蓄膿症(副鼻腔炎)の
原因と鍼灸治療
鍼灸とセルフケアで
つらい症状を乗り切る!
「長引く鼻づまりや色のついた
鼻水に悩んでいる…」
「頭が重くて、顔のあたりが痛む…」
「薬を飲んでも、
なかなかスッキリしない…」
もしかしたら、それは蓄膿症、医学的には「副鼻腔炎」かもしれません。
薬以外の方法も試してみたいとお考えではありませんか? 東洋医学に基づく鍼灸治療は、そんな長引く鼻のトラブルに対して、症状を和らげる効果が期待できます。
この記事では、蓄膿症の原因と症状、そして鍼灸がどのように症状にアプローチするのか、ご家庭でできるセルフケアも含めて、その基礎知識を分かりやすくご紹介します。
【目次】
1.蓄膿症(副鼻腔炎)とは?
~その原因と症状~
蓄膿症(副鼻腔炎)のメカニズム
蓄膿症は、医学的には「副鼻腔炎」と呼ばれる病気です。
私たちの顔の骨の中には、「副鼻腔」といういくつかの空洞があります。具体的には、
1. 上顎の奥(上顎洞)
2. 鼻の根元、目の間(篩骨洞)
3. 左右の眉毛の上あたり(前頭洞)
4. 頭の中心近く(蝶形骨洞) の四つの部分にあり、これらは鼻腔(鼻の中)と繋がっています。
何らかの原因でこれらの副鼻腔に炎症が起こり、粘膜が厚く腫れ、膿や粘液が溜まってしまう状態を蓄膿症(副鼻腔炎)といいます。
この炎症は、細菌、ウイルス、または真菌(カビ)の感染によって引き起こされることが多いです。
多くの場合、一つの副鼻腔だけでなく、複数の副鼻腔が同時に炎症を起こします。
急性症状と慢性症状の違い
蓄膿症(副鼻腔炎)には、急性と慢性があります。
- 急性副鼻腔炎
風邪(急性鼻炎)などから移行して発症することが多いです。- 主な症状
濃い鼻水(粘液性で時に悪臭を伴う)、鼻づまり、顔面痛(特に目の周りや頬)、頭痛、頭重感、発熱、全身の倦怠感など。 早期に適切な治療を行えば、比較的短期間で治癒することが多いです。
- 主な症状
- 慢性副鼻腔炎
急性副鼻腔炎が長引いたり、繰り返したりすることで慢性化します。細菌感染に加え、粘膜自体の病的変化が強くなるため、治りにくくなる傾向があります。- 主な症状
しつこい鼻づまり、常に色のついた鼻水が出る、後鼻漏(鼻水が喉に流れる)、嗅覚障害(匂いが分かりにくい)、頭重感、集中力や記憶力の低下、慢性的な咳や痰など。 季節の変わり目や体調が悪い時に症状が悪化しやすいです。 - 進行すると
慢性的な咽頭炎や喉頭炎、気管支炎、時には胃腸障害の原因となることもあります。鼻の中に「鼻茸(鼻ポリープ)」ができることもあります。 思春期以降に発症したものは、特に治りにくい傾向があるといわれています。
- 主な症状
感染の仕組みと風邪との関係
副鼻腔は通常、空気で満たされ、小さな穴で鼻腔と繋がっています。これにより換気が行われ、粘液も自然に排出されます。
しかし、風邪をひくと鼻腔内の粘膜が腫れ、副鼻腔と鼻腔を繋ぐ自然口(しぜんこう)が塞がれやすくなります。すると、副鼻腔の換気が悪くなり、内部に粘液が溜まり、細菌やウイルスが繁殖しやすい環境となってしまいます。これが急性副鼻腔炎へ進行する主なメカニズムです。
また、アレルギー性鼻炎や鼻中隔弯曲症(鼻の左右を仕切る壁が曲がっている状態)なども、副鼻腔炎のリスクを高める要因となります。
鍼灸治療が効果を発揮しやすいケース
蓄膿症(副鼻腔炎)は、その方の体質や遺伝的な要素も発症に関係していると考えられています。 東洋医学に基づく鍼灸治療は、このような体質的な側面にもアプローチし、症状の緩和や再発予防を目指す上で、古くから効果を上げてきました。
特に、薬物療法だけでは改善しにくい慢性的な症状や、体全体のバランスを整えることで改善が期待できる場合に有効です。
2.蓄膿症(副鼻腔炎)に対する鍼灸治療
ひごころ治療院では、蓄膿症(副鼻腔炎)のつらい症状を和らげ、根本的な体質改善をサポートするために、東洋医学に基づいた鍼灸治療を行います。
鍼灸治療の基本的な考え方
鍼灸治療では、副鼻腔の炎症を鎮め、鼻の通りを良くし、溜まった膿や粘液の排出を促すことを目指します。
特定の経穴(ツボ)を鍼や灸で刺激することにより、主に以下の効果が期待できます。
- 血行促進と消炎作用
鼻や副鼻腔周辺の血流を改善し、炎症を鎮め、腫れを和らげます。 - 免疫機能の調整
身体が本来持つ自然治癒力を高め、感染に対する抵抗力をサポートします。 - 自律神経のバランス調整
