五十肩(肩関節周囲炎)

五十肩 の根本原因 にアプローチ!鍼灸で肩の痛みを改善

五十肩 は、肩関節の痛みと可動域制限を主な症状とする疾患で、正式には「肩関節周囲炎」と呼ばれます。40代から60代に多く発症することから、一般的に「五十肩」という名称で知られていますが、近年では30代や70代でも発症するケースが増えています。

【目次】

1.五十肩の症状
2.五十肩の原因
3.五十肩の鍼灸治療
 ・主要なツボ
 ・治療法
4.五十肩のリハビリ
 ・五十肩に効くストレッチ
 ・アイロン体操
 ・はしご体操
 ・行ってはいけない運動
5.血行促進と温熱療法
6.日常生活での予防策

五十肩の症状

五十肩は、40~50才代に多い肩の痛みで、正確には肩関節周囲炎といい、肩こりとは異なります。関節を形作る靭帯や関節を動かす筋肉が老化とともに柔軟性を失い、肩周囲の血液循環を悪化させ、軟部組織が痛んでいくもので、肩の痛み肩関節が十分に動かないのが特徴です。

五十肩の主な症状

  • 痛み
    安静時や夜間にズキズキとした痛みが生じ、特に腕を動かした際に強い痛みを感じることがあります。
  • 可動域制限
    腕を上げにくい、後ろに回しにくいなど、肩の動きが制限されます。日常生活での動作、例えば服を着替える、髪を洗う、物を持ち上げるなどが困難になることがあります。
  • 肩周辺の筋肉の凝りや圧痛
    肩周辺の筋肉が硬くなり、押すと痛みを感じることがあります。

初期は肩に重だるい痛みを訴える程度でありますが、次第に痛みが強くなり、特に肩関節を動かすと激しい痛みに襲われます。背中に手をのばせなくなったり、髪をとかしたりするなどの行為が、痛みと運動制限で辛い思いをしなければなりません。

日がたつにつれ、痛みは少なくなる半面、肩の筋肉はやせ、肩の周りに押すと強く痛む圧痛点が出てきます。早いものは1~2カ月、普通は半年~1年で痛みが去り、運動障害も徐々にとれますが、長い経過をたどるものでは、肩関節の運動が元に戻らないまま固定化することもあります。

症状の経過

  • 急性期
    発症から2週間程度で、激しい痛みが生じます。
  • 慢性期
    2週間から数ヶ月続き、痛みは軽減するものの、可動域制限が残ります。
  • 回復期
    数ヶ月から1年程度続き、徐々に可動域が改善していきます。

近年は寿命延長により、60才、70才の五十肩も稀ではなくなってきました。

五十肩の原因

五十肩の明確な原因はまだ特定されていませんが、以下の要因が複合的に関与していると考えられています。

  • 加齢に伴う肩関節周辺の組織の変性
    加齢により、肩関節を構成する腱や滑液包などの組織が変性し、炎症を起こしやすくなります。
  • 肩関節の使い過ぎや運動不足
    長時間のデスクワークや同じ姿勢での作業など、肩関節に負担がかかる動作や、運動不足による肩関節周辺の筋肉の柔軟性低下が原因となることがあります。
  • ストレスや疲労
    ストレスや疲労が蓄積すると、自律神経のバランスが乱れ、血行不良や筋肉の緊張を引き起こし、五十肩の発症につながることがあります。
  • 姿勢の悪さ
    猫背などの悪い姿勢は、肩関節に負担をかけ、五十肩のリスクを高めます。
  • 糖尿病などの基礎疾患
    糖尿病や甲状腺疾患などの基礎疾患がある人は、五十肩を発症しやすい傾向があります。

五十肩の鍼灸治療

鍼灸は、五十肩の症状緩和に効果が期待できる治療法です。

主要なツボ

頸部  「天柱
肩部  「肩髃
背中  「天宗
腰部  「腎兪
胸部  「中府
腕部  「臂臑」、「尺沢

などがポイントとなるツボです。

治療法

東洋医学には寒熱、痛痺といって、「冷えれば温めよ」、「熱があれば冷やせ」、「痛みがあれば手指で押すか鍼を刺せ」、「しびれはなでるか灸をせよ」、という治療原則があります。

