猫背の原因と対策
鍼灸による姿勢改善と運動の重要性
「気づくと背中が丸まっている…」
「肩こりや背中の張りが取れない…」
「猫背のせいで、呼吸が浅くなったり、
胃腸の調子が悪かったりする気がする…」
見た目の印象だけでなく、様々な身体の不調を引き起こす猫背。特に、長時間のデスクワークやスマートフォン操作が日常となった現代社会では、多くの方が悩みを抱えています。
この記事では、猫背がなぜ起こるのか、その原因と症状、そして東洋医学に基づく鍼灸治療がどのように姿勢改善をサポートできるのか、ご家庭でできるケアや運動と合わせて詳しく解説します。
【目次】
1.猫背とは?
~その原因と様々な症状~
猫背が引き起こす身体の変化と不調

猫背とは、背骨(脊柱)が後方に丸く曲がってしまった状態を指します。 一昔前までは、主に加齢による「硬直性脊椎炎」など、いわゆる“年寄り病”の一つとして見られることが多かったですが、現代では年齢に関わらず多くの方に見られます。
背骨が曲がることで、単に見た目の問題だけでなく、以下のような様々な症状が現れることがあります。
- 息苦しさ、胸苦しさ(胸郭が圧迫されるため)
- 胃腸の働きの低下、便秘がちになる
- 頑固な肩こりや背中の痛み、腰痛
- 頭痛、めまい
- 疲れやすい、気分が晴れない
脊柱を構成する椎骨や、その間にあるクッションの役割をする椎間板の柔軟性が失われ、背骨全体が棒のようになってしまうと、これらの症状はさらに悪化しやすくなります。
なぜ猫背になるのか?主な原因
- 加齢による変化
年齢とともに背骨を支える筋力が低下したり、椎間板が変性したりすることで、背中が丸まりやすくなります。 - 長時間の不良姿勢
デスクワークやスマートフォン操作などで、長時間うつむき姿勢や前かがみの姿勢を続けることが、現代における最大の原因の一つです。 - 運動不足
背骨や肩甲骨周りの筋肉(特に脊柱起立筋など)が弱くなると、正しい姿勢を保つことが難しくなります。 - 便秘
腹筋の弱さや運動不足が原因で便秘に悩んでいる方は、姿勢を支える体幹の力も弱い傾向があり、猫背になりやすいとされています。特に女性は注意が必要です。 - 心理的要因
気分が落ち込んでいる時や、自信がない時など、心理的な状態が姿勢に現れることもあります。
鍼灸治療の役割と限界
鍼灸治療によって、曲がってしまった背骨そのものを治すことはできません。 しかし、猫背に伴って起こる筋肉の過度な緊張や疲労を取り除き、血行を促進し、つらい症状(痛み、こり、息苦しさ、胃腸の不調など)を緩和することは、鍼灸治療の得意とするところです。 鍼灸は、あくまで症状を和らげ、身体が本来持つ機能を回復させるための補助療法として、非常に重要な役割を果たします。
また、症状の進行を防ぐ意味では、日頃から身体の屈伸・回旋・側屈といった運動を継続的に行い、正しい姿勢を意識することが何よりも大切です。油断していると、このような症状は若いうちから始まることもあります。 一見、若々しい中年女性でも、下着姿になると、案外猫背の前触れが感じられるタイプは少なくありません。
2.猫背に対する鍼灸治療
鍼灸が猫背の症状に効果的な理由
- 深層筋へのアプローチ
猫背によってガチガチに固まった背骨周りの深層筋(脊柱起立筋など)に、鍼で直接アプローチし、緊張を効果的に緩めます。 - 血行促進
鍼や灸の刺激により、背中や肩甲骨周りの血行を促進し、痛みやこりの原因となる老廃物の排出を助けます。 - 内臓機能の調整
腹部や背中のツボを刺激することで、猫背によって圧迫されがちな呼吸器や消化器系の働きを整えます。 - 姿勢改善のサポート
筋肉の緊張が和らぐことで、身体が動かしやすくなり、正しい姿勢を取り戻すための土台作りができます。
姿勢改善に効果が期待できる主要なツボの例
猫背に伴う症状や体質に合わせて、以下のツボを中心に施術します。
具体的な鍼灸治療の流れ
3.ご家庭でできる!
猫背改善・予防のためのセルフケア
猫背気味の方におすすめのリハビリ運動
- 首の運動
軽く首を前、後ろ、左右にゆっくりと倒したり、回したりします。 - あくび体操
両腕を大きく広げて、あくびをするように胸を大きく開きます。肩甲骨を寄せる意識で行いましょう。 - 体幹の運動
上体を静かに左右に傾けたり(側屈)、左右にねじったり(回旋)、前に曲げたり(前屈)する運動を、無理のない範囲で5~10分続けます。 これらの運動で、筋肉のこわばりがとれ、身体がスッキリしてきます。
背中が痛いときのセルフマッサージ
背中の両側の筋肉(脊柱起立筋)は非常に疲れやすく、すぐに緊張して痛くなりやすいです。
- 方法
この場合は特定のツボというよりも、背骨の両側を縦に走っている筋肉全体を、首の付け根からお尻まで、ご自身の手(親指を除く四指の先)や、手のひらの手首近くの肉厚な部分で、やや強く押します。特に痛む箇所は、少し念入りに行いましょう。 (※テニスボールなどを床に置き、その上に仰向けになってゴロゴロと転がすのも効果的です。) - 特におすすめのツボ
昔から「背中が痛いといったら「大杼」を使え」といわれています。「大杼」は、第1胸椎(首を前に倒したときに一番出っ張る骨のすぐ下)の横、外側1.5寸(指2本分くらい)にあります。このあたりも意識して刺激すると良いでしょう。
予防のための運動習慣
「ラジオ体操」のススメ
毎日の習慣としてラジオ体操を行うことは、背骨の曲がりだけでなく、肩こりや腰痛などを防ぐのにも大変役立ちます。全身をバランス良く動かす、優れた予防運動です。
ひごころ治療院では、あなたのつらい症状の改善はもちろん、再発しないための身体づくりと生活習慣のアドバイスまで、トータルでサポートさせていただきます。













