糖尿病と鍼灸治療
体質改善と合併症予防のための
東洋医学的アプローチ
「健康診断で血糖値が高いと指摘された…」
「糖尿病と診断されたが、
薬だけに頼らず体質から見直したい…」
「手足のしびれやだるさなど、合併症が心配…」
糖尿病は、体内のグルコース(血糖)を適切にコントロールする機能が低下する代謝疾患です。慢性的な高血糖状態は、全身の様々な器官に深刻な合併症を招く可能性があり、早期からの適切な管理が非常に重要です。
この記事では、糖尿病の基本的な知識から、東洋医学に基づく鍼灸治療がどのように体質改善や合併症予防をサポートできるのか、そして西洋医学との上手な併用について詳しく解説します。
【目次】
1.糖尿病とは?
~その原因・症状と危険なサイン~
糖尿病の主な症状と体からのSOSサイン

糖尿病は、病気の程度が軽い初期段階では自覚症状がほとんど現れないことが多く、気づかないうちに進行しているケースも少なくありません。 しかし、身体はいくつかのSOSサインを発していることがあります。
最も多い自覚症状
- 異常にのどが渇き、水をたくさん飲む(口渇・多飲)
- 尿の回数や量が増える(頻尿・多尿)
- 常に空腹感があり、たくさん食べるのに痩せてくる(多食・体重減少)
- 全身の倦怠感、疲れやすい
【なぜ、のどが渇くのか?】
血糖値が高くなると、血液の浸透圧が上昇し、身体の細胞から水分が血液中に引き寄せられます。その結果、身体は脱水気味になり、強い喉の渇きを感じるのです。また、体は余分な糖を尿として排泄しようとするため、尿量が増え、さらに脱水が進むという悪循環に陥ります。
進行した場合に現れる合併症のサイン
- 急に視力が落ちる、目がかすむ(糖尿病網膜症)
- 手足がしびれる、感覚が鈍くなる(糖尿病性神経障害)
- おできや吹き出物ができやすく、治りにくい(易感染性)
- 皮膚のかゆみ
- 歯槽膿漏が悪化する
- 貧血症状
上記のようなサインに気づいたら、放置せずに必ず速やかに医療機関(内科、糖尿病代謝内科)を受診し、専門医による正確な診断と適切な治療を受けることが最も重要です。
糖尿病が起こる原因
糖尿病は、食事で摂取した糖をエネルギーとして利用するために不可欠なホルモン「インスリン」の働きが、何らかの原因で不十分になることで発症します。
- 原因
- インスリンの分泌不全
膵臓のβ細胞の機能が低下し、インスリンが十分に分泌されなくなる。 - インスリン抵抗性の増大
インスリンは分泌されていても、筋肉や脂肪組織での効きが悪くなっている状態。 - または、その両方が関与します。
- インスリンの分泌不全
- 発症の誘因
- 遺伝的素質のある人に、肥満(特に内臓脂肪)、過食、運動不足、精神的ストレス、感染症といった環境因子が加わることで発病しやすいといわれています。
糖尿病は、生活習慣や治療次第で良くも悪くもなる病気の典型です。治療の基本は食事療法と運動療法であり、飲食に注意して体重をコントロールし、ストレスを溜めないように心がけることで、十分に予防・改善が期待できます。
鍼灸治療が糖尿病ケアに役立つ理由
東洋医学では、糖尿病を「消渇」という病態で捉え、その原因を陰虚燥熱 (体の潤い不足と熱のこもり)、気陰両虚(エネルギーと潤いの両方の不足)などに分類します。
鍼灸治療は、これらのアンバランスを整えることを目指します。
- 体質改善と代謝の正常化
経穴(ツボ)への刺激を通じて、気血の流れを改善し、自律神経系や内分泌系(ホルモン系)のバランスを調整することで、糖尿病の病態改善に寄与する可能性が示唆されています。 - 合併症の予防と緩和
全身の血行を良くすることで、糖尿病によって起こる様々な合併症を予防したり、症状を軽くしたりする側面的なサポートが期待できます。 - 科学的研究
近年では、複数の研究で、鍼灸治療が血糖値、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)、インスリン抵抗性の改善に有効である可能性が示されています。
2.糖尿病に対する鍼灸治療
ひごころ治療院では、東洋医学の考えに基づき、糖尿病の病態を全身の機能失調として捉え、鍼灸治療を通じてこれらの失調を改善し、代謝機能の正常化を目指します。
糖尿病ケアに効果が期待できる主要なツボの例
糖尿病の症状や体質に合わせて多くのツボを使い分けますが、代表的なものには以下のようなツボがあります。
具体的な鍼灸治療法とアプローチ
全身の気血の巡り、および陰陽のバランスを調整し、根本的な体質改善を目的とした治療を行います。
鍼灸治療を受ける上での注意点
- インスリン注射が必須となる重症例(1型糖尿病など)を除き、鍼灸治療は糖尿病の症状軽減に一定の効果を示す可能性があります。
- ただし、糖尿病患者様は創傷治癒が遅延しやすく(傷が治りにくい)、感染リスクも高いため、お灸を行う際は、米粒大よりもさらに小さい艾を用いるなど、皮膚への負担を最小限にする細心の注意が必要です。
