手の厥陰心包経

手の厥陰心包経
手の厥陰心包経

心包経のツボ ー東洋医学における心包経の異常と重要なツボ

心経の心の臓は最も重要な臓器の一つなのですが、東洋医学ではさらにこの心の臓を包み、保護する膜のような存在を考えました。これを心包といいます。

したがって、心包は固有な形や機能を持たない臓器で、心の臓を守り、その役目を忠実に実行する器官だとされています。

そのため、心の臓に関係がある病気はこの経脈にも表われます。

例えば、

動悸息切れをする
胸苦しい
顔がのぼせる
目が疲れて充血する

などの症状は心包経の証と考えてもいいでしょう。

心包経の代表的なツボは、「郄門」、「内関」です。

心包経のツボ

PC1  天池
PC2  天泉
PC3  曲沢(合穴)
PC4  郄門(郄穴)
PC5  間使(経穴)
PC6  内関(絡穴)
PC7  大陵(原・兪穴)
PC8  老宮(栄穴)
PC9  中衝(井穴)

PC1 天池
PC1 天池(てんち)

【位置】前胸部、第4肋間、前正中線の外方5寸(約15㎝)。    

【主治】胸部苦悶感、咳嗽、喘息、脇痛、腋窩部の腫脹・疼痛、リンパ節の腫大、乳房疾患。

【操作】鍼は斜刺で0.3~0.5寸。深刺は不可。灸も可。

PC2 天泉
PC2 天泉(てんせん)

【位置】上腕前面、上腕二頭筋長頭と短頭の間、腋窩横紋前端の下方2寸(約6㎝)。

【主治】心部痛、胸脇部の膨満感、咳嗽、胸背部及び上腕内側の痛み。

【操作】鍼は直刺で0.5~1寸。灸も可

PC3 曲沢
PC3 曲沢(きょくたく)

 合穴

【位置】肘前面、肘窩横紋上、上腕二頭筋腱内方の陥凹部。
 ※肘を45度屈曲したとき、上腕二頭筋腱の内方にある。

【主治】熱病、煩躁、胃痛、嘔吐、心部痛、動悸、風疹、肘や腕の痛み、手や腕の振戦。
 ※煩躁:胸中の不快な熱感を煩といい、手足が意に反して動くのを躁という煩と躁は同時に起こることが多いので、一緒にして煩躁と呼ぶ。

【操作】鍼は直刺1~1.5寸。灸も可。

PC4 郄門
PC4 郄門(げきもん)

 郄穴

【位置】前腕前面、長掌筋腱と橈側手根屈筋腱の間、手関節掌側横紋の上方5寸(約15㎝)。
 ※こぶしを作り、手関節を回外して肘関節を軽く屈曲すると長掌筋腱と橈側手根屈筋腱がより明瞭に現れる。曲沢(PC3)と大陵(PC7)を結ぶ線のの中点の下方1寸にある。
 ※長掌筋腱が不明瞭な場合は、橈側手根屈筋腱の内側に取る。

【主治】心部痛、動悸、鼻出血、吐血、咳嗽(がいそう)、喀血、疔瘡、癲疾。

【操作】鍼は直刺で0.5~1寸。灸も可。

PC5 間使
PC5 間使(かんし)

 経穴

【位置】前腕前面、長掌筋腱と橈側手根屈筋腱の間、手関節掌側横紋の上方3寸(約9㎝)。
 ※こぶしを作り、手関節を回外して肘関節を軽く屈曲すると長掌筋腱と橈側手根屈筋腱がより明瞭に現れる。大陵(PC7)の上方3寸にある。
 ※長掌筋腱が不明瞭な場合は、橈側手根屈筋腱の内側に取る。

【主治】心部痛、動悸、胃痛、嘔吐、熱病、煩躁、マラリア、癲狂癇、腋窩部の腫脹、肘の痙攣、腕の痛み。

【操作】鍼は直刺で0.5~1寸。灸も可。

PC6 内関
PC6 内関(ないかん)

 絡穴

【位置】前腕前面、長掌筋腱と橈側手根屈筋腱の間、手関節掌側横紋の上方2寸(約6㎝)。
 ※こぶしを作り、手関節を回外して肘関節を軽く屈曲すると長掌筋腱と橈側手根屈筋腱が明瞭に現れる。    

【主治】心部痛、動悸、胃痛、嘔吐、不眠症、眩暈、中風、癲狂、癇症、熱病、月経不順、産後血暈、肘や腕の痙攣・疼痛。

【操作】鍼は直刺0.5~1寸。灸も可。

PC7
PC7 大陵(だいりょう)

 原・兪穴

【位置】手関節前面、長掌筋腱と橈側手根屈筋腱の間、手関節掌側横紋上。
 ※こぶしを作り、手関節を軽く掌屈すると長掌筋腱と橈側手根屈筋腱がより明瞭に現れる。手関節掌側横紋の中点で長掌筋腱と橈側手根屈筋腱の間、豆状骨近位端の神門(HT7)と同じ高さにある。

【主治】心部痛、動悸、胃痛、嘔吐、驚悸、癲狂、癇症、胸部痛。

【操作】鍼は直刺0.5~1.8寸。灸も可。

PC8 老宮
PC8 労宮(ろうきゅう)

 栄穴

【位置】手掌、第2・第3中手骨間、中指節関節の近位陥凹部。
 別説:手掌、第3・第4中手骨間、中指節関節の近位陥凹部。    

【主治】心部痛、癲狂、癇症、嘔吐、口内炎、口臭、鵞掌風。
 ※手足にできる水虫のことで、風毒ないし湿邪が皮膚に侵入して起こるとされる。

【操作】鍼は直刺で0.3~0.5寸。灸も可。

PC9 老宮
PC9 中衝(ちゅうしょう)

 井穴

【位置】中指、中指先端中央。
 別説:中指。末節骨橈側、爪甲角から近位外方0.1寸(指寸)、爪甲橈側縁の垂線と爪甲基底部の水平線の交点。

【主治】中風、熱中症、昏迷、急性の驚風、熱病、煩悶感、舌の強直・腫脹・疼痛、失語症、掌中の熱感、胃脘部痛、吐き下し、小児の夜泣き。

【操作】鍼は直刺で0.1寸。あるいは点刺して出血させる。灸も可。

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