食欲不振の原因 ー鍼灸治療の効果
症状
食欲がない、あるいは食べる気が起こらない、食べてもおいしくないといった状態は、誰でも日常経験することで、いわゆる食欲不振と呼ばれるものであります。
では、食欲不振はどんなときに起こるかといえば、胃や腸、肝臓などの消化器に何らかの原因があるものと、消化器以外に原因があるもの、原因不明または心因性と呼ばれるものの三つに分けることができます。
消化器の病気では、胃下垂、胃アトニー、胃炎、胃潰瘍、胆石症、腸炎、便秘など、あらゆる消化器疾患が原因となる可能性があります。急性肝炎の初期症状でも、食欲不振や吐き気を訴えることがあります。
消化器以外の病気では、腎炎、貧血症、心臓病、高血圧症、肺結核、アルコール中毒、寄生虫、つわり、発熱、便秘など、数え挙げればきりがないです。
上記のような特別な病気がないのに、何かちょっとしたことがすぐ胃にこたえ、食欲がなくなる人もいます。神経性食欲不振症と呼ばれるのは、おおむねこのようなタイプであります。
なぜこのようにいろいろな病気や、ちょっとした心の変化が食欲不振を引き起こすのでしょうか?それは食欲を感じる中枢が間脳の視床下部にあるからです。間脳とは、脳の最も中心のところにある脳細胞の塊で、この部分は、血管や内臓をめぐる自律神経の働きを調整しているところであります。
つまり、間脳とは、体と心の働きに最も関連の深いところだということになります。そこで、間脳の中枢にある食欲の働きは、あらゆる原因によって不快な感じを伴う食欲不振という症状になって表れる訳であります。
食欲不振の治療には、二つの方法が考えられます。
まず原因となっている病気が分かれば、それを取り除くことであります。二つ目の方法は、薬またはツボ療法によって、食欲そのものを亢進させることであります。
とりわけツボ療法は、医師の診断で何の異常も認められない精神的な原因からくるもの、あるいは過労、便秘などが元になっているものなら効果は高いです。
食欲を亢進させるには、胃の緊張を高め、蠕動運動を正常にして、同時に胃液の分泌をはかることによって、胃の中にある食べ物を速やかに腸に送り出してやることであります。そうすれば不快な感じがとれ、爽快な空腹感、つまり食欲がよみがえることになります。
ツボ療法は、この胃液の分泌と胃の蠕動運動を高めることを目的に治療します。
鍼灸治療
主要なツボ
背部 「肝兪」、「胃兪」
腹部 「期門」、「中脘」、「肓兪」、「大巨」
喉 「気舎」
足部 「足三里」、「地機」
などがポイントになります。
治療法
上記のツボは、反応があるツボを選んで刺激します。灸治療をするとさらに効果があります。神経性のものなら、「百会」、「天柱」を加えるといいでしょう。一つのツボに、小切もぐさか中切もぐさで3~5壮行います。知熱灸、ショウガ灸、ニンニク灸でも効果的です。
メモ
頑固な食欲不振は重大な病気が隠れていることがあるので、専門医の診察を受けることをお勧めします。また、高熱で食欲がないときは、水分やビタミン類を補給して、解熱するのを待った方がいいでしょう。
心配事のために食欲がないとき・・・
何か心配事やストレスで食欲がなくなったときには、足の第2趾と第3趾の間から足の甲に向かってさぐっていくと、足の甲の傾斜が少し気になるところに、血管の拍動を感じる場所があります。ここが「衝陽」というツボで、この辺りをほぐすようにもむと、気分が晴れて食欲が戻ります。
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