便秘の原因と対策
鍼灸治療と生活改善で
スッキリ快適な毎日へ
「何日も出ていない…」
「お腹が張って苦しい…」
「薬に頼らないと出ない…」
便秘は、現代人の多くが抱える身近な悩みの一つです。デスクワーク中心の生活や運動不足、不規則な食生活や睡眠不足は、腸のぜん動運動(便を送り出す動き)を低下させ、便秘を引き起こしやすくなります。このページでは、そんなつらい便秘の原因と症状、そして東洋医学に基づく鍼灸治療によるアプローチ、ご家庭でできるセルフケアや生活習慣の改善ポイントまで詳しくご紹介します。
【目次】
1.便秘とは?
~その原因と様々な症状~
便秘の定義とタイプ(弛緩性・痙攣性)

便秘とは、一般的に健康な時に比べて排便の回数や量が減少し、お腹の張りや残便感などの不快な症状を伴う状態を指します。
どの程度からが病的な便秘なのかは個人差が大きく一概には言えませんが、例えば3~4日に1回程度の排便でも、ご本人が特に苦痛を感じていなければ、必ずしも治療が必要な便秘とは限りません。
一方で、毎日排便があっても、量が非常に少ない、便が硬くて出しにくい、排便後もスッキリしない(残便感がある)といった場合も便秘と考えられます。
便秘の原因は様々で、大腸自体の病気、全身の病気、薬の副作用、体質的な要因(腸の働きの弱さ)、食事内容、精神的ストレス、内分泌系の異常などが挙げられます。
この中で最も多いのが、特定の病気が背景にない「常習性便秘(機能性便秘)」です。日本人女性の約7割が便秘に悩んでいるともいわれ、その多くがこの常習性便秘に該当すると考えられています。
常習性便秘は、主に以下の2つのタイプに分けられます。
- 弛緩性便秘
大腸のぜん動運動(便を押し出す力)が弱くなっているタイプです。腸管の緊張が低下し、便が腸内に長く留まりやすくなります。常習性便秘の約9割がこのタイプと言われ、運動不足や筋力低下、食物繊維不足などが原因となります。 - 痙攣性便秘
ストレスなどの影響で大腸が過度に緊張し、便の通り道が部分的に狭くなってしまうタイプです。副交感神経の過緊張が関与していると考えられています。
便秘が引き起こす身体の不調
便秘が続くと、腸内で便が異常発酵し、ガスが溜まってお腹が張ったり(腹部膨満感)、重苦しい圧迫感を感じたりします。
さらに、以下のような様々な不快な症状が現れることもあります。
- 食欲不振、吐き気、むかつき
- 腹痛
- 頭痛、頭重感
- 肌荒れ、吹き出物
- 痔の発症や悪化
- ひどい場合には、全身の倦怠感や不眠
このように、便秘は様々な身体の不調を引き起こす可能性があるため、「便秘は万病のもと」とも言われるのです。
東洋医学から見た便秘
東洋医学では、便秘を単に「便が出ない」という状態だけでなく、身体全体のバランスの乱れが消化器系(特に大腸)に現れたものと考えます。
気の滞り(気滞)、気の不足(気虚)、血の不足(血虚)、身体の冷え(寒)、身体の熱(熱)、水分不足(津液不足)など、様々な要因が便秘を引き起こすと考え、それぞれの体質や原因に合わせたアプローチを行います。
特に常習性便秘に対して、東洋医学に基づく鍼灸治療は優れた効果を発揮することが多くあります。
2.便秘に対する鍼灸治療
ひごころ治療院の鍼灸治療は、便秘の根本原因にアプローチし、腸の働きを整え、自然な排便リズムを取り戻すことを目指します。薬に頼りたくない方、体質から改善したい方におすすめです。
鍼灸治療が便秘に効果的な理由
- 自律神経の調整
腸のぜん動運動は自律神経によってコントロールされています。鍼灸刺激は自律神経のバランスを整え、腸の働きを正常化するのを助けます。 - 血行促進
お腹や腰、手足のツボを刺激することで、腹腔内の血流を改善し、腸の活動を活発にします。 - 筋緊張の緩和
