風邪

風邪

風邪の予防と治療
東洋医学の鍼灸と養生法で
つらい症状を乗り切る

「たかが風邪、されど風邪」

年に数回はひいてしまう身近な病気ですが、こじらせると気管支炎や肺炎など、重い症状に繋がることもあり油断は禁物です。

薬だけに頼らず、身体が本来持つ力で風邪を乗り切りたい、とお考えではありませんか?

このページでは、風邪の原因や症状といった基本的な知識から、東洋医学に基づく鍼灸治療によるアプローチ、ご家庭でできる効果的な養生法や食事療法、さらには最新の感染症法における風邪症状の扱いまで、詳しく解説します。

【目次】

風邪をひいている人
  1. 1.風邪(かぜ)とは?原因、症状、そして東洋医学の「風邪ふうじゃ」の捉え方
    • 風邪の原因と感染のメカニズム
    • 見逃さないで!風邪の代表的な症状
    • 東洋医学で考える「風邪ふうじゃ」とは
  2. 鍼灸治療のメカニズム風邪ふうじゃに対する具体的なツボとアプローチ
  3. 風邪のセルフケア 家庭でできる効果的なツボ押しと身体を温める食事療法
    • 風邪の下痢に効く!手の先のツボ「商陽しょうよう
    • 指先もみで熱を下げる家庭療法
    • 食べて改善 身体を温め、症状を和らげる食事
  4. 風邪の予防と回復後の体調管理
    • 風邪の潜伏期間中に気をつけること 早期対策の重要性
    • 風邪をひいた時の休息のポイント 回復への近道
    • 風邪の治療後の体調管理 再発を防ぐために
  5. まとめ 東洋医学の力を借りて、風邪に負けない身体づくりを
  6. 【参考情報】「いわゆる風邪症状」の感染症法における位置づけについて (2025年4月~)

1.風邪(かぜ)とは?原因、症状、
そして東洋医学の「風邪ふうじゃ」の捉え方

風邪の原因と感染のメカニズム

私たちは、年間平均で5~6回も風邪をひくと言われています。「たかが風邪」と軽く考えがちですが、こじらせると気管支炎や肺炎といったより重い病気を引き起こす可能性もあり、決して油断はできません。だからこそ、比較的軽い症状のうちに、手軽かつ効果的に治すことが大切です。

一般的に「風邪(かぜ)」と呼ばれるのは、様々なウイルスによって引き起こされる急性の上気道炎じょうきどうえん(鼻や喉の炎症)の総称です。ライノウイルス、コロナウイルス(一般的な風邪の原因となるもの)、RSウイルス、アデノウイルスなど、非常に多くの種類のウイルスが風邪の原因となり得ます。

これらのウイルスは、主に感染した人の咳やくしゃみによって飛び散る飛沫ひまつを吸い込むことによる感染(飛沫感染)や、ウイルスが付着したドアノブや手すりなどに触れた手で目・鼻・口を触ることによる接触感染によって広がります。

体内に侵入したウイルスは、鼻や喉の粘膜に付着し、そこで増殖を始めます。このウイルスが増殖している期間を潜伏期間といい、一般的に1~3日程度です。その後、喉の痛み、鼻水、くしゃみ、咳といった初期症状が現れ始め、発熱や全身の倦怠感を伴うことも少なくありません。

見逃さないで!風邪の代表的な症状

風邪の症状は、原因となるウイルスの種類やその時の体調によって様々ですが、代表的なものとしては以下のようなものがあります。

  • 喉の痛み、イガイガ感、腫れ
  • 咳、たん
  • 鼻水(初期は透明でサラサラ、後に黄色や緑色で粘り気が出ることも)、鼻づまり、くしゃみ
  • 発熱、悪寒(寒気)、頭痛、頭重感
  • 全身の倦怠感、関節痛、筋肉痛

これらの症状は、私たちの身体が侵入してきたウイルスと戦っている大切なサインです。症状を適切に和らげ、身体の回復をスムーズに促すためには、早めの適切な対処が重要になります。