- また、頭部や頸部など毛髪のある部位への直接的なお灸は禁忌とされています。
3.糖尿病の合併症と鍼灸によるケア
糖尿病網膜症について
糖尿病網膜症は、緑内障と並ぶ日本人の失明の主要な原因の一つです。
血糖値が高い状態が続くと、眼の奥にある網膜の毛細血管がもろくなり、出血しやすくなります。この出血が原因で、網膜剥離などを引き起こし、視細胞が機能を失ってしまうことがあります。
基本的に、血糖値を良好にコントロールする糖尿病自体の治療を行うことが、糖尿病網膜症の予防と治療に繋がります。鍼灸治療は、全身の血行改善を促すことで、この網膜症の進行を抑制するサポートとなる可能性があります。
糖尿病性神経障害(痛み・しびれ)への影響
糖尿病の三大合併症の一つである糖尿病性神経障害は、手足の末端にしびれ、痛み、感覚の異常などを引き起こします。
鍼灸治療は、神経への血流を改善し、神経機能を回復させることで、これらのつらい症状を緩和することが期待できます。
4.西洋医学との併用と総合的なケア
医療機関での治療の重要性
糖尿病の治療は、内科や糖尿病代謝内科といった専門医による診断と管理が基本です。ひごころ治療院では、医師の診断と治療方針を最大限に尊重し、連携を取りながらサポートさせていただきます。
鍼灸と薬物・食事・運動療法の相乗効果
- インスリン治療や薬物療法との併用
鍼灸治療を併用することで、インスリン治療などの効果を高め、使用量を減らすことに繋がる可能性も報告されています。 - 食事療法・運動療法との連携
鍼灸治療は、食事療法や運動療法と組み合わせることで、より効果的な血糖コントロールが期待できます。鍼灸で身体のベースを整えることで、食事や運動の効果も出やすくなります。
ひごころ治療院では、鍼灸治療だけでなく、西洋医学、食事療法、運動療法、生活習慣の改善などを組み合わせた多角的・総合的なアプローチで、糖尿病の改善を目指します。
5.ひごころ治療院での
改善例と患者様の声
A様(60代・男性)「血糖値が安定し、足のしびれが楽になりました」
長年、糖尿病と診断され、薬を飲みながら食事にも気をつけていましたが、血糖値のコントロールがなかなかうまくいかず、足のしびれも出てきて不安でした。鍼灸が良いと聞き、こちらに通い始めたところ、まず身体が温まり、だるさが取れてきました。半年ほど続けた現在、血糖値も安定し、何よりつらかった足のしびれがかなり軽減しました。
※あくまで個人の感想であり、効果には個人差があります。
B様(50代・女性)「薬だけに頼らないケアを求めて」
境界型糖尿病と診断され、本格的な投薬治療になる前に体質から改善したいと思い、鍼灸を始めました。施術だけでなく、食事や運動についても親身にアドバイスをいただき、生活全体を見直す良いきっかけになりました。定期的なケアで、今のところ良い状態を維持できています。
※あくまで個人の感想であり、効果には個人差があります。
痛風は、適切な治療と生活習慣の改善によって、症状をコントロールし、より快適な生活を送ることが可能です。もし、痛風でお悩みの方は、ぜひ一度当院にご相談ください。
体からのSOS
異様にのどが渇く日が続く
糖尿病
喉が無性に渇くという訴えがあれば、医師はまず糖尿病を疑うそうです。糖尿病とは、体内の糖のコントロールがうまくいかない病気です。その結果、血中の糖の量が増えます。角砂糖を置いて放置すると水分を含んでしけってくるように、糖には水分を吸い寄せる性質があり、血液中の糖も体内の水分を引き寄せます。
水分をとられた体は脱水気味になり、のどが異常に渇きます。また、行き場のなくなった糖を排泄しようとし、必要以上の尿も出てしまうことも、体内の水分量を減らす原因になります。
他にも、糖尿病の初期症状として、体重減少が挙げられます。糖分が全て尿として出されるので、食べても食べても栄養が足りない状態になり、瘦せてきます。血糖を悪者のように考える人もいますが、人間の体は糖と酸素で動いているので、血統の値が低くてもいけません。
糖尿病を放置しますと、眼や腎臓、脳、心臓などに様々な不具合が出ます。血糖値が高い状態だと血管がボロボロに傷ついて、糖尿病網膜症や糖尿病腎症、心筋梗塞などの怖い症状が起きます。
さらに、糖によって血液中で菌が育ちやすくなるため、怪我などで化膿したり、壊疽したり、最悪なケースだと切断に至るケースもあります。
このような最悪なケースを避けるためには、早期発見とケアが大切になります。初期の糖尿病なら、食事と運動、体重に気を付けていればきちんと治ります。
なお、家族や親せきに糖尿病患者がいる人は、特に注意します。糖尿病は家系によってなりやすさが異なります。必ず定期的に検診を受けて、血糖値などに気を配るようにしましょう。
何科に行くべき?
内科/糖尿病代謝内科















