前立腺肥大症

前立腺肥大

前立腺肥大とは
症状・原因と
東洋医学によるアプローチ

「夜中に何度もトイレに起きるようになった…」
「尿の勢いが弱く、

出し終わるまでに時間がかかる…」
「排尿後もスッキリしない残尿感がある…」

壮年期を過ぎた男性に現れるこれらの症状、もしかしたら前立腺肥大症ぜんりつせんひだいしょうのサインかもしれません。

前立腺肥大症は、加齢に伴い多くの中高年男性が経験する良性の疾患ですが、その不快な症状は日常生活の質(QOL)を大きく左右します。この記事では、前立腺肥大症の原因と症状、そして東洋医学に基づく鍼灸治療によるアプローチや、ご自身でできるセルフケアについて詳しく解説します。

【目次】

  1. 前立腺肥大症とは?~その原因と主な症状~
    • 前立腺の役割
    • 前立腺肥大症の主な症状と影響
    • なぜ前立腺は肥大するのか?(原因)
    • ご自身でできる簡単なセルフチェック
  2. 前立腺肥大症に対する鍼灸治療
  3. 前立腺肥大症と上手に付き合うための生活習慣
    • 運動、食事、ストレス管理のポイント
  4. 【重要】体からのSOS~前立腺がんと見分けるために~
    • 夜間頻尿は危険なサイン?
    • 前立腺がんと肥大症の症状の違い
    • 早期発見の鍵「PSA検査」
    • 何科に行くべき?

1.前立腺肥大症とは?
~その原因と主な症状~

前立腺の役割

前立腺肥大とは

前立腺は男性特有の臓器で、膀胱のすぐ下に位置し、尿道を取り囲むように存在します。 主な役割は、精液の一部である前立腺液を分泌し、精子の運動能力を助け、受精を促進することです。また、尿道の収縮を調整し、排尿をコントロールする機能も担っています。

前立腺肥大症の主な症状と影響

年齢を重ね、50歳を過ぎた頃から、以下のような排尿に関するトラブルが現れたら、前立腺肥大症の初期症状である可能性があります。

  • 排尿困難
    尿が出にくい、尿の勢いが弱い、排尿に時間がかかる、排尿に強い力を入れなければならない。
  • 頻尿ひんにょう
    トイレに行く回数が増える。特に夜間頻尿は、睡眠の質を低下させる大きな要因となります。
  • 残尿感
    排尿後も尿が膀胱に残っている感じがしてスッキリしない。
  • 尿意切迫感
    急に強い尿意を感じ、我慢するのが難しい。
  • 間欠排尿かんけつはいにょう
    排尿の途中で尿が途切れてしまう。

通常、前立腺肥大そのものが排尿時に強い痛みを引き起こすことは稀ですが、排尿困難が続いたり、膀胱炎などの合併症を引き起こしたりした場合には、痛みを感じることがあります。

なぜ前立腺は肥大するのか?(原因)

前立腺肥大症は、医学的には良性の腫瘍に分類され、ある一定の年齢に達すれば多くの男性の前立腺が肥大していく、一種の老化現象と考えられています。

  • 主な原因
    明確な原因は完全には解明されていませんが、主に加齢男性ホルモン(特にジヒドロテストステロン:DHT)のバランスの変化が関与していると考えられています。年齢とともにホルモンバランスが変化し、前立腺の細胞増殖が促進されることで、組織が肥大するとされています。
  • リスクを高める要因
    肥満、運動不足、高脂肪な食事といった生活習慣は、ホルモンバランスに影響を与え、前立腺肥大のリスクを高める可能性があります。また、長時間の座位身体の冷えも、前立腺周囲の血流を悪化させ、症状を悪化させる要因となることがあります。

前立腺肥大をそのまま放置しておくと、残尿が多量になり、やがて尿が全く出せなくなる「尿閉にょうへい」を起こし、腎臓に負担がかかり「尿毒症にょうどくしょう」に至ることもあるため、適切な管理が重要です。

ご自身でできる簡単なセルフチェック

泌尿器科では専門的な検査で診断しますが、ご自身でも肥大の始まりを知るための一つの目安となる方法があります。

  1. おへその下、膀胱の上あたりにある「中極ちゅうきょく」というツボ(おへそと恥骨の間の下の方)を探します。
  2. 右手の指をそろえて「中極」に置き、その上に左手を添えます。
  3. 3~5kg程度の圧力で、ゆっくりと斜め下60度の方向(身体の奥深く、尿道口に向かうイメージ)に押し込みます。
  4. この時、尿道口のあたりに軽い痛みや違和感を感じるようであれば、前立腺の肥大が始まっている可能性が考えられます。
精力増強
腎臓病

2.前立腺肥大症に対する鍼灸治療

鍼灸治療の役割 つらい症状の緩和

前立腺肥大症の治療は、まず泌尿器科などの専門医による診断と、薬物療法や手術といった西洋医学的な治療が基本となります。

ひごころ治療院の鍼灸治療は、これらの治療を補完するものとして、対処療法的に排尿困難などのつらい症状を取り除き、また不快感から過敏になっている患者様の神経症状を抑え、QOL(生活の質)を向上させることを目的としています。