アレルギー反応や粘膜の過敏性をコントロールする自律神経の働きを整えます。 - 関連症状の緩和
頭痛、頭重感、顔面痛、肩こりなど、蓄膿症に伴う不快な症状も同時にケアします。
効果が期待できる主要なツボの例
蓄膿症の症状や体質に合わせて、多くのツボを組み合わせて治療を行いますが、代表的なものには以下のようなツボがあります。
などがあります。
具体的な鍼灸治療法とアプローチ
治療を受ける際の注意点
(お灸についてなど)
- お灸の活用
蓄膿症の治療では、お灸も非常に効果的です。特に「百会」、「天柱」、「風池」、「肺兪」、「孔最」、「合谷」などには、米粒の半分程度の大きさのもぐさを1カ所につき3壮ずつすえると良いでしょう。 顔面部の「印堂」、「巨髎」や、喉元の「天突」といったデリケートな部位には、薄切りのニンニクやショウガを皮膚との間に挟んで行う隔物灸が適しています。これらの温熱刺激を何回か繰り返すことで、うっとうしい鼻の症状や不快感の軽減が期待できます。 - 施術頻度と期間
症状の程度や慢性度により異なりますが、急性の場合は比較的短期間で、慢性の場合は体質改善を含め、ある程度の期間、継続して施術を受けることをお勧めします。鍼灸師と相談しながら治療計画を立てましょう。 - 薬物療法との併用
鍼灸治療は、病院で処方されているお薬(抗生物質、去痰薬、抗アレルギー薬など)と併用することも可能です。併用することで、相乗効果が期待できる場合もあります。必ず医師や鍼灸師にご相談ください。 - 効果の個人差
症状の改善には個人差があります。焦らず、じっくりと治療に取り組むことが大切です。
3.ご家庭でできる蓄膿症(副鼻腔炎)の
セルフケア
鍼灸治療と合わせて、ご家庭でもできるセルフケアを取り入れることで、症状の早期改善や再発予防に繋がります。
お子様向けの鼻のマッサージ
お子様の蓄膿症や鼻づまりには、鼻筋を優しくマッサージするのが効果的な場合があります。
- 方法
保護者の方の指で、お子様の鼻の付け根から小鼻の横あたりまでを、鼻筋に沿って上から下へ、または下から上へと、優しくまっすぐに伸ばすようなイメージで数回マッサージします。これにより、鼻の骨格の微妙な歪みが整えられたり、血行が促進されたりして、症状の改善が期待できることがあります。
大人向けの顔・鼻周りのマッサージ
- 鼻翼(小鼻)から口角へのマッサージ
両手の中指の腹を使い、小鼻の横(迎香のあたり)から口の両端(地倉のあたり)に向けて、軽く圧を加えながらゆっくりと50回程度マッサージします。鼻の通りを良くする効果が期待できます。 - 小指の爪もみ
両手の小指の爪の生え際(両角)を、反対の手の親指と人差し指で挟むようにして、少し痛みを感じる程度に10秒ほど揉みます。これを数回繰り返します。東洋医学では小指は鼻と関連する経絡が通っているとされ、刺激することで鼻の症状改善が期待できます。 - 額叩きと鼻マッサージ
- 正座または椅子に腰かけた状態で、顔を少し上向きにします。
- 軽く握ったこぶしで、額の中央(神庭や印堂のあたり)を、トントンと心地よい強さで20回程度叩きます。
- その後、両手の人差し指や中指の腹で、鼻の両脇(鼻筋に沿って)を下から上に向かって優しくマッサージします。
【ポイント】
これらのセルフケアは、毎日根気よく続けることが大切です。ただし、痛みを感じるほど強く行ったり、炎症が強い時に無理に行ったりするのは避けましょう。
その他、日常生活での注意点
- 身体を冷やさない
特に首周り、足元を冷やさないようにしましょう。 - 十分な睡眠と休息
免疫力を高め、身体の回復を促します。 - バランスの取れた食事
刺激物や脂っこいもの、甘いものの摂りすぎを避け、消化の良い温かい食事を心がけましょう。 - 適度な湿度を保つ
乾燥した空気は鼻や喉の粘膜を刺激します。加湿器などで室内の湿度を適切に保ちましょう。 - 鼻うがい(医師の指導のもと)
鼻腔内を洗浄し、アレルゲンや細菌を除去するのに役立つ場合があります。 - ストレスを溜めない
ストレスは免疫力を低下させ、症状を悪化させる可能性があります。リラックスできる時間を作りましょう。
【重要】
上記はあくまでセルフケアの一環です。症状が改善しない場合や悪化する場合は、必ず医療機関を受診し、医師や鍼灸師にご相談ください。










