胆石症・胆のう炎

胆石症・胆のう炎

胆石症・胆のう炎の原因
鍼灸治療による症状緩和アプローチ

「みぞおちや右上腹部に、突然激しい痛みが…」
「脂っこいものを食べると、

右の背中や肩まで痛む…」
「黄疸や発熱を伴う腹痛がある…」

そのつらい症状、もしかしたら胆石症たんせきしょう胆のう炎かもしれません。この記事では、胆石症・胆のう炎がなぜ起こるのか、その原因と症状、そして東洋医学に基づく鍼灸治療がどのように痛みの緩和をサポートできるのか、さらに注意すべき危険なサインについて詳しく解説します。

【目次】

  1. 胆石症・胆のう炎とは?~その原因と主な症状~
    • 胆石ができるメカニズム
    • 胆石症になりやすい方の特徴
    • 胆石発作の主な症状と胆のう炎との関係
  2. 胆石症・胆のう炎に対する鍼灸治療
  3. 【重要】体からのSOSサイン~「急性腹症」との見分け方と対処法~
    • 「今まで経験したことのない強い腹痛」は危険なサイン
    • 急性腹症を引き起こす主な病気
    • 緊急時の対処法と受診すべき診療科

1.胆石症・胆のう炎とは?
~その原因と主な症状~

胆石ができるメカニズム

胆石

たんのうは、肝臓の下にある袋状の臓器で、肝臓で作られた消化液である胆汁たんじゅうを一時的に蓄え、濃縮する役割を担っています。この胆汁は、細い胆道たんどうを通って十二指腸に送られ、主に脂肪の消化を助けます。

胆石たんせきとは、この胆道や胆のうの中で、胆汁の成分の一部が何らかの原因で固まり、石状になったものです。 成分によって、主にコレステロールが固まった「コレステロール系結石」と、ビリルビンが固まった「ビリルビン系結石」があります。食生活の欧米化に伴い、近年は日本でもコレステロール系結石が増加しています。

胆石症になりやすい方の特徴

以下のような方は、胆石症になりやすい傾向があると言われています。

  • 40代以降の女性(Female)
  • 太り気味の方(Fat)
  • 多産婦(お産を何度も経験した女性)(Fertile)
  • 肌の色が白い方(Fair)
    ※これらは欧米で”4F”と呼ばれるリスク因子ですが、日本人にも当てはまる傾向があります。
  • 食生活で脂っこい食べ物を好む方
  • 大食漢の方

胆石発作の主な症状と胆のう炎との関係

胆石があっても、必ずしも症状が現れるとは限りません。一生痛みを経験せず、胆石があることに気づかないまま過ごす方もいます。 しかし、ひとたび症状が現れると、「胆石疝痛発作たんせきせんつうほっさ」といって、激しい痛みが発作的に起こります。

  • 痛みの特徴
    • 右上腹部右の肋骨の下あたり)を中心に、みぞおちから始まることもあります。
    • 右肩や右側の背中に響くような放散痛ほうさんつうを伴うのが特徴的です。
  • 随伴症状
    • 激痛とともに、吐き気、嘔吐、悪寒(寒気)、冷や汗などが見られます。
    • 発熱や、皮膚や白目が黄色くなる黄疸おうだん症状が出る場合もあります。

胆のう炎との関係

胆石を持っていると、胆のうの出口を石が塞いでしまい、胆のうに炎症が起こりやすくなります(急性胆のう炎)。逆に、胆のうに炎症があると胆石ができやすくなるとも言われ、胆石症と胆のう炎は密接に関連しています。 急性・慢性の上腹部痛発熱を主な症状とし、これらを合わせて胆道感染症と呼ぶこともあります。

軽い症状の場合、単なる胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍と間違えやすいことがあります。しかし、痛みが治まったからといって放置しておくと、胆道がんのリスクを高める可能性も指摘されています。きちんとした治療を受けることが非常に重要です。

2.胆石症・胆のう炎に対する鍼灸治療

鍼灸治療の役割 症状緩和と体質改善

胆石症や胆のう炎と診断された方は、まず専門医による治療(薬物療法、手術など)を受けることが基本です。 ひごころ治療院の鍼灸治療は、これらの西洋医学的治療を補完するものとして、つらい症状を和らげたり、発作が起こりにくい体質へと導いたりすることを目的としています。

  • 痛みの緩和
    鍼や灸の刺激により、胆石発作に伴う背中や肩への放散痛、腹部の緊張を和らげます。
  • 炎症の抑制サポート
    関連するツボの血行を促進し、炎症を鎮める身体の働きを助けます。
  • 自律神経・消化器機能の調整
    ストレスや脂っこい食事で乱れがちな自律神経や消化器系(特に肝・胆・脾・胃)のバランスを整えます。
  • 体質改善
    胆石ができやすい背景にある、東洋医学的な体質のアンバランス(例:気滞、湿熱など)の改善を目指します。