五十肩になりますと肩が冷えるので、肩をホットパック等で温めることも大事になります。

腕を上げると肩先のくぼみのでるところにある「肩髃」を中心に三角筋を、また、後頚部の「天柱」、肩甲骨の「天宗」、胸部の「中府」さらに腰部の「腎兪」などを中心に施術します。「腎兪」は、腕を後ろに回すのに使われる広背筋の腰にあたるツボで、五十肩には重要なツボになります。

腕では「臂臑」を使用します。「臂臑」は腕の外側のツボで、肩から続いている三角筋が終わろうとするところにあります。東洋医学では、「臂」はひじから手首までの前腕を指し、「臂臑」には腕の痛みには効果的なツボとされています。

お灸をする女性

灸治療の場合は、上記のツボから1日1ヶ所につき3壮、最低3週間続けます。

五十肩は、慢性期には少々痛くても動かすことが必要になります。アイロン体操などは肩の動きの改善にはよいとされています。

五十肩のリハビリ

リハビリと運動療法は、五十肩の改善に不可欠です。

五十肩に効くストレッチ

  • 肩甲骨のストレッチ
    肩甲骨を前後に動かすことで、肩周辺の筋肉の柔軟性を高めます。

アイロン体操

からだを前に45度曲げ、痛みのない側の手は机のふちか太ももの上に置いて体を支え、痛みのある側の手にアイロン等の1~2キロの重りを握って腕をだらりと下げ、重りを前後左右に振り、また、円を描くように右回し左回しと繰り返します。肩の動きを改善する運動です。

はしご体操

壁の前に約30センチ離れて横向きに立ち、尺取虫のように少しずつ少しずつ腕をできるだけの高さまであげます。痛みに耐えられる高さまで頑張りましょう。

行ってはいけない運動

  • 痛みを我慢して無理に動かす
    痛みを我慢して無理に動かすと、症状が悪化する可能性があります。
  • 急激な動作や重いものを持つ運動
    肩関節に負担がかかり、痛みを悪化させる可能性があります。
  • 痛みが強い時の運動
    急性期など、痛みが強い時には運動を控え、安静にすることが大切です。

血行促進と温熱療法

血行促進と温熱療法は、痛みの緩和や筋肉の緊張緩和に効果があります。

血行を良くする食事と生活習慣

  • バランスの取れた食事
    ビタミンやミネラルを豊富に含む食品を摂取し、血行を促進しましょう。
  • 十分な睡眠
    睡眠不足は血行不良や筋肉の緊張を引き起こすため、十分な睡眠をとりましょう。
  • 適度な運動
    ウォーキングやストレッチなどの適度な運動は、血行を促進し、筋肉の柔軟性を高めます。
  • 禁煙、節酒
    喫煙や過度の飲酒は血行不良を引き起こすため、控えましょう。

温熱療法の実践方法

  • 蒸しタオルやカイロで温める
    肩周辺を蒸しタオルやカイロで温めることで、血行を促進し、筋肉の緊張を緩和します。
  • 入浴や温泉
    入浴や温泉は、全身の血行を促進し、リラックス効果も期待できます。
  • 温熱療法機器の使用
    温熱療法機器を使用することで、手軽に温熱療法を行うことができます。
  • 冷温交互療法
    冷温交互療法は、血行促進と痛みの緩和に効果があります。温かいタオルと冷たいタオルを交互に当てることで、血管を拡張・収縮させ、血行を促進します。

日常生活での予防策

日常生活での予防と健康維持が大切です。

  • 正しい姿勢を保つ
    猫背などの悪い姿勢は、肩関節に負担をかけるため、正しい姿勢を保つように心がけましょう。
  • 適度な運動
    適度な運動は、肩関節周辺の筋肉の柔軟性を高め、血行を促進します。
  • 同じ姿勢を長時間続けない
    同じ姿勢を長時間続けると、肩関節に負担がかかるため、適度に休憩をとり、ストレッチなどを行いましょう。
  • 身体を冷やさない
    身体が冷えると、筋肉が硬くなり、血行不良を引き起こすため、身体を冷やさないようにしましょう。
  • 睡眠時間の確保
    十分な睡眠時間を確保し、疲労回復に努めましょう。

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