のぼせの原因と東洋医学による治療法 ー 鍼灸でつらい顔のほてりを改善
「理由もなく顔や頭がカッと熱くなる…」
「上半身は暑いのに、手足は冷えている…」
「更年期か自律神経の乱れか、のぼせが気になる…」
そんなのぼせ・ほてりの症状でお悩みではありませんか? このページでは、のぼせが起こる様々な原因、特に東洋医学的な視点からの捉え方、そして鍼灸治療による具体的なアプローチについて詳しく解説します。
【目次】
1.のぼせ・ほてりとは?~その原因と様々な症状~
のぼせの定義と主な原因
のぼせとは、首から上、特に顔や頭に、発熱とは異なる不快な熱感やほてりを感じる状態を指します。
のぼせが起こる原因は様々です。
- 精神的な興奮
人前で話す時や、緊張する場面、恥ずかしい思いをした時などに、一時的に顔がカッと熱くなるのは多くの方が経験することです。 - 自律神経の乱れ
これが原因となる場合、発作的にのぼせが起こり、同時に手足や腰など身体の一部が逆に冷えてくることがあります。このような時は、しばしば動悸、めまい、頭痛、肩こり、耳鳴り、イライラ感、異常な発汗、慢性的な疲労感といった多様な症状を伴うことがあります。 - 基礎疾患や身体的要因
動脈硬化症や本態性高血圧症、過去の頭の外傷などが背景にあることも考えられます。 - 女性特有の要因
月経(生理)前に一時的にほてりを感じたり、更年期における自律神経のバランスの乱れの一症状として、ホットフラッシュと呼ばれる顕著なのぼせや発汗が現れたりします。
東洋医学で考える「のぼせ」ー「上熱下寒(じょうねつげかん)」とは?
東洋医学では、多くの「のぼせ」の状態を「上熱下寒」という言葉で表現します。 これは文字通り、上半身(特に頭部や顔面)はほてって熱っぽく感じられるのに対し、下半身(特に足腰)は冷えているという、身体の上下で温度差が生じているアンバランスな状態を指します。
私たちの身体で感じる熱っぽさや冷えは、主に体表面近く、特に皮膚の下を流れる血液の量と深く関係しています。すなわち、皮膚の下を流れる血液の量が多くなれば「ほてり」を感じ、逆に血液の量が少なくなれば「冷え」を感じるのです。
では、なぜこのような血液量の偏りが生じるのでしょうか? その大きな要因の一つが、血管の拡張や収縮をコントロールしている自律神経のアンバランスです。何らかの原因で自律神経の調和が乱れると、上半身の血管が過度に拡張して血液量が集まりやすくなり、反対に下半身の血管は収縮して血液量が不足しがちになります。 つまり、大部分の「のぼせ」は、上半身と下半身における自律神経の緊張状態にアンバランスが生じた結果、本来なら全身をくまなく巡っているはずの血液が上半身に過剰に集まり、下半身には十分に行き渡らなくなっている状態と捉えることができます。
鍼灸治療の基本的な考え方ー血液循環の調整
したがって、東洋医学に基づく鍼灸治療では、「のぼせ」の改善のために、上半身に偏って滞っている血液を下半身へとスムーズに誘導し、全身の血液循環のバランスを整えることを重要な治療ポイントと考えます。
2.のぼせに対する鍼灸治療:ひごころ治療院のアプローチ
ひごころ治療院では、丁寧なカウンセリングと東洋医学的診断に基づき、お一人おひとりの「のぼせ」の原因と体質に合わせたオーダーメイドの鍼灸治療を行います。
のぼせ改善に効果が期待できる主要なツボの例
のぼせの治療には、全身のバランスを整えるために多くのツボを組み合わせて使用します。代表的なものには以下のようなツボがあります。
具体的な鍼灸治療のステップ(東洋医学の「天地」の概念に基づく施術)
ステップ1 頭部と背部の施術(天の部・上半身の調整)
さらに、全身の気血や水分の巡りをコントロールする「三焦兪」や、必要に応じて「志室」、「中髎」、「膀胱兪」といった腰仙部のツボも刺激し、下半身への気の流れを促します。
ステップ2 腹部と手足の施術(地の部・下半身への誘導と全身調整)
このように、多角的なアプローチで「上熱下寒」のアンバランスを是正し、のぼせ症状の根本的な改善を目指します。
3.ご家庭でできる「のぼせ」対策とセルフケア
鍼灸治療と合わせて、ご自宅でもできるセルフケアを取り入れることで、のぼせの症状緩和や体質改善をより効果的に進めることができます。
- 足湯や半身浴
下半身を温めることで、上に昇った気を下ろし、全身の血行を促進します。ぬるめのお湯でゆっくりと温まりましょう。 - ツボ押し
- 湧泉
足の裏、足指を曲げた時にできるくぼみの中心。足の冷えを感じる時や、のぼせが気になる時に、親指で心地よい程度に押してみましょう。 - 三陰交
内くるぶしの最も高いところから指幅4本分上がった、すねの骨の後ろの際。冷えの改善や婦人科系の不調にも良いツボです。 - 合谷
手の甲、親指と人差し指の骨が交わる手前のくぼみ。頭顔部の症状全般に。
- 湧泉
- 深呼吸とリラックス
ゆっくりとした腹式呼吸は、自律神経を整え、興奮を鎮めるのに役立ちます。リラックスできる音楽を聴いたり、瞑想を取り入れたりするのも良いでしょう。 - 生活習慣の見直し
十分な睡眠、バランスの取れた食事(特に刺激物やカフェインの摂りすぎに注意)、適度な運動、ストレスを溜めない工夫などが大切です。
【注意点】 セルフケアはあくまで補助的なものです。症状が強い場合や改善しない場合は、自己判断せずに専門家にご相談ください。