胃弱とは何か ー原因と東洋医学による治療法
【目次】
1.胃弱の原因と症状
2.胃弱の鍼灸治療
・主要なツボ
・治療法
・胃弱のリハビリ
胃弱の原因と症状
みぞおちが重苦しい、胃がもたれる、胸やけがする、げっぷが出るといった症状を胃弱といいますが、これは病名ではありません。大抵の場合、胃の神経症、胃アトニー(無力症)、胃下垂症などをひっくるめて胃弱といっています。
胃の神経症というのは、体質的なものではなく、ストレスによって胃が侵された状態あります。胃は非常にストレスの影響を受けやすい器官で、ストレスの多い現代社会では、胃の神経症に悩まされる人が多くなるのもやむを得ないかもしれません。
これに対して、胃アトニーや胃下垂は、生まれつきの筋肉の発育が悪く、瘦せて骨格に皮膚を張っているようなアトニー体質の人に多いです。また、病気などで全身が衰弱している人や、妊娠、分娩を繰り返して腹壁が緩んだ女性にも見られます。
胃アトニーは、胃の筋肉に力がないため、少し食べただけでも満腹になり、それが胃にたまって、胃もたれや胸やけがしたり、げっぷが出たりします。胃下垂は、この胃アトニーがさらに進んだ状態と考えます。胃のあたりの痛み、もたれ、みぞおちからへそにかけての何とも言えない重苦しさ、押されるような不快感に加えて、食欲不振などの症状が特徴であります。胃下垂は同時に、腸や腎臓などの内臓下垂を伴います。
いずれも、かなりの慢性的、体質的なものであるので、一時的な消化剤や鎮痛剤などでは全治は望めません。体の調子を変え、胃の機能を活発化させるには、東洋医学の療法が最適であります。
胃弱の鍼灸治療
主要なツボ
などが重要なツボであります。
治療法
胃弱には、灸治療が非常に効果的であります。上記のツボに、1カ所に3~5壮、3~5週間続けますと胃の機能が活発になり、胸やけ、胃もたれが解消します。
特に胸やけに悩まされる場合は、腰の「三焦兪」、「大腸兪」を中心に5~7壮の灸をしますと非常に有効であります。腹部では、「巨闕」、「中脘」に灸治療をします。
消化不良を取り除きたい場合は、足の「梁丘」、「足三里」を刺激します。また、胃の不快症状をとるためには「手三里」を刺激します。「手三里」はあらゆる胃の病気によく効く名穴です。
胃弱のリハビリ
胃弱は、治療と同時に、お腹の筋肉(インナーマッスル)を鍛える必要があります。体幹トレーニング等で鍛えます。そして、胃アトニーでは、食事を一度に大量にとらないで数回に分けて食べることが大事になり、食後は身体の右半身を下にして横になって休むのがよいです。
腹部 「巨闕」、「期門」、「中脘」
「天枢」、「肓兪」
背部 「胆兪」、「脾兪」、「胃兪」
手部 「手三里」
足部 「足三里」、「梁丘」