気管支喘息

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気管支喘息の原因 ー鍼灸治療の効果

症状

発作性に呼吸困難喘鳴が起こる病気が、気管支喘息です。その原因については諸説が立てられていますが、最近ではアレルギーの一症状であるという説が有力です。

アレルギーとは、普通の人であれば、食べたり、吸い込んだりしても特別な異常があらわれないのに、アレルギーの原因となる物質、アレルゲンとなって起こる過敏症のことであります。

気管支喘息の原因

アレルゲンは、杉、室内のホコリ、ペットの毛、家ダニ、ある種の食べ物(卵、魚など)、冷たい空気など、多岐にわたります。また、両親や祖父母が喘息であると、発作を起こしやすい体質が遺伝するといわれています。

過敏体質の人がアレルゲンを含む空気を吸うと、副交感神経が異常に高ぶって気道を狭めようとするため、空気の出入りが悪くなります。同時に、副交感神経の働きで、気管支を構成している平滑筋にけいれんが起こり、気管支壁をめぐる細い血管を圧迫し、うっ血が生じます。このうっ血が原因で浮腫ができて、気道はさらに狭くなり、呼吸困難になります。

一方、気管支壁を取り巻く薄い粘膜も過敏になって、粘液を分泌します。これが痰ですが、この痰が絡むと、一層呼吸が困難になって、苦しむわけです。

鍼灸治療は、交感神経の働きを活発にして気道の管を広げ、気管支の筋肉のけいれんを止めることに努めます。交感神経の働きは血液循環がよくなるにつれて高まるので、つまり喘息発作を止める出発点は、血液循環の改善にあります。

鍼灸治療

主要なツボ

背中  「大椎」、「定喘」、「肺兪」、「心兪
喉   「天突
胸部  「中府」、「膻中
腹部  「中脘」、「天枢
腕部  「孔最」、「侠白

などが重要なツボです。

治療法

〈発作がおさまっているとき〉

刺激量に注意して、全身的な治療を行います。筋肉の緊張をほぐし、血液の循環を目的に刺激をします。

背部は、「大椎」、「定喘」、「肺兪」、「心兪」などのツボを選びます。

胸側は、「天突」、「中府」、「膻中」を刺激します。特に「中府」穴付近は、押すと痛いかたまりがあることが多いので、これを取り去るように施術します。

腕は、「侠白」、「孔最」を処置します。両穴とも昔から咳とタンをとり、発作を抑えるツボとして重視されています。くわえて、「曲池」、「合谷」も処置します。

冷え取りのツボとして、「三陰交」、「太渓」なども加えます。

喘息には、灸治療が非常に有効であります。特に、「大椎」、「肺兪」、「心兪」、「天突」、「中府」、「侠白」、「孔最」などは喘息にかかりやすい体質によく効くツボとして活用されてきました。1カ所に3~5壮を3週間続けます。

〈発作が起こったとき〉

後ろ首の「天柱」から背骨の両側を腰部に向けてマッサージをします。

さらに肩甲骨の内縁に沿った経路、耳の後ろから横首を斜め前下に走る太い筋肉などは、両方の親指で小さな輪を描くように指圧します。

発作中は鍼治療より灸治療のほうがよいですが、「心兪」に取穴してやや内方に向けて50~60㎜刺入しますと、発作はおさまりやすいです。

喘息発作に熱手浴

喘息の発作に、手と腕をお湯につけるだけの熱手浴が予想以上に効果があります。

その方法は、発作が起こったら、すぐに風呂の温度よりやや熱い湯(44~45℃)を洗面器に7分目ほど入れて、その中に両手の前腕の中ほどまでを湯に浸して、3~5分間位じっとします。

湯が冷めたてきたら熱い湯をさして、さらに両手を3~5分間位浸します。そのとき、家族などが背中をさすってやるとなお効果的です。

手先がポカポカしてきたところで、両手を湯から引き上げ、乾いたタオルで水分をふき取ります。そして、指先や手の甲、手首をもんだり、こすったりすると、喘息は楽になります。

免疫学から考える気管支喘息

この病気はリンパ球体質の子供たちが小さい地気に発症し、高学年になると加齢変化によるリンパ球減少によって自然治癒します。そもそも喘息発作は、抗原などの異物を体外に排泄し、それ以上体内に入ってこないようにするための治癒反射であり、副交感神経刺激反応なのであります。

今日、大気汚染や土壌汚染によって体外に排泄すべき異物は増加の一途をたどっているので、気管支喘息の患者は急増しています。また、ステロイドホルモンの吸入によってステロイド依存症になる人が多く、自然治癒が妨げられます。

