乗り物酔い

チューリップ

乗り物酔いの原因と予防法 ー鍼灸治療も有効

症状

乗り物酔いする人は、往々にして、乗り物に乗れば必ず酔うという強迫観念に陥ってしまい、それが暗示となって働き、また酔うという結果になっています。また、普段は大丈夫な人でも、胃の調子がおかしかったり、睡眠不足や空腹の状態で車に乗ったりしますと、思いもかけず酔うことがあります。

乗り物酔いは、体の平衡感覚に異常を感じた場合、主として体の平衡を保つ働きをしている内耳の前庭と半規管が刺激を受けたときに起こりますが、視覚や聴覚なども関係してるといわれています。したがって、このような感覚が敏感な人ほど乗り物酔いになりやすいといえます。

予防としては、乗り物酔いの誘因となる睡眠不足、満腹、空腹の状態にならないように、前の晩は睡眠を十分のとり、食事は乗車の1時間前にはなるべく消化のいいもので軽く済ませます。そして、服装は首や腹部を締め付けるようなものは避け、ゆったりとしたものを着用します。

子供の場合は、親があまりに気をつかいすぎますと、かえって酔うことが多いです。むしろ、そうした心配はしないで、酔わない自信を持たせることが大切であります。とにかく、酔うのではないかという心配をしながら乗ることは禁物であります。

乗り物に乗ったら、揺れの少ない場所は中心部なので、バスなら座る位置は前輪と後輪の中心部がいいでしょう。船や電車の場合は、外を見ないようにして、できれば窓際に座って外気に接するようにします。

乗り物酔いの原因

バスの運転手が酔わないのは、例えばカーブで右にハンドルを切るときは、体を無意識に求心力の働く右に傾けます。それが乗客は反対の左側、つまりは遠心力が働く方向に体を傾けるので酔うので、乗り物酔い防止方法としては、運転手と同様に求心性の姿勢をとればいいことになります。

乗り物酔いの鍼灸治療は、酔わない体質を作ることが重点になります。

鍼灸治療

主要なツボ

頭    「百会
耳後ろ  「頭竅陰」、「翳風
後ろ首  「天柱」、「風池
背部   「肝兪
腹部   「期門」、「鳩尾」、「中脘
手部   「内関
足部   「築賓」、「地機

などがポイントになります。

治療法

乗り物酔いに一番効果が高いのは、鍼治療です。前記のツボを選んで刺激しますと、徐々に体質が変わって、乗り物に酔わなくなります。

また、皮内鍼や灸治療、あるいは磁気粒を各ツボに貼るなどの方法でもよいでしょう。乗り物酔いを予防する対策としては、酔い止めの薬を服用しますが、それと同じように、あらかじめ、乗り物に乗る数時間前に、前記のツボのうちの「地機」や「築賓」に皮内鍼をしたり、米粒大のもぐさで3壮くらい(子供は1~2壮)すえます。また、磁気粒を貼るのも有効であります。

その他、みぞおちの「鳩尾」、腹の「中脘」、背中の「肝兪」、「脾兪」、「胃兪」にも同様にして灸をすえれば、効果はより確実になります。旅行の数日前から治療を続けていれば、まず酔うことはありません。

マッサージや指圧で治療をするときは、まず頭の「百会」、耳の後ろの「頭竅陰」、「翳風」、後ろ首の「天柱」、「風池」からマッサージ・指圧を行います。「百会」、「天柱」、「風池」などは、心の動揺を鎮めるツボです。

また、「頭竅陰」、「翳風」は耳の平衡をつかさどるツボです。次いで、肝の働きを強め、脾胃をを整えるために、「肝兪」、「脾兪」、「胃兪」を親指でしっかりと指圧します。足では上記のように「地機」や「築賓」を親指で指圧します。この二つのツボは乗り物酔いの名穴で即効性があります。

また、手首の内側にある「内関」は吐き気を止める特効ツボとして知られますが、乗り物酔い防止にも大変効果があります。極端に重症なときを除き、「内関」を刺激すれば不快感はとれてきます。治療だけではなく、予防にも効果があるので、事前に押したり、もんだりするといいでしょう。4~5分も続ければ、まず大丈夫です。

「内関」は皮内鍼をしておくと、効果は持続します。ただ、人によっては、実際に酔ってしまった場合、腹の「期門」、背中の「肝兪」のほうが、服の上からでも指圧しているとよい場合もあります。

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