口角の荒れ

口角炎の原因と対策

症状

口の端が切れるのは口角炎といい、関西では「胃の花が咲く」ともいわれます。胃の疲れが、口にあらわれたことを意味します。

口、食道、胃、腸、肛門は全て1本の消化器官としてつながっています。一部が悪くなれば、全体に影響しますが、目に見えて症状が出やすいのが口であります。

胃の不調の挿絵

胃の花は、別名「見張りイボ」ともいわれていて、「消化器官のどこかに異常があるよ」というサインを出しています。

口角炎口内炎は、大抵一晩寝たら治りますが、いつまでも治らないのは、胃腸の状態がかなり弱っていて、口の免疫機能が落ちている可能性があります。放置すると、胃炎から胃潰瘍、胃がんと進み、腸の不調から大腸がんになる可能性があります。

口角炎が頻繁に出て、すぐに回復しない場合は、生活習慣を見直す必要があります。胃腸にストレスを与えないように、食事はよくかんで。水で流し込まないようにして、アルコールや刺激物は避けて、睡眠をしっかりとるように心がけます。

鍼灸治療

主要なツボ

口周囲  「地倉」、「承漿
背中   「肝兪」、「脾兪」、「胃兪
腹部   「巨闕」、「中脘」、「天枢」、「不容」、「期門
足    「足三里

などが口角炎の治療のポイントになります。

治療法

口角炎は、胃腸の調子が悪いときにできやすいので、鍼灸治療は病気の起こる口の周囲のほかに、広い意味での消化器病の一つとして捉えて治療を行います。

口のきわで左右の切れ目のところにある、口角炎ができやすいところに位置する「地倉」は特効穴です。

「地倉」というツボの名前の由来は、地の気を取り入れて大倉(胃のこと)へ送るところからきています。地の気とは、地に実る五種の穀物(米・麦・キビ・粟・ヒエ)のことをいい、このツボに刺激を加えれば地の気がうまく大倉を通り、胃腸の調子が整います。

「地倉」を刺激して、のど仏の上方で、首の横しわの中の「廉泉」の刺激を加えると一層有効です。

その後、背中の施術へ移ります。消化器の働きを整える、「肝兪」、「脾兪」、「胃兪」の、いわゆる胃の六ツ灸は必須です。

腹部は、「巨闕」、「中脘」、「天枢」を刺激します。「不容」、「期門」も加えます。

最後に、胃経の「足三里」を刺激して、口角炎の遠因となっている胃腸の機能を整えます。

口角炎はできものだからといって、単純に塗り薬を使用すれば治ると考えがちですが、口端のできものはそんなことだけでは治りません。胃の調子を整えことを主眼として、加えて食生活の乱れを改善することで、自ずと良い結果が出ます。

メモ

口角炎には、灸と鍼がよく効きます。灸の場合は、「胃兪」、「中脘」、「天枢」、「足三里」に各々1日1回、3壮施灸します。子供や皮膚が弱く水ぶくれになる人は、温灸でもいいです。根気よく続けることがポイントです。

口角炎のほかに唇の荒れが伴う場合には、上記のツボに加えて、左右の第8肋骨の先端にある「承満」というツボを処置します。「承満」は、その名の通り胃が張ってみぞおちがつっかえて重苦しいときによく効くツボで、消化器の働きを正常にして、唇の荒れも治る働きがあります。

体からのSOS

口の両端(口角)がただれ、炎症が起こるものを口角炎といいます。ぞくに“カラスの灸”といわれるものがそれである。

口角炎は胃の調子が悪いときにあらわれる症状で、特に子供にできやすいです。子供の場合は、はしかや肺炎、インフルエンザなどのような高熱の出る病気で、体力が落ちているときに起こりやすく、食べ物がとれないために回復が遅れることさえあります。

また、口角炎は胃腸障害、口腔乾燥、あるいはビタミンB₂が欠乏したときも起こりやすく、このときは口内炎や皮膚炎を併発し、目が疲れやすく、涙が多くなり、結膜炎を起こしやすくなります。

口角炎の治療は、患部をよく刺激してやることであります。さらに、胃腸の機能を整えるツボもよく刺激しましょう。

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