東洋医学で考える「風邪ふうじゃ」とは

東洋医学では、病気の主な原因の一つとして、外部環境から身体に侵入してくる様々な「邪気じゃき」があると考えます。 風邪の場合、文字通り「風邪ふうじゃ」と呼ばれる邪気が、寒さの邪気である「寒邪かんじゃ」、湿気の邪気である「湿邪しつじゃ」、熱の邪気である「熱邪ねつじゃ」などを伴って体内に侵入し、身体の正常な機能(特に「衛気えいき」と呼ばれる体表を守るバリア機能)のバランスを崩すことで、様々な症状が現れると捉えます。

また、東洋医学では、個々の体質(虚実、寒熱など)を非常に重視します。同じ風邪のウイルスに感染しても、体力や抵抗力、普段の体調によって、症状の現れ方や病の進行具合、治りやすさが異なると考えます。例えば、元々体力がなく虚弱な体質(虚証:きょしょう)の方は、風邪をひきやすく、一度ひくと長引いたり、こじらせたりしやすい傾向があります。

東洋医学における風邪治療は、単に鼻や喉といった局所の炎症として捉えるのではなく、身体全体の機能の失調として捉え、その調和を取り戻し、身体が本来持っている自然治癒力を高めることを目指します。

2.鍼灸治療のメカニズム
風邪ふうじゃに対する具体的なツボとアプローチ

鍼灸治療が風邪に効果的な理由

東洋医学の重要な治療法の一つである鍼灸治療は、風邪の治療においても、症状の緩和だけでなく、身体の免疫力を高め、自然治癒力を引き出す効果が期待できます。

  • 体力回復のサポート
    消化吸収機能を高め、身体の回復に必要なエネルギー(気)を補う手助けをします。
  • 免疫機能の調整
    特定のツボへの刺激が、白血球の働きを活性化させるなど、免疫機能を調整する効果があると考えられています。
  • 血行促進と消炎作用
    鍼や灸の刺激は、患部や関連部位の血行を促進し、炎症を鎮め、発痛物質の排出を助けます。
  • 自律神経のバランス調整
    発熱や倦怠感、食欲不振など、風邪に伴う自律神経の乱れを整え、心身のリラックスを促します。
  • 症状の緩和
    咳、喉の痛み、鼻づまり、頭痛、関節痛といったつらい症状を和らげます。

風邪のケアに効果が期待できる主要なツボの例

風邪の症状や進行度、体質に合わせて多くのツボを使い分けますが、代表的なものには以下のようなツボがあります。

頸部 「風府ふうふ」、「風池ふうち
背中 「大椎だいつい」、「大序だいじょ」、「風門ふうもん
   「肺兪はいゆ
喉  「天突てんとつ
胸部 「中府ちゅうふ
腕部 「孔最こうさい」、「合谷ごうこく

具体的な鍼灸治療法(症状別アプローチ)

東洋医学では、「風邪ふうじゃ」は最初に背中にある「風門」というツボから体内に侵入し、それが後頭部の「風池」に溜まり、さらにその上にある「風府」に集まると考えられています。そして、これらの邪気が頭の中に入り込み、身体の節々(関節など)にまで及んで、いわゆる風邪の様々な症状(悪寒、発熱、頭痛、関節痛など)を引き起こすとされています。

したがって、風邪の鍼灸治療は、まずこの「風府」、「風池」、「風門」という3つのツボを治療することから始めるのが基本です。 これらのツボに加え、風邪の諸症状に絶対欠かせないのが、背中にある「肺兪」への刺激です。「肺兪」は東洋医学で「肺」の気が注ぐ場所とされ、呼吸器系全般の機能を高めます。その他、首の付け根の「大椎」(発熱や悪寒に効果的)や、その近くの「大杼」も治療に加えると効果的です。

