集中力の低下 と鍼灸治療ー脳機能の活用と健康管理
症状
様々な外界での刺激は、目、鼻、耳、舌、皮ふなどの感覚器と神経を介して大脳皮質に伝わり、意識や感情が生まれます。記憶も同じような伝達で中枢に焼きつかれ、整理されます。
人間の脳は他の臓器と異なり、幼年期に活発な発育をして、青年期にはほぼ完成し、その後は少しづつ退化ししていきます。
したがって、脳機能を幼いうちに活発に発育させないと、脳の成長の頭打ちが低くなってしまいます。
集中力や記憶力の減退は、脳の機能の低下で起こり、現代社会のように情報過多の世の中では、外界からの刺激が多すぎて、脳がたくさん入ってくる雑多な刺激に対して消化不良を起こすのであります。
例えば、胃腸の調子が悪いと心配性に人は、ガンではないかと心配をして、そのことが脳に対する余計な情報となり、集中力を弱めたりします。解決方法の一つとしては、早く精密検査を受けて、ガンではないことを確認して、ガンであるかも?という心配事を消すことであります。
一度発達して、完成された脳の能力を、さらに成長させることはなかなか難しいかと思います。しかし、記憶力、感覚、思考力は、必要な情報や刺激をできるだけ上手に整理するトレーニングをすることで、脳機能をフル活用できるようになれます。
注意しなければならないのは、集中力の低下が何らかの病気が引き起こされている場合です。
高血圧、動脈硬化、糖尿病、胃腸病、肝臓病、腎臓病、甲状腺機能障害、脳腫瘍、結核、蓄膿症、アルコール中毒など、さまざまな病気が集中力を低下させる原因にもなります。このような場合は、かかっている病気を治癒させることが集中力低下に回復になります。
その意味では、日常の健康管理も集中力の低下予防に重要なポイントとなります。
集中力が低下しますと、そのことで引き起こされる、イライラや不眠、頭痛、強迫観念などの続発症状も問題になります。そのため、これらも症状を取り除くことは、集中力の回復と同時に、円滑な日常生活への再復帰となるものであります。
鍼灸治療は、集中力減退を中心とした症候群を取り除く目的で行います。
鍼灸治療
主要なツボ
頭部 「百会」
頚部 「天柱」
背部 「肺兪」、「肝兪」、「脾兪」、「腎兪」
胸部 「膻中」
腹部 「巨闕」、「期門」、「肓兪」、「天枢」、「大巨」
腕部 「曲池」
足部 「足三里」、「築賓」、「三陰交」、「湧泉」
などがポイントになります。
上記のツボは、肺経、肝経、脾経、腎経の経絡上にあるものと、それぞれの経絡と関連のあるであり、刺激をするとエネルギーの流れをよくします。
治療法
頭の「百会」と後ろ首の「天柱」を刺激します。この二つのツボで、頭重があるような場合は頭がすっきりします。
背中では、「肺兪」、「肝兪」、「脾兪」、腰では「腎兪」をしっかりと刺激します。これらのツボで、肺の臓、肝の臓、脾の臓、腎の臓の働きを高めます。特に「脾兪」は、東洋医学では、ここには意志が宿るとして重視されています。つまり、「脾兪」は精神を司るツボであり、また意志が強固であるかどうかにかかわるツボでもあります。さらに、「腎兪」は人間のからだを丈夫にするツボで、その人の元気を養う働きがあります。
胸部・腹部では、「膻中」、「巨闕」、「期門」、「肓兪」、「天枢」、「大巨」を刺激します。「膻中」は心を落ち着かせ、「巨闕」は動悸を鎮め、「期門」は肝経の募穴として重要であり、「肓兪」はやる気を起こさせる働きがあります。
また、集中力、記憶力を高めるには胃腸の状態にも注意しなければいけません。その意味では、「天枢」、「大巨」は消化機能の働きを高める役割があります。
腕の「曲池」は、昔から頭の機能を整えるツボとして使われています。
足では、全身の活力をつけるために「足三里」、頭をスッキリさせるための「築賓」、胃腸の働きをよくするための「三陰交」、活力をつけるための「湧泉」などをしっかりと刺激します。
人前で上がらないために…
下腹部まで膨らますようにして、大きくゆっくりと腹式呼吸をします。続いて、肩を上下前後に回したあと、「天柱」をよくもみほぐし、両手で頭を包み込むようにして、「百会」を指圧します。
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