肺経のツボ – 東洋医学における肺経の異常と重要なツボ
【位置】上腕前外側、上腕二頭筋外側縁、腋窩横紋前端の下方3寸(約9㎝)。
※腋窩横紋前端と尺沢(LU5)を結ぶ線上で、腋窩横紋前端から1/3にある。
【主治】肩や腕の疼痛、咳嗽・喘息、鼻出血。
【操作】鍼は直刺で0.5~0.8寸。灸も可。
【位置】上腕前外側、上腕二頭筋外側縁、腋窩横紋前端の下方4寸(約12㎝)。
【主治】咳嗽、胸部脹満感、上腕内側痛。
【操作】鍼は直刺で0.5~0.8寸。灸も可。
絡穴
【位置】前腕橈骨、長母指外転筋腱と短母指伸筋腱の間、手関節掌側横紋の上方1.5寸(約4.5㎝)。
【主治】頭項部の強ばりと痛み、咳嗽、息切れ、咽喉部の腫脹・疼痛、口や眼のゆがみ、開口不全、歯痛、手や足の無気力。
【操作】斜刺で0.5~0.8寸。灸も可。
経穴
【位置】前腕前外側、橈骨茎状突起と橈骨動脈の間、手関節掌側横紋の上方1寸(約3㎝)。
※太淵(LU9)の上方1寸にある。
【主治】咳嗽、呼吸困難、胸部膨満感、咽喉部の腫脹・疼痛・手根部の痛み。
【操作】鍼は動脈を避けて直刺または斜刺で0.3~0.5寸。禁灸。
原・兪穴
【位置】手関節前外側、橈骨茎状突起と舟状骨の間、長母指外転筋腱の尺側陥凹部。
※手関節掌側横紋の橈側、橈骨動脈上にある。
【主治】咳嗽、呼吸困難、喀血、咽頭部の腫脹・疼痛、動悸、鎖骨上窩部のけん引痛、前腕前面部の痛み、ろうあ、無月経、脈なし病。
【操作】鍼は①直刺で0.2~0.3寸。②刺鍼時は動脈を避け、直刺で3~5分。または鍼先が動脈壁に達しても血管を破らないようにすれば良効を収めることができる。灸も可。
栄穴
【位置】手掌、第1中手骨中点の橈側、赤白肉際。
【主治】喉痺、咳嗽、吐血、失音症、悪寒・発熱、腹痛。
※喉痺:のどが腫れて痛む病気。
【操作】鍼は直刺で0.5~0.8寸。禁灸といわれている。ただし、歯痛の場合すえてもよい。
井穴
【位置】母指、末節骨橈側、爪甲角の遠位端外方0.1寸(指寸)、爪甲橈側縁の垂線と爪甲基底部の水平線の交点。
【主治】鼻出血、咽喉部の腫脹、扁桃炎、発熱、嘔吐、昏迷、脳卒中、熱中症。
【操作】鍼は直刺で0.1寸。あるいは点刺して出血させる。灸も可。
東洋医学でいう「肺」とは、現代医学の肺臓ではなく、もっと幅広い呼吸器の総称であります。
・顔がのぼせる
・口が乾く
・せきが出る
・たんがからむ
・胸苦しい
・動悸や息切れがする
・腕から手先にかけて痛みやしびれがある
・手のひらがほてる
・夜は体が冷えて、小便が近い
上記のような症状は肺経の異常と捉えます。
肺経の病の場合、触診しますと胸の「中府」と背中の「肺兪」に圧痛やこり、しこりなどの反応が表れます。
「中府」は肺の募穴で、「肺兪」は兪穴であり、この二つのツボに触れてみますと、肺経の異常がキャッチできます。極めて重要なツボといえます。