肉離れの原因
肉離れの治療と対処法
「スポーツ中に、
太ももやふくらはぎに突然激痛が走った…」
「急に動いた瞬間、
ブチッと音がして動けなくなった…」
それは肉離れかもしれません。 肉離れは、専門的には「筋断裂」といい、筋肉が過度に引き伸ばされたり、急激に収縮したりすることで、筋線維の一部または全部が断裂してしまう怪我です。
この記事では、肉離れがなぜ起こるのか、その原因と症状、そして何よりも大切な応急処置の正しい手順、さらに鍼灸治療による早期回復へのアプローチについて詳しく解説します。
【目次】
1.肉離れとは?
~その原因と主な症状~

肉離れは、何かで打ったりぶつけたりする打撲と同時に起こることもありますが、ここではご自身の動きによって起こるケースを対象とします。 スポーツ障害のほとんどがそうであるように、肉離れも筋肉の疲労と準備運動不足が大きな原因です。
肉離れのメカニズム
筋肉は、充分に伸び縮みできるように弾力のある組織ですが、関節に近い部分は腱という伸び縮みしにくい硬い組織になっています。 疲労が重なったり、準備運動が不足したりすると、筋肉はスムーズに動けずに無理が生じ、筋肉の引っ張る力に腱が耐えきれなくなります。この時、筋肉と腱の移行部(筋腱移行部)が切れてしまうのが、肉離れです。 時には筋肉の真ん中あたりで起こることもありますが、ほとんどがこの筋腱移行部で発生します。 筋線維が横に走っている筋肉(例えば大胸筋など)では縦に、縦に走っている筋肉(例えばふくらはぎの腓腹筋など)では横に切れます。ひどい場合は、触ると断裂を起こしたところがへこんでいるのを確認できます。
起こりやすい部位
肉離れは骨格筋がある場所なら身体のどの部分でも起こりえますが、特に以下の部位に多く見られます。
- 下腿三頭筋(ふくらはぎの筋肉)
- ハムストリングス(太ももの裏の筋肉)
- 大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)
2.【重要】肉離れの応急処置と
回復のステップ
肉離れをした直後の処置が、その後の回復を大きく左右します。基本はRICE(ライス)処置ですが、特に「冷やす」と「温める」のタイミングを間違えないことが重要です。
ステップ1 急性期(受傷直後~3日程度)
RICE処置で「冷やす」
受傷直後は、損傷した組織で内出血や炎症が起きています。この段階での目標は、炎症と腫れを最小限に抑えることです。
- R (Rest – 安静)
損傷した筋肉を動かさず、安静に保ちます。 - I (Icing – 冷却)
氷のうや冷湿布などで患部を冷やします。冷やすことで血管が収縮し、内出血や腫れ、痛みを抑えます。 - C (Compression – 圧迫)
弾性包帯などで患部を軽く圧迫し、内出血や腫れが広がるのを防ぎます。 - E (Elevation – 挙上)
患部を心臓より高い位置に保つことで、腫れを軽減します。
冷却のポイント
約30分冷やしたら一度冷却材を外し、患部が他のところと同じくらいの温度に戻るまで待ってから、再び冷やすという「間欠冷却法(かんけつれいきゃくほう)」が効果的です。 この時期の処置が適切でないと、痛みが長引いたり、治りが遅くなったりする原因となります。
ステップ2 回復期(受傷後3日~1週間以降)
「温めて」治癒を促す
冷やし続けるのは逆効果!