気管支喘息もアトピー性皮膚炎と同様に、アレルギー発作自体は治癒のための生体反応なので、この症状そのものを治療対象にすると治療に失敗します。アトピー性皮膚炎の場合と同様に、過剰リンパ球体質の改善が必要です。その子供がいま、ストレス状態にあるのか、あるいはストレスが治まりリンパ球体質にあるのかは、血液中の顆粒球とリンパ球の比率を調べることで知ることができます。ストレス時には顆粒球増多になっていますし、治まった場合はリンパ球増多になっています。

気管支喘息は慢性炎症ではない

今日、「気管支喘息は気道の慢性炎症であり、ステロイド吸入による炎症の改善が必要である」といって、ステロイド吸入を治療の第一選択肢とする人が出現していますが、これは驚くべき誤解であります。

気管支喘息は、抗原や精神的ストレスを体外に排泄しようとする治癒反射によって引き起こされる一過性の急性アレルギー反応です。そして、体質が改善されない場合に、これが繰り返されることになります。

発作が副交感神経反射である証拠が、気管支の平滑筋の収縮であり、テオフィリンや交感神経β刺激剤で交感神経を刺激すると喘息発作が停止することです。また、気管支喘息の対症療法を行いますと、アトピー性皮膚炎に移行することがあります。これらは、部位はどこでもいいから異物を排除したいという、生体側の排泄現象の移動によって起こるからです。

また、ステロイドホルモンを単なる抗炎症作用剤と理解するのは間違えです。吸入といえども、ステロイドは体内に沈着し、自然酸化を受けて変性コレステロールとなり、それ自体がいずれは顆粒球中心の炎症を引き起こす力をもっています。これを抑えるためには、酸化物の中和のためのステロイドホルモンの増量が必要となります。これがステロイド依存症のメカニズムです。ステロイド吸入の増量なしでは、次第に発作をコントロールできなくなり、ついには内服に移行することになります。

根本的に治療しないとなるシーソーゲーム

気管支喘息の発作は、治癒反応としての副交感神経反射で引き起こされます。このため、リラックスした状態で発作が起こります。夜間に副交感神経優位の時間、夜中の2時頃に発作が起こることが多いのです。また、日中でも多量の抗原にさらされたり、精神的なストレスにあったりした後の一息ついたときにも、発作は起こります。

発作自体は副交感神経反射なので、交感神経刺激で止めることができます。ステロイド吸入も血流を抑制する交感神経刺激能があります。しかし、発作を止めること自体は、気管支喘息の根本的治療とはあまり関係ありません。とくに、交感神経刺激剤、気管支拡張剤ともいいます、は心臓に負担をかけ、長い目で見るとそれ自体がストレスになります。

ステロイド吸入は、喘息発作自体を止める作用は強いものの、気管支喘息の根本治療にはむしろマイナスです。ステロイド依存症となるからです。ステロイド依存症になると、患者は冷えに悩まされます。冷え以外にも、ありとあらゆる交感神経緊張症状に悩まされることになります。

気管支喘息の根本的治療を行わないと、発作と発作を止める交感神経刺激剤とのシーソーゲームから逃れられません。

環境汚染の場所から逃れる
過保護な生き方を止める
口呼吸止める
④運動や乾布摩擦、絞りタオル摩擦などでからだを鍛える

などの対策も大事になります。

アレルギー体質を不利にする過剰なリラックス

体質的に、遺伝的に、アトピー性皮膚炎や気管支喘息になりやすい人はいます。しかし、これらのアレルギー体質は、長期的に見ればウィルス感染などに強く長寿の体質といえるものです。いまの日本の過剰なリラックスを起こしやすい環境が、アレルギー体質を不利にしているのにすぎません。

例えば、炭酸飲料も過剰なリラックス状態をつくります。それは、CO₂が肺から呼吸によって体内に入りますと、CO₂+O²⁻→CO₃²⁻の反応が起こり、体から酸素を奪うからです。排気ガス中に含まれる二酸化炭素も同じ力をもっています。今日、二酸化硫黄や二酸化窒素、微小粒子状物質(PM2.5)のみが、有害物質として注目されていますが、排気ガスの本体である二酸化炭素自体がアレルギー体質をつくる最大の物質なのです。逆に、エネルギーを消費し、体の中で酸化物をつくる反応が、交感神経刺激と連動しています。

ホルムアルデヒドやトルエンなどがシックハウス症候群の原因物質として問題になっています。これらは化学物質過敏症を引き起こすだけでなく、体内に入ったときにベンゼン環の側鎖で酸素を奪うので、同じように副交感神経刺激してアレルギー体質をつくります。

このように、アレルギー体質を形成する原因を知り、体質改善を行う必要があります。体質改善の本体は、過剰副交感神経体質から正常自律神経体質にもってゆくことです。

アレルギー疾患の低年齢化は、離乳食を早く与えすぎることによって起こることが分かってきました。子供の腸の機能が十分に完成しないうちに異種抗原にさらされ、アレルギー体質が形成されるからです。

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