  • 胸部の症状(咳、痰、息苦しさなど)には
    胸にある「中府」が特効穴の一つとされています。「中府」は「肺」の経絡の気が集まる募穴ぼけつであり、呼吸器系に不調が現れた際に様々な症状が集まりやすいポイントです。
  • 喉の痛み、咳、痰には
    腕にある「孔最」も特効穴です。「孔最」は「肺」の経絡の郄穴げきけつという種類のツボで、風邪の邪気が最も集まりやすく、急性症状が出やすい場所とされています。ここを刺激することで、喉の痛み、咳、痰などの症状を取り除くのに優れた効果が期待できます。 合わせて、喉の痛みや食欲不振を解消するために、手の「合谷」もよく用いられます。
  • 咳がひどく苦しい時には
    喉仏の下のくぼみにある「天突」や、胸の「兪府ゆふ」、「彧中いくちゅう」、「中府」などを中心に刺激を加えます。特に「天突」は、発作的な激しい咳を鎮めるのに効果的と言われています。
  • 頭痛、頭重感がある時には
    頭頂部の「百会ひゃくえ」や、首の付け根の「風池」を丁寧に刺激します。
  • 肩こりを伴う場合には
    肩の「肩井けんせい」や肩甲骨内側の「曲垣きょくえん」などをポイントに加えます。
  • 鼻づまりには
    目の下、頬骨のあたりにある「四白しはく」なども効果的な場合があります。
のどの痛み

3.風邪のセルフケア
家庭でできる効果的なツボ押しと
身体を温める食事療法

鍼灸院での治療と合わせて、ご家庭でもできるセルフケアや養生法を取り入れることで、風邪のつらい症状を和らげ、より早い回復を目指すことができます。

風邪の下痢に効く!手の先のツボ「商陽」

風邪をひいた際、ウイルスが腸管に入り込み、下痢を引き起こすことがあります。 このような場合、人差し指の爪の付け根(親指側)にある「商陽しょうよう」というツボを刺激するのが効果的です。

  • 刺激方法
    • もう片方の手の親指と人差し指で、「商陽」のツボを挟むようにして、少し痛みを感じる程度の強さで数秒間指圧します。これを数回繰り返します。
    • または、つまようじの尖っていない方の端で軽く刺激したり、市販の磁気粒などを貼ったりするのも良いでしょう。
  • 期待できる効果
    商陽」は、東洋医学で「大腸経だいちょうけい」という経絡の始まりのツボであり、特に腸の調子が悪くなって起こる下痢、中でも風邪をひいて熱がある時の下痢に対して優れた効果を発揮するとされています。 風邪の症状と腸の不調は決して無関係ではなく、風邪をひく時はお腹を冷やしていることも少なくありません。そのため、頭痛や発熱といった風邪の症状と同時にお腹の調子が悪くなったり、下痢っぽくなったりすることが多いのです。このような場合に「商陽」を刺激することは、一石二鳥の効果が期待できます。

指先もみで熱を下げる家庭療法

風邪をひいて熱っぽいと感じる時、手の指先を揉むことで、意外なほど早く熱が下がり、風邪の治りが早まることがあります。

  • 方法
    • 手の指先(どの指でも構いませんが、特に中指や人差し指など)の、爪の生え際の両側を、反対の手の親指と人差し指で挟み、強めにしっかりと揉みます。
    • かなり痛みを感じることがありますが、その痛みがポイントです。
  • メカニズムの考え方
    指先を強く揉むことによる痛み刺激が交感神経を瞬間的に緊張させ、全身の末梢血管(手足の先の細い血管)を強く収縮させると考えられます。血管が収縮すると、そこを流れる血液量が一時的に減少し、体表面からの熱の放散が抑えられると同時に、身体の中心部の熱産生とのバランスが変化し、結果として体温が下がる方向に働くのではないか、という考え方です。

※これは東洋医学的な経験に基づくものであり、現代医学的な解釈とは異なる場合があります。

食べて改善 身体を温め、症状を和らげる食事

風邪のひき始めは、身体を温め、消耗したエネルギーを補い、ウイルスと戦う力をサポートする食事が大切です。東洋医学では、特に「肺」を潤し、邪気を追い出す食材が良いとされています。