ストレスや姿勢の悪さからくる腹部や腰部の筋肉の緊張を和らげ、腸への圧迫を軽減します。 - 内臓機能の活性化
東洋医学的な観点から、便秘に関連する臓腑(脾、胃、大腸、肝、腎など)の働きを整え、身体全体の機能を高めます。 - 体質改善
継続的な治療により、便秘になりにくい体質へと導きます。
便秘改善に効果的な主要なツボの例
便秘のタイプや体質に合わせて多くのツボを使い分けますが、代表的なものには以下のようなツボがあります。
これらのツボは、便秘改善の「特効穴」とも言える重要なポイントです。
具体的な鍼灸治療法とアプローチ
鍼灸治療を受ける際の注意点
- 生活習慣の改善も大切
鍼灸治療と並行して、食生活や運動習慣を見直すことが、根本的な改善には不可欠です。 - 下剤の乱用は避ける
安易に下剤に頼り続けると、腸本来の排便機能が低下してしまう可能性があります。鍼灸治療で自然な排便を目指しながら、徐々に下剤を減らしていくこともご相談ください。
3.ご家庭でできる便秘対策とセルフケア
鍼灸治療と合わせて、ご家庭でもできる簡単なセルフケアを取り入れることで、便秘の改善をさらに促し、快適な毎日を目指しましょう。
便秘と下痢を繰り返す方へ
おへその横「天枢」の指圧
便秘と下痢は一見正反対の症状に見えますが、どちらも腸の働きが正常でないことが根本的な原因です。この腸の働きを整えるのに絶好のツボが、おへその両脇にある「天枢」です。
- 場所の目安
おへそから指幅3本分外側の左右。 - 指圧の方法:
- 仰向けに寝て、膝を軽く立てます。
- 両手の中指の先を左右の「天枢」にあてます。
- 息をゆっくり吐きながら、指先に少しずつ力を込めて、心地よい圧を感じるまでグーッと押し込みます。
- 2~3秒押したら、息を吸いながらゆっくりと力を抜きます。
- これを5分ほど繰り返します。
- 期待できる効果
便秘の時は心地よい便意を促し、下痢の時は不快な症状を和らげ、腸の動きを正常な状態に近づける効果が期待できます。
青竹踏みのすすめ
足裏刺激で腸を元気に!
昔ながらの健康法である青竹踏みも、便秘改善に有効な場合があります。
足の裏には多くのツボ(反射区)があり、これらを刺激することで胃腸の働きを活発にし、血行を促進して便通を良くする効果が期待できます。
特に、女性に多い冷え性を伴った便秘には大変効果的です。
- やり方の目安
1分間に70回くらいの心地よいリズムで、3~5分間程度、青竹を踏みつけます。 - ポイント
初めは痛く感じるかもしれませんが、徐々に慣れてきます。足裏全体をまんべんなく刺激しましょう。
腹部マッサージのポイント
優しく腸をいたわる
お腹を優しくマッサージすることも、腸の動きを助け、便秘解消に繋がります。
- 方法
- 仰向けに寝て、膝を軽く立てリラックスします。
- 手のひら全体を使って、おへそを中心に、時計回りに「の」の字を描くようにゆっくりと優しくマッサージします。
- 特に、左の腰骨の内側から太ももの付け根にかけて(S状結腸から直腸にあたる部分)は、便が溜まりやすい場所なので、少し意識して丁寧にマッサージすると効果的です。
- タイミング
食後すぐは避け、リラックスしている時(例えば入浴後や就寝前など)に行うのがおすすめです。
4.腸の健康と生活習慣の深い関係
健やかな腸の働きは、全身の健康と深く結びついています。日々の生活習慣を見直すことが、便秘改善と予防の第一歩です。
血行促進と腸の働きの重要性
腸のぜん動運動(便を送り出す動き)がスムーズに行われるためには、腸への十分な血流が不可欠です。血行が悪化すると、腸の働きが低下し、便秘を引き起こしやすくなります。
適度な運動やマッサージ、身体を温めることなどは、腸の血流を改善し、ぜん動運動を活発にするのに役立ちます。
自然治癒力を引き出すための生活習慣