症状緩和に効果が期待できる主要なツボの例

胆石症・胆のう炎に伴う症状や体質に合わせて、以下のツボを中心に施術します。

背部 「肝兪かんゆ」、「胆兪たんゆ」、「陽綱ようこう
   「腎兪じんゆ
腹部 「巨闕こけつ」、「期門きもん」、「日月じつげつ
   「肓兪こうゆ」、「大巨だいこ」、「天枢てんすう
足部 「陽陵泉ようりょうせん」、「丘墟きゅうきょ
手部 「内関ないかん」、「合谷ごうこく

具体的な鍼灸治療法
(お灸を中心としたアプローチ)

  1. 背部のツボへのアプローチ
    • まず、背中にある「肝兪」、「胆兪」、「陽綱」にお灸(灸治療)をします。東洋医学では、「肝兪」は肝の、「胆兪」は胆の邪気が注ぐ場所とされています。
    • とりわけ「胆兪」は、胆のう炎の際に必ずといっていいほど痛み(圧痛)が現れるポイントで、現代医学でも「ボアスの圧痛点」として有名な場所と重なります。
    • さらに、身体の根本的な活力をつけるために「腎兪」にも刺激を与えます。
  2. 腹部のツボへのアプローチ
    • 次に、腹部の「巨闕」、「期門」、「日月」に治療を施します。特に「期門」と「日月」は、胆のうの位置と重なり、重要な治療点です。「日月」は、特に右側を丹念に治療すると効果が期待できます。
    • お腹が張る、便秘を伴うといった症状がある場合は、「巨闕」、「大巨」にも刺激を加えます。
  3. 手足のツボによる全身調整
    • 足では、「陽陵泉」と「丘墟」にお灸をします。これらのツボは、東洋医学でいう「胆経」に属し、胆のうの症状を取り除くのに大変有効とされています。特に胆のうに症状がある場合、右足首の「丘墟」のあたりに、何となく重だるい感じがすることがあります。
    • 加えて、肝・腎・脾という3つの重要な臓腑をめぐる経脈が交わる「三陰交さんいんこう」も処置すると、さらに治療効果が高まります。
    • 手の「手三里」や「内関」は、胆石・胆のう炎による痛みを和らげる効果が期待できます。

お灸の進め方(一例)

米粒大のもぐさを3~5壮すえる治療を、3週間続けたら1週間休み、再び3週間続ける、といったサイクルが理想的です。熱さがマイルドな知熱灸ちねつきゅう生姜灸しょうがきゅうでも効果が期待できます。

治療を受ける上での注意点

胆石症や胆のう炎の場合、腹部への強いマッサージや指圧は、症状を悪化させる可能性があるため、原則として避けるべきです。その点、お灸や鍼は、腹部の表面から温熱刺激や適切な刺激を加えることで、胆のうの働きを調整し、症状緩和の効果をあげることができます。また、極超短波などの物理療法を併用することもあります。

3.【重要】体からのSOSサイン
~急性腹症との見分け方と対処法~

「今まで経験したことのない強い腹痛」は
危険なサイン

突然、今まで経験したことがないほどの激しい腹痛に襲われる状態を、医学的には「急性腹症きゅうせいふくしょう」といいます。 脂汗が出て、七転八倒し、意識を失いそうになるくらいの強い痛みが起きる、お腹の一大事です。 胆石発作も急性腹症の一つですが、他にも様々な緊急性の高い病気が考えられます。

急性腹症を引き起こす主な病気

  • イレウス(腸閉塞)
    腸がねじれたり詰まったりして、ひどい腹痛、嘔吐、排便・排ガスの停止などが起こります。
  • 急性膵炎
    膵臓の消化酵素が膵臓自身を溶かしてしまう病気です。アルコールの飲みすぎが引き金になることが多く、上腹部に激痛が起きます。死亡率も高い危険な病気です。
  • 急性虫垂炎(盲腸)
    急性腹症の中で最も多いとされる病気です。はじめはみぞおちの痛みから始まり、だんだんと右下腹部に痛みが移動することが多いです。
  • その他
    急性胆のう炎、虚血性腸炎、消化管穿孔(胃や腸に穴が開く)など。

いずれの急性腹症も、悪化すると「急性腹膜炎」に発展し、大変危険な状態(敗血症など)になり、命を落とすことがあります。

緊急時の対処法と受診すべき診療科

七転八倒するような激しい腹痛(急性腹症)が起きた場合は、ためらわずにすぐに救急車を呼んでください。 一刻も早い対処が必要です。

通常の相談で受診すべき診療科

  • 消化器内科
  • 消化器外科
  • 内科

ひごころ治療院では、このような重篤な疾患の可能性も常に念頭に置き、まずは専門医の診断を最優先としています。その上で、鍼灸治療でサポートできることをご提案させていただきます。

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