猫背の原因 ー対策と正しい姿勢と運動の重要性
【目次】
1.猫背の原因と症状
2.猫背の鍼灸治療
・主要なツボ
・治療法
・猫背ぎみのリハビリ運動
・背中が痛いときは…
猫背の原因と症状
近頃はあまり見かけなくなりましたが、一昔前まではずいぶん見かけたものであります。背骨が曲がる、いわゆる猫背は、その多くが老化からくる硬直性脊椎炎と呼ばれるものであります。軽ければともかく、猫背がひどくなりますと、息苦しい、胸苦しい、胃腸の働きが悪く便秘がちになるなど、様々な症状があらわれます。
脊柱をつくる椎骨と、この椎骨を結んでいる関節腔が狭くなり、さらにスポンジ状の椎間板の水分が抜けて、硬く骨のようになり、脊柱は棒のようになって弾力性や柔軟性を失います。
曲がっている背骨をツボで治すことはできないので、それに伴う筋肉の過緊張や疲労をとる補助療法としての役割が東洋医学的治療のポイントとなります。
しかし、進行を防ぐ意味で、体の屈伸・回旋・側屈の運動を常に行うことと正しい姿勢が大事になります。油断していますと、こうした症状は若いうちに始まることがあります。ラジオ体操は、毎日行うことで背骨の曲がりだけではなく、肩こりや腰痛などを防ぐのにも役立つでしょう。
一見若々しい中年女性も、下着姿になると、案外こんな症状の前触れを感じるような猫背タイプは少なくないので、気を付ける必要があります。
特に、運動不足で便秘に悩んでいる女性は老化が早くなるので要注意です。
猫背の鍼灸治療
主要なツボ
などがよく使われるツボです。
治療法
うつぶせで、首から肩、背骨の両側に沿って腰の仙骨までの筋肉をツボを選択して刺激します。また、腰から脇腹の筋肉もほぐします。
次いで、仰向けになり、腹部の筋肉を緩めます。「中府」、「膻中」、「巨闕」、「期門」、「中脘」、「大巨」、「肓兪」などのツボを刺激します。
猫背になりやすい体質の人は、腹筋が弱く、便秘しやすいので、腹部の治療はそれを解消するのにも効果があります。
最後にストレッチポールなどで、脊柱に沿って縦に入れて、ゆったりとその上で両腕、両足を伸ばして寝ます。次に縦にして首のつけ根から腰の方へ、少しずつ動かしていきます。1カ所に1~2分行いますと、背中が軽くなり、息が楽になって、胸苦しさがとれます。
猫背ぎみのリハビリ運動
猫背ぎみの人は、次の運動を行うとよいでしょう。軽く首を前、後ろ。左右に回す運動、両腕を広げて胸を広げる一見あくびをしているようなあくび体操、上体を静かに左右に傾け、左右にねじる回線運動、体を前に曲げる運動など5~10分続けますと、筋肉のこわばりがとれ、体がスッキリしてきます。
背中が痛いときは…
背中の両側の筋肉は非常に疲れやすく、すぐ緊張して、痛くなりやすいです。
この場合はどのツボというのでなく、背骨の両側を縦に走っている筋肉を、首のつけ根から臀部まで、親指を除く四指の先か、手のひらの手首近くの肉の厚いところで、やや強く押します。特に痛む個所は、少し念入りに行います。
ただ、昔から背中が痛いといったら、第1胸椎の下外方1寸5分(4.5㎝)の「大序」を使えといわれるので、このツボは必ず刺激します。
肩部 「中府」、「肩井」
胸部 「膻中」
腹部 「巨闕」、「中脘」、「期門」
「肓兪」、「大巨」
背部 「肺兪」、「膈兪」、「腎兪」
「小腸兪」
足部 「足三里」、「血海」、「梁丘」
「解渓」