私たちの身体には、本来、不調を自ら整えようとする「自然治癒力」が備わっています。この力を最大限に引き出すためには、以下のような生活習慣が大切です。
- 規則正しい生活リズム
毎日同じ時間に寝起きし、食事の時間もできるだけ一定に保つことで、体内時計が整い、自律神経のバランスも安定します。 - バランスの取れた食事
食物繊維、発酵食品、良質な脂質などをバランス良く摂り、腸内環境を整えましょう。 - 適度な運動
ウォーキングなどの有酸素運動は、腸の動きを活発にし、血行を促進します。 - 質の高い睡眠
睡眠中に腸は活発に働き、身体の修復が行われます。十分な睡眠時間を確保しましょう。 - ストレスを溜めない工夫
過度なストレスは自律神経を乱し、腸の働きを悪化させます。自分に合ったリラックス法を見つけましょう。
運動不足が便秘に与える影響と対策
- 運動が腸の動きをどう促進するか
運動、特にウォーキングやジョギングといった有酸素運動は、全身の血行を促進するだけでなく、腹筋や横隔膜を適度に刺激し、腸のぜん動運動を活発にします。また、運動によるリフレッシュ効果は、ストレス性の便秘にも良い影響を与えます。 - 鍼灸と組み合わせた運動プランの提案
鍼灸治療で腸の働きや自律神経のバランスを整えた後に、ウォーキングなどの軽い運動を行うと、相乗効果でより便秘解消効果が高まることが期待できます。無理のない範囲で、日常生活に運動を取り入れるプランを一緒に考えましょう。 - 日常生活でできる簡単な運動法
5.便秘予防と根本改善のための長期的な対策
便秘を一時的に解消するだけでなく、根本から改善し、再発を防ぐためには、長期的な視点での対策が重要です。
生活習慣バランスと腸内環境の関係
腸内環境を整えることが、便秘予防と健康維持の鍵です。
善玉菌(乳酸菌、ビフィズス菌など)を増やし、悪玉菌の増殖を抑えるためには、
- バランスの取れた食生活
食物繊維(野菜、果物、海藻、きのこ類)、発酵食品(ヨーグルト、納豆、味噌など)、オリゴ糖などを積極的に。 - 適度な運動
- 十分な睡眠
- ストレス管理
といった生活習慣全体のバランスが非常に重要です。
便秘発症のリスク要因とその認識
以下のような要因は、便秘を発症させるリスクを高める可能性があります。これらを認識し、できることから対策を講じることが大切です。
- 生活習慣の乱れ
不規則な食事、睡眠不足、運動不足、水分不足など。 - 精神的ストレス
環境の変化、仕事や人間関係の悩みなど。 - 薬の副作用
一部の痛み止め、咳止め、抗うつ薬、鉄剤などが便秘を引き起こすことがあります。 - 特定の病気
甲状腺機能低下症、糖尿病、パーキンソン病、大腸の病気(過敏性腸症候群、大腸がんなど)などが原因となることも。 - 加齢
腸の機能低下、筋力低下、食事量や水分摂取量の減少など。 - 妊娠
ホルモンバランスの変化や子宮による圧迫など。
自宅でできる具体的な便秘予防策
- 規則正しい排便習慣を身につける
毎日決まった時間(特に朝食後など)にトイレに行く習慣をつけましょう。便意がなくても数分間座ってみるのも良いでしょう。そして、便意を感じたら我慢しないことが大切です。 - 食物繊維と水分を積極的に摂る
食物繊維は便の量を増やし、腸の動きを活発にします。水分は便を柔らかくし、排出しやすくします。 - 適度な運動を継続する
腹筋を鍛える運動や、ウォーキングなどの有酸素運動を習慣にしましょう。 - ストレスを上手に解消する
自分に合ったリラックス法を見つけ、ストレスを溜め込まないようにしましょう。 - 腸内環境を整える食品を意識する
発酵食品やオリゴ糖などを積極的に摂りましょう。
これらの予防策を日常生活に取り入れ、実践することで、便秘を予防し、スッキリ快適な毎日を目指しましょう。










