鍼灸が対応できる歯痛とその効果
歯科疾患と神経性の痛みへの
アプローチ
「ズキズキと歯が痛む…」
「歯医者に行ったけれど、
原因がはっきりしない…」
「歯ぐきの腫れや痛みが続いている…」
歯痛は、食事や会話もままならなくなり、日常生活に大きな支障をきたす非常につらい症状です。 その原因は、虫歯や歯周病といった歯科疾患だけでなく、ストレスや顔面部の神経痛など、身体全体の健康状態が関与している場合もあります。
この記事では、歯痛の様々な原因と、東洋医学に基づく鍼灸治療がどのようにその痛みにアプローチするのか、詳しく解説します。
【目次】
1.歯痛の原因と症状
~歯科疾患と神経性の痛み~
歯そのものに原因がある痛み

歯痛の最も一般的な原因は、歯そのものの問題です。
- 虫歯(う蝕)
歯が溶けて神経に達することで強い痛みが生じます。 - 処置した歯の痛み
- 詰め物や被せ物(銀歯、金冠など)の処置が不完全であったり、その下で二次的な虫歯が発生したりした場合。
- 歯の神経の治療(抜髄)が不完全で、根の先に炎症が残っている場合。
- 歯根膜炎
歯の根元を覆う膜や組織に炎症が起こると、歯が浮いたような感じがし、噛みしめると痛みが出ます。
- 親知らずの問題
親知らずが正常に生えず、隣の歯の根を圧迫したり、周囲の歯ぐきに炎症を起こしたりして痛みを感じます。
歯以外に原因がある痛み
歯自体に問題がなくても、その周辺組織や全身の状態が原因で歯痛が起こることがあります。
- 歯槽骨炎・歯髄炎
歯を抜いた後や、歯の炎症が進行して、歯を支える骨や歯の神経(歯髄)にまで炎症が広がった場合。 - 歯性上顎洞炎
上の歯の虫歯などが原因で、上顎にある副鼻腔(上顎洞)に炎症が及んだ場合。 - 腫瘍やがん
口の中にできた良性・悪性の腫瘍が神経を圧迫して痛むことがあります。 - 三叉神経痛
顔の感覚を司る三叉神経に問題が起こり、その痛みが歯の痛みとして感じられることがあります。 - 心因性歯痛
精神的なストレスなどが原因で、歯に痛みを感じることがあります。 - 全身疾患の影響
身体の体力が衰え、免疫力が低下したときに、歯にある慢性的な炎症が急に悪化して痛み出すことがあります。
【重要】まずは歯科医院の受診を
歯が痛む場合、その原因が何であれ、まずは歯科医院を受診し、専門医による正確な診断と適切な治療を受けることが最優先です。 虫歯や歯周病、歯根の炎症などを放置すると、症状が悪化し、歯を失うことにもなりかねません。
鍼灸治療が特に効果を発揮しやすい歯痛
ひごころ治療院の鍼灸治療は、歯そのものの疾患(虫歯など)を直接治すことはできません。 鍼灸治療が特に効果を発揮しやすいのは、以下のようなケースです。
- 神経痛様の痛み
- 炎症や痛みの緩和サポート
- 顎関節症や筋肉の緊張による痛み
- 全身のバランスの乱れからくる歯痛
2.歯痛に対する鍼灸治療
ひごころ治療院では、丁寧なカウンセリングと東洋医学的診断に基づき、歯痛の根本原因を見極め、つらい痛みの緩和を目指した鍼灸治療を行います。
鍼灸が歯痛に効果的な理由
鍼灸治療は、歯痛に対して、特に即効性のある痛みの緩和が期待できます。
- 強力な鎮痛効果
鍼刺激が、痛みの伝達経路をブロックしたり、脳内で痛みを抑制する物質の分泌を促したりする効果が期待できます。 - 消炎・血行促進効果
歯ぐきや顔面部の血行を促進し、炎症物質の排出を助け、腫れや炎症を和らげます。 - 筋緊張の緩和
痛みによってこわばった顎や首、肩周りの筋肉の緊張を緩めます。 - 自律神経の調整
ストレスや痛みによる自律神経の乱れを整え、心身をリラックスさせます。
歯痛ケアに効果が期待できる主要なツボの例
歯痛の部位や原因に合わせて多くのツボを使い分けますが、代表的なものには以下のようなツボがあります。
具体的な鍼灸治療法(上歯・下歯の痛み別)
鍼灸治療を受ける上での注意点
- 置鍼
鍼治療の場合、各ツボに鍼を刺したまましばらく時間をおく「置鍼」も、持続的な刺激を与える良い方法です。 - 電気鍼(パルス療法)
三叉神経の機能が侵されて起こる歯痛には、鍼に微弱な電流を流す「電気鍼(鍼麻酔方式)」も有効な場合があります。左右の「合谷」などに鍼を刺し、弱い電流を10~15分ほど流す治療を何回か続けることで、痛みの緩和が期待できます。 - 歯科治療との併用
虫歯や歯周病など、明らかな歯科疾患が原因の場合は、歯科医院での治療が基本です。鍼灸治療は、その痛みを和らげたり、治癒を促進したりするための補助的なケアとしてご活用ください。
3.自宅でできるセルフケア法
つらい歯痛の応急処置や、日頃のケアとして、ご自宅でできる簡単なセルフケアをご紹介します。
- ツボ刺激(指圧・マッサージ)
- 合谷
手の甲、親指と人差し指の骨が交わる手前のくぼみ。歯痛の特効穴です。反対側の親指で、少し痛みを感じるくらいの強さで押し揉みします。 - 下関
耳の前、頬骨の下の縁あたりで、口を開けるとくぼむ場所。人差し指や中指で優しく指圧します。
- 合谷
- お灸
ご自宅でできる台座灸などを「合谷」にすえるのも、痛みの緩和に効果的です。火傷には十分注意し、説明書をよく読んで安全に行ってください。 - 生活習慣の改善
規則正しい生活、バランスの取れた食事、十分な睡眠、そしてリラックスできる時間を持つことは、身体の免疫力を高め、炎症を抑え、痛みの回復を助ける上で非常に重要です。
セルフケアはあくまで一時的な痛みの緩和や補助的なケアです。痛みが続く場合は、必ず専門医(歯科医師)の診察を受けてください。
4.歯周病と鍼灸治療の関係
歯周病は、歯ぐきの炎症(歯肉炎)から始まり、進行すると歯を支える骨(歯槽骨)を溶かしてしまう病気です。 歯周病に対しても、鍼灸治療は、歯科医院での専門的な治療(歯石除去、クリーニング、外科処置など)と並行して行うことで、以下のような補助的な効果が期待できます。
- 炎症の抑制と痛みの緩和
歯ぐきや顎周りの血行を促進し、炎症を抑え、痛みを和らげます。 - 免疫力の向上サポート
東洋医学的な体質改善アプローチにより、身体全体の免疫力を高め、歯周病菌に対する抵抗力をサポートし、進行を遅らせることを目指します。 - 自律神経のバランス調整
ストレスや疲労は歯周病を悪化させる一因となります。自律神経のバランスを整えることで、免疫機能を安定させ、歯周病を予防・改善しやすい身体環境へと導きます。
ひごころ治療院では、あなたのつらい歯の痛みに真摯に向き合い、鍼灸治療を通じて、症状の緩和と健やかな毎日を取り戻すためのお手伝いをさせていただきます。

















