椎」、「定喘」、「肺兪」、「心兪」といったツボを選び、筋肉の緊張をほぐし、呼吸器系の機能を高めます。
  2. 胸部のツボ
    次に、「天突」、「中府」、「膻中」を刺激します。特に「中府」は肺の気が集まる重要なツボ(募穴)で、呼吸器に不調がある際に、押すと痛むしこりのような反応が出ることが多く、これを丁寧に取り去るように施術します。
  3. 腕のツボ
    侠白」や「孔最」は、古くから咳や痰を取り、発作を抑えるツボとして重視されています。さらに、「曲池きょくち」や「合谷ごうこく」も加えて全身を調整します。
  4. 足のツボ
    冷えを取り、体力をつけるために「三陰交さんいんこう」、「太渓たいけい」なども加えます。

発作が起こった時の治療

発作時には、まず呼吸を楽にすることを最優先とします。

  1. まず、後ろ首の「天柱てんちゅう」から背骨の両側を腰部に向けて、優しくマッサージします。
  2. さらに、肩甲骨の内側の縁に沿った部分や、耳の後ろから斜め前下に走る太い筋肉(胸鎖乳突筋)などを、両方の親指で小さな円を描くように指圧します。
  3. 発作中は鍼治療よりもお灸の方が適していることが多いですが、背中の「心兪」に取穴し、鍼でやや内方に向けて50~60㎜刺入の刺激を加えることで、発作が治まりやすくなることもあります。
    ※これは専門家による高度な手技です。

3.ご家庭でできる!
喘息発作時のセルフケアと養生法

発作時に試したい「熱手浴ねつしゅよく

喘息の発作が起こった時に、手と腕をお湯につけるだけの熱手浴が、予想以上に効果を発揮することがあります。

  • 方法
    1. 発作が起こったら、すぐに風呂の温度よりやや熱いお湯(44~45℃程度)を洗面器に7分目ほど入れます。
    2. その中に、両手の前腕の中ほどまでを浸して、3~5分間くらいじっとします。
    3. お湯が冷めてきたら熱い湯を足し、さらに3~5分間くらい浸します。
    4. この時、ご家族などが背中を優しくさすってあげると、なお効果的です。
  • 終わった後
    • 手先がポカポカしてきたら、両手を湯から引き上げ、乾いたタオルで水分をしっかり拭き取ります。
    • その後、指先や手の甲、手首を自分で揉んだり、こすったりすると、呼吸が楽になってきます。

食べて改善
身体を温め、症状を和らげる食事

喘息の症状緩和には、身体を温め、「肺」を潤し、邪気を追い出す働きのある食材を取り入れることがおすすめです。

  • 身体を温めて風邪や冷えに対抗する食材例
    シソ、ショウガ、長ネギ、コショウ、黒砂糖、トウガラシ、八角など。
  • 咳を止め、喉や気管支を潤す食材例
    アーモンド、銀杏(ぎんなん)、カブ、ショウガ、ニンニク、ユリネ、ウメ(梅干し)、ナシ(梨)、海苔、はちみつなど。

4.免疫学から考える気管支喘息

気管支喘息は
「治癒反応」であるという視点

気管支喘息の発作は、抗原(アレルゲン)などの異物を体外に排泄し、それ以上体内に入ってこないようにするための治癒反射であり、副交感神経の刺激反応である、と東洋医学では捉えることがあります。

今日、大気汚染や土壌汚染などにより、私たちの身体が排泄すべき異物は増加の一途をたどっており、それに伴い気管支喘息の患者様も急増しています。

根本的に治療しないと起こるシーソーゲーム

喘息発作は副交感神経反射なので、気管支拡張剤などの交感神経刺激剤で一時的に止めることができます。しかし、発作を止めること自体は、根本的な治療とはあまり関係ありません。交感神経刺激剤は心臓に負担をかけることもあり、長い目で見るとそれ自体がストレスにもなり得ます。 また、ステロイド吸入は、発作を止める作用は強いものの、体質改善という根本治療にはむしろマイナスに働く可能性も指摘されています。 気管支喘息の根本的な治療(体質改善)を行わないと、「発作副交感神経優位)」発作を止める薬交感神経刺激)」とのシーソーゲームから、なかなか抜け出せなくなってしまうのです。

アレルギー体質と生活習慣・環境

体質的・遺伝的にアレルギーになりやすい方はいらっしゃいます。しかし、現代の過剰なリラックス状態を起こしやすい環境(例:排気ガスに含まれる二酸化炭素、建材に含まれる化学物質など)が、アレルギー体質をより不利にしている側面もあります。 また、アレルギー疾患の低年齢化は、離乳食を早く与えすぎることによって、お子様の腸の機能が十分に完成しないうちに異種抗原(アレルゲン)にさらされ、アレルギー体質が形成されるからだ、という説もあります。

東洋医学では、このようにアレルギー体質を形成する原因を知り、体質改善を行うことを重視します。その本体は、過剰な副交感神経、正常な自律神経バランスの体質へと導くことです。

5.喘息と上手に付き合うための
生活習慣

  • 環境汚染の場所からできるだけ逃れる
  • 過保護な生活(身体を甘やかしすぎること)を改める
  • 口呼吸をやめ、鼻呼吸を意識する
  • 運動や乾布摩擦、絞りタオルでの摩擦などで身体を鍛える

ひごころ治療院では、あなたのつらい症状の改善はもちろん、発作が起こりにくい丈夫な身体づくりと生活習慣のアドバイスまで、トータルでサポートさせていただきます。

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