  • 身体を温めて風邪に対抗する食材例
    • 香味野菜
      • シソ(紫蘇)、ショウガ(生姜)、長ネギ、ニンニク(これらは発汗を促し、体表の邪気を追い出す効果が期待できます)
    • 香辛料
      • コショウ、トウガラシ(少量)、八角(身体を温め、気の巡りを良くします)
    • 甘味
      • 黒砂糖(身体を温め、エネルギーを補給)
  • 咳を鎮め、喉を潤す食材例
    • ナッツ類
      • アーモンド(肺を潤し、咳を鎮める)
    • 種実類
      • 銀杏ぎんなん(咳止め、痰切り)
    • 野菜類
      • カブ(消化を助け、痰を切る)
      • ニンニク(殺菌作用、体を温める)
      • ユリネ(肺を潤し、咳を鎮める、精神安定)
    • 果物類
      • ウメ(梅干しなど:咳止め、喉の炎症を抑える)
      • ナシ(梨:肺を潤し、熱を冷まし、咳や痰を和らげる)
    • その他
      • 海苔(ミネラル豊富、喉の粘膜保護)
      • はちみつ(喉の痛みや咳を和らげる)

【食事のポイント】 風邪の時は消化機能も低下しやすいため、消化が良く、温かいものを選びましょう。十分な水分補給も忘れずに。

4.風邪の予防と回復後の体調管理

風邪の潜伏期間中に気をつけること
早期対策の重要性

風邪のウイルスに感染してから症状が出るまでの潜伏期間中(通常1~3日程度)は、自覚症状がないことも多いですが、体内ではすでにウイルスとの戦いが始まっている可能性があります。 この時期に、以下の点に注意することで、本格的な発症を防いだり、症状を軽く済ませたりすることができるかもしれません。

  • 体調の小さな変化に敏感になる
    なんとなく身体がだるい、喉が少しイガイガする、軽い寒気がするなど、いつもと違う「おかしいな」というサインを感じたら、無理をせず早めに休息を取りましょう。
  • 身体を冷やさない
    特に首の後ろ(風門のあたり)、背中、足首などを冷やさないように、温かい服装を心がけましょう。
  • 免疫力を高める生活を意識する
    バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な湿度を保つなど、免疫力をサポートする生活を心がけましょう。
  • 基本的な感染予防策の徹底
    手洗いやうがいをこまめに行い、ウイルスの侵入をできる限り防ぎましょう。

風邪をひいた時の休息のポイント
回復への近道

風邪をひいてしまった時、最も重要な治療法の一つが「十分な休息と睡眠」です。 睡眠は、免疫細胞の働きを活性化させ、身体の修復を促し、ウイルスと戦うためのエネルギーを蓄える上で非常に重要な役割を果たします。質の高い睡眠を確保するために、以下の点を意識しましょう。

  • 十分な睡眠時間を確保する
    普段よりも長めに、身体が求めるだけ睡眠時間を確保しましょう。
  • 寝室の環境を整える
    静かで暗く、快適な温度と湿度(乾燥しすぎないように注意)が保たれた寝室で眠りましょう。
  • リラックスできる時間を作る
    身体を温める入浴(高熱時は避ける)、消化の良い温かい飲み物を飲む、軽い読書をするなど、心身がリラックスできる時間を作り、スムーズな入眠を促しましょう。
  • ストレスを避ける
    ストレスは免疫力を低下させる大きな要因となります。風邪をひいている時は、仕事や心配事をできるだけ手放し、心身ともにリラックスできる時間を持つことが大切です。

風邪の治療後の体調管理
再発を防ぐために

風邪の症状が治まった後も、油断は禁物です。体力が完全に回復するまでは、まだ免疫力が低下している可能性があります。無理な活動は避け、以下の点に注意して体調管理を行いましょう。

  • 回復期の栄養摂取
    引き続き、消化が良く、栄養バランスの取れた食事を心がけましょう。特に、タンパク質やビタミンCなどを意識して摂り、体力の回復をサポートします。
  • 徐々に活動レベルを上げる
    体調の回復具合に合わせて、少しずつ普段の生活や仕事のペースに戻していきましょう。急に無理をすると、ぶり返すことがあります。
  • 再発予防のための生活習慣の継続
    規則正しい生活、十分な睡眠、適度な運動、バランスの取れた食事といった健康的な生活習慣を継続し、免疫力を高く保つことが、次の風邪を予防する上で最も重要です。

5.まとめ 東洋医学の力を借りて、
風邪に負けない身体づくりを

風邪は誰にでも起こりうる身近な病気ですが、その原因や症状の現れ方は様々です。 東洋医学では、風邪を単なる局所の症状としてではなく、身体全体のバランスの不調和として捉え、鍼灸治療を通じてそのバランスを整え、人間が本来持っている自然治癒力を高めることを目指します。