東洋医学では、前立腺肥大症を「癃閉りゅうへい」や「小便不利しょうべんふり」といった状態で捉え、その原因を「じん」の機能低下や、気血の滞り湿熱しつねつなどが原因と考え、根本的な体質改善を目指します。

症状緩和に効果が期待できる主要なツボの例

腹部  「中極ちゅうきょく」、「水道すいどう」、「大赫だいかく
腰部  「肝兪かんゆ」、「腎兪じんゆ
足部  「蠡溝れいこう」、「太衝たいしょう

特に「中極」は、前立腺肥大に伴う排尿トラブルの治療で威力を発揮する重要なツボです。

具体的な鍼灸治療法

  1. まず、下腹部にある「中極」と、その周辺で前立腺肥大に伴う諸症状の予防にも効果が期待できる「水道」、「大赫」といったツボにアプローチします。
    • 鍼を刺入する場合は、尿道口に向かって60度程度の角度で刺入するのがコツとされています。指圧の場合も同様の角度で押し込みます。
  2. 加えて、生命エネルギーを補い活力をつけるために「関元かんげん」、「肓兪こうゆ」を、尿の出を良くするために曲骨きょくこつ」、「横骨おうこつ」も刺激します。
  3. 背中側では、腰の「次髎」、仙骨部の「膀胱兪」、「胞肓」などを刺激します。
  4. また、身体全体の機能を高める作用がある「肝兪」、「腎兪」も重要な治療点です。
  5. 最後に、性機能の改善をサポートするために、足にある「蠡溝」、「太衝」を刺激します。

3.前立腺肥大症と
上手に付き合うための生活習慣

運動と前立腺健康

適度な運動は、全身および骨盤内の血行を促進し、ホルモンバランスを整える効果が期待できます。

  • おすすめの運動
    ウォーキングや軽いジョギング、骨盤底筋を鍛える運動(ケーゲル体操など)は、前立腺の健康維持に役立つと考えられています。

食事の見直しと注意点

バランスの取れた食事は、前立腺の健康維持に重要です。

  • 推奨される食品
    抗酸化作用のある野菜や果物、男性ホルモンの代謝に関わる亜鉛を多く含む食品(牡蠣、赤身の肉など)、リコピンを含むトマトなどを積極的に摂取することが推奨されます。
  • 控えるべきもの
    刺激物(香辛料、アルコール、カフェインなど)の過剰摂取は、膀胱や前立腺を刺激し、症状を悪化させる可能性があるため注意が必要です。

ストレス管理とリラックス方法

ストレスは、自律神経のバランスを乱し、排尿機能を悪化させる可能性があります。

適度な休息、趣味の時間を持つ、リラックスできる環境を作るなど、日頃からストレスを溜め込まないように工夫することが大切です。鍼灸治療も、心身のリラックスに大変効果的です。

4.【重要】体からのSOS
~前立腺がんと見分けるために~

夜中に3回以上トイレに起きる場合は要注意

男性特有の病気に、前立腺がんがあります。 前立腺肥大症は良性の疾患であり、直接的にがんになるわけではありません。しかし、前立腺がんの初期症状は、前立腺肥大症の症状(頻尿、排尿困難など)と非常によく似ているため、注意が必要です。

  • 頻尿の違いの目安
    • 前立腺肥大症
      肥大した前立腺が膀胱を物理的に圧迫するため、頻尿になります。尿の勢いがチョロチョロと弱く、時間がかかるのが特徴です。
    • 膀胱の症状(過活動膀胱など)
      尿自体は比較的スムーズに出るが、回数が多く、量が少ないのが特徴です。
    • 前立腺がん
      前立腺肥大症と同様の症状から始まることが多いです。

「頻尿が続くと思ったら、実は前立腺がんだった」ということも少なくありません。特に、夜中に3回以上トイレに起きるような場合は、一度専門医に相談することをお勧めします。

早期発見の鍵「PSA検査」

前立腺がんは、ステージ3までの5年生存率が100%ともいわれ、特に早期発見・早期対処が重要ながんです。

  • PSA検査
    血液検査で「PSA前立腺特異抗原)」という腫瘍マーカーの値を調べることで、前立腺がんのリスクを非常に高い精度で評価できます。
  • 受診のすすめ
    60歳を過ぎたら、人間ドックの血液検査のオプションとして必ず追加することをお勧めします。また、前立腺がんは遺伝的要因も指摘されているため、血縁者に前立腺がんの方がいる場合は、50代からPSA検査を受けることをお勧めします。

何科に行くべき?

  • 泌尿器科
  • 内科

ひごころ治療院では、このような重篤な疾患の可能性も常に念頭に置き、まずは専門医の診断を最優先としています。その上で、鍼灸治療でサポートできることをご提案させていただきます。

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