変形性腰椎症 ー 腰の痛み、放っておくのは危険?鍼灸による対処法
「長年の腰痛、年齢のせいだと諦めている…」
「腰だけでなく、足やひざまで痛んだり、しびれたりする…」
「ぎっくり腰を繰り返しやすい…」
そのつらい症状、もしかしたら変形性腰椎症が原因かもしれません。この記事では、主に加齢によって起こる変形性腰椎症の症状や原因、そして東洋医学に基づく鍼灸治療がどのようにその痛みを和らげ、日常生活をサポートできるのか、さらには腰痛に隠された心の問題についても解説します。
【目次】
1.変形性腰椎症とは?~その原因と特徴的な症状~
腰が痛いという症状に加え、足やひざまで痛んだり、しびれたりする場合、その原因は椎間板症か、変形性腰椎症であることが多いです。
特に変形性腰椎症は、中年以降の骨の老化によって、腰の骨である腰椎が変形してしまう状態を指します。 膝の関節が老化によって変形する「変形性膝関節症」と共に、中年以降の女性の半数以上に見られるともいわれています。
【重要な考え方】 変形性腰椎症は、骨の変形が「老化」という避けることのできない原因に根ざしているため、変形した骨そのものを元に戻し、病気をすっかり治すことはできません。 しかし、それによって引き起こされる痛みやしびれといったつらい症状が出ている段階では、鍼灸治療などでこまめに対処することで、神経への刺激による痛みを抑え、日常生活をより円滑に、快適に送るお手伝いをすることは十分に可能です。
2.変形性腰椎症に対する鍼灸治療
鍼灸が変形性腰椎症の症状に期待できること
- 痛みの緩和
鍼や灸の刺激により、痛みを抑制する脳内物質の分泌を促したり、痛みの伝達をブロックしたりします。 - 筋緊張の緩和
変形した腰椎を支えようとして過剰に緊張している腰やお尻、足の筋肉を深部から緩めます。 - 血行促進
滞っている患部の血流を改善し、発痛物質の排出を促し、組織に栄養を供給します。 - しびれの軽減
血行改善や筋緊張緩和により、神経への圧迫が軽減され、しびれの緩和が期待できます。 - 全身のバランス調整
東洋医学的な視点から、加齢に伴い低下しがちな「腎」のエネルギーを補うなど、根本的な体質改善をサポートします。
症状緩和に効果が期待できる主要なツボの例
変形性腰椎症に伴う症状や体質に合わせて、以下のツボを中心に施術します。
具体的な鍼灸治療法
「ぎっくり腰」を繰り返す方へのアドバイス
ぎっくり腰を何度も繰り返す方は、その背景に根本的な原因として変形性腰椎症が隠れていることが疑われます。 「何となく腰がうすら寒い」「足が冷える」「ひざがガクガクする」といった、ぎっくり腰が起こりそうな前兆を感じることがあります。そのような場合は、無理せずお風呂に入って腰を温め、早く休むとともに、腰にある「志室」のツボを普段から優しく揉む習慣をつけると良いでしょう。
3.【コラム】体からのSOS~原因不明の腰痛と心の関係~
心当たりのない腰痛が続く場合は要注意
腰痛といえば、ぎっくり腰や腰椎ヘルニアなどを思い浮かべるのが普通です。しかし、特にきっかけとなる原因が思い当たらず、慢性的な腰痛がずっと続く場合は、身体的な問題だけでなく、心因性の痛みが疑われることがあります。 最近の研究では、慢性腰痛の中には、うつ病からくるものが意外に多いことも分かってきました。
うつ病・老人性うつと腰痛の関連
うつ病は、誰にでもある感情の起伏が極端に下向きに振れてしまい、深い悲しみや無気力状態に陥ってしまう病気です。几帳面で真面目、責任感の強い人ほどなりやすいともいわれます。 様々なストレスから心がすり減ってしまい、眠れない、食べられない、何に対してもやる気が起きない、といった精神症状が現れますが、中には頭痛や肩こり、そして腰痛といった身体の痛みとしてうつ症状が現れる人(仮面うつ病)もいます。 精神的なストレスなどが原因で自律神経や内分泌系が異常をきたし、ズキズキとうずくような痛みが出ることがあり、その心因性の痛みとして最も現れやすい症状の一つが腰痛なのです。その意味では「腰痛は心の叫び」と言えるかもしれません。
特に近年では、65歳以上の高齢者がかかる老人性うつも話題になっています。定年退職やそれに伴う生活リズムの変化、子供の独立、配偶者との死別など、環境の変化による喪失感やストレスが大きな要因です。仕事一筋で頑張ってきた人ほど、急にやることがなくなり、活力を失ってしまう危険性があります。 また、老人性うつの原因として、加齢に伴う脳の血流悪化による意欲低下も関係しています。放置すると活動量が減り、筋力が落ちて寝たきりに繋がることもあるため、注意が必要です。
【認知症との違い(参考)】
老人性うつは認知症と間違われることもありますが、症状は似ていても明確な違いがあります。うつの場合は、ボーっとしていても記憶障害そのものはありません(思い出すのが億劫なだけ)。また、認知症では食欲があることが多いのに対し、うつでは食欲がない傾向にあります。
何科に行くべき?
原因不明の腰痛が続き、気分の落ち込みなど他の症状もある場合は、整形外科だけでなく、以下の診療科への相談も検討しましょう。
- 心療内科
- 精神科
- 鍼灸院(心身両面からのアプローチとして)
症状がひどい場合は、医療機関で薬物療法などを検討することも重要です。ひごころ治療院では、このような心因性の腰痛に対しても、自律神経のバランスを整え、心身のリラックスを促す鍼灸治療でサポートいたします。