冷湿布は、3~4日、長くても1週間以内に留めます。 なぜなら、受傷後2~3日すると、身体は損傷した組織から出た血液やリンパ液などを吸収し、修復作業を始めるからです。この吸収期に入っても冷やし続けると、その吸収が悪くなり、血流も悪いままなので、かえって患部の修復を遅らせることになります。
- 温熱療法
急性期の激しい痛みが引き、腫れや熱感が治まってきたら、今度は入浴などで患部を温める方が、治癒が早まり、残った痛みも取れやすくなります。温めることで血行が促進され、組織の修復に必要な酸素や栄養が十分に供給されるようになります。 ご家庭では、温浴のほか、ホットパックや蒸しタオルなどで温めるのも良いでしょう。 - 軽い運動とマッサージ
温めた後、痛みのない範囲で関節を軽く動かすことが重要です。痛みのために縮こまっていた筋肉や、固定のために硬くなった関節をほぐすためです。 関節周辺への入念なマッサージも効果があります。
受傷直後から強いマッサージや無理な運動を行うと、腫れや痛みを悪化させるため、必ず状態や圧痛(押したときの痛み)をよく観察しながら、徐々に行う必要があります。
3.肉離れに対する鍼灸治療
鍼灸が肉離れの回復をサポートする理由
鍼灸治療は、特に急性期を過ぎ、回復期に入った段階で集中的に行うことで、回復を早める大きな助けとなります。
- 血行促進と組織修復
鍼や灸の刺激は、患部やその周辺の血流を強力に促進し、損傷した筋線維の修復に必要な栄養素を届け、老廃物を効率的に排出させます。 - 痛みの緩和
鍼には高い鎮痛効果があり、長引く鈍い痛みを和らげます。 - 筋緊張の緩和と可動域の改善
痛みや固定によって硬くなった筋肉や関節包を緩め、関節の動きをスムーズにします。 - 自然治癒力の向上
身体が本来持つ治癒力を最大限に引き出し、より早く、より質の高い回復を目指します。
症状緩和に効果が期待できる主要なツボ
肉離れの治療では、損傷した筋肉の部位や、それに関連する経絡上のツボを用いてアプローチします。
具体的な鍼灸治療法
スポーツ障害の場合、肉離れに限らず、筋深部まで刺激を届ける方が回復が早いため、鍼を中心とした治療が適しています。
- 鍼治療と電気鍼(パルス療法)
特に、鍼に微弱な電気を流す鍼通電(パルス)療法は、筋肉にリズミカルな収縮を起こさせることで血行促進と鎮痛に高い効果が期待できます。通電時間は約10分、長くても20分程度で、患部を圧迫しても痛みがなくなるまで通電します。 - 置鍼術・単刺術
通電後、筋肉のしこりをほぐす目的で、鍼を刺したまましばらく置く「置鍼術」や、刺してすぐに抜く「単刺術」などを行います。
受傷初期には、指圧やマッサージも悪くありませんが、患部を強く圧迫することは避けるべきなので、鍼治療中心に考えるのが良いでしょう。
4.再発予防のために大切なこと
治療期間と休養の重要性
肉離れは、軽度のものであれば1週間ほどの鍼灸治療で改善が見られます。しかし、日頃から運動をしている人は鍼に対する反応が良く治りやすいですが、普段あまり運動をせずに、突然の運動で肉離れを起こした人などは、治りも遅くなる傾向があります。
肉離れは一度起こすと、再発を繰り返すことがあります。 これは、初回の治療や休養が不十分なために、筋肉が完全に回復していない状態で運動を再開してしまうことが大きな原因です。 再発を何度も繰り返すと、弾力のあった筋線維が硬い結合組織に置き換わり(瘢痕化)、筋の間にしこりができたような状態になり、従来通りのパフォーマンスを発揮できなくなる可能性があります。
そのためには、最初の肉離れのときに完全に治すことが何よりも大切です。 圧迫した時の痛みがなくなるまで、しっかりと鍼灸治療を行うことが望ましいです。 慎重すぎるほどの休養が大事であり、症状が軽いと感じる場合でも、最低でも2~3週間は運動を控えるようにしましょう。また、ご家庭でも患部を冷やさないように注意を払うことが必要になります。
ひごころ治療院では、つらい痛みの治療はもちろん、後遺症を残さず、再発させないための身体づくりまで、トータルでサポートさせていただきます。