今回ご紹介した鍼灸治療のアプローチや、ご家庭でできる養生法、食事療法は、風邪のつらい症状を和らげ、早期回復をサポートする上で役立ちます。 風邪をひいてしまった際は、まず安静にし、身体を温め、適切な栄養と水分を補給することを基本としつつ、東洋医学的なアプローチも選択肢の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。 そして、日頃から免疫力を高め、風邪に負けない丈夫な身体づくりを心がけることが大切です。ひごころ治療院では、そのお手伝いをさせていただきます。

6.【参考情報】「いわゆる風邪症状」の
感染症法における位置づけについて
(2025年4月~)

2025年4月より、これまで法的な感染症として明確には扱われていなかった、いわゆる“風邪”の症状を含む「急性呼吸器感染症」が、感染症法に基づき5類感染症として位置づけられました。この変更は、私たちの日常生活にいくつかの影響を与える可能性がありますので、概要をご理解いただくことが大切です。

変更の概要

  • 対象となる感染症
    鼻炎、中耳炎、咽頭炎(のどの炎症)といった一般的な風邪症状に加え、インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)、百日せきなど、幅広い呼吸器感染症が「急性呼吸器感染症」として一括りに5類感染症の対象となります。
  • サーベイランス(監視体制)の実施
    全国約3000の定点医療機関(指定された医療機関)を通じて、毎週の患者発生数が集計され、感染症の流行状況が継続的に把握されます。

変更の背景と目的

この分類変更の主な目的は以下の通りです。

  1. 感染症の流行状況の的確な把握
    流行しやすい様々な呼吸器感染症の動向を継続的に把握することで、早期の注意喚起や公衆衛生対策に繋げます。
  2. 将来のパンデミックへの備え強化
    新型コロナウイルス感染症の経験を踏まえ、今後、未知の新たな感染症が発生・拡大した場合に、迅速にその兆候を探知し、効果的に対応できる体制を強化します。
  3. 公衆衛生対策へのデータ活用
    集計されたデータは、地域ごとの感染状況の分析や、必要に応じた注意喚起、医療提供体制の検討などに活用されることが期待されます。

私たちの生活への影響と重要な視点

現時点(2025年6月)では、この変更が私たちの日常生活に直接的かつ大きな行動制限をもたらすものではありません。

  • 受診や報告の義務
    一般の方が風邪症状で医療機関を受診した場合でも、特別な報告義務が新たに生じるわけではありません。
  • 行動制限
    5類感染症であるため、感染したとしても、原則として法律に基づく強制的な隔離措置や就業・登校制限の対象とはなりません。(※ただし、個々の職場や学校の規定、または症状の程度によっては、自主的な休養が推奨されることはあります。)

しかし、この変更に伴い、以下のような間接的な影響や、今後私たちが意識していくべき点があります。

  • 感染症への意識向上
    これまで「ただの風邪」と捉えられがちだった症状も、感染症の一つとしてデータが集計・公表されることで、社会全体の感染予防への意識がさらに高まる可能性があります。
  • 医療機関の受診行動の変化の可能性
    感染症の流行状況によっては、特に高齢者や基礎疾患のある方、小さなお子様など、重症化リスクの高い方々を中心に、早めの医療機関受診を推奨する動きが強まるかもしれません。
  • 職場や学校などでの対応の変化の可能性
    職場や学校によっては、感染症対策として、体調不良時の積極的な休養の推奨や、マスク着用、換気の徹底などが、より一層重視されるようになる可能性が考えられます。

【重要な視点】 今回の法改正は、個人の行動を大きく制限することを主目的とするものではなく、公衆衛生全体の監視体制を強化し、より効果的な感染症対策を行うための情報収集基盤を整えることを主な目的としています。 私たち一人ひとりは、この変更に対して過度に心配するのではなく、引き続き、手洗い、うがい、咳エチケットといった基本的な感染予防策を継続し、日頃からの体調管理に注意していくことが大切です。また、公的機関などから発信される感染症の流行状況に関する情報には、今後も注意を払っていく必要があるでしょう。

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