ヒステリー

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ヒステリーとは 何かーその原因と治療法

【目次】

1.ヒステリーの原因と症状
2.ヒステリーの鍼灸治療
  ・主要なツボ
  ・治療法
  ・日常での対処法

ヒステリーの原因と症状

イライラする男性

ヒステリーは、感情の抑圧が強く、不満が内向し、そのことによって自分自身で無意識に耐えきれなくなると、様々な身体症状を訴えるものであります。

半身麻痺やけいれんが起こったり、目が見えなくなったり、耳が聞こえなくなったり、頭痛、失神など強い反応も出て、精神病に似た症状を示す場合さえあります。

しかし、体を検査しても、その病根は発見されません。ときには、腹や喉に球のようなつっかえを訴える場合もありますが、やはり他覚的に異物や腫瘍も認められません。これをヒステリー球といいます。

ヒステリーを起こしやすいのは、見栄っ張りで、大袈裟な気性の人だといわれています。実際、患者は他人が見ているところでは病状を過大に訴え、感情的、演出的であり、他人から見れば仮病ではないかと思われるほどであります。しかし、実際は患者自身もその症状で苦しんでいるのであります。したがって、ヒステリーは神経症の中の一つとして分類されるのが普通であります。

ヒステリーの治療の基本は、精神療法であります。それには精神分析療法森田療法催眠療法自律訓練法短時間面接などいろいろあります。合わせて向精神薬を補助的に使用します。

ヒステリーに対する鍼灸治療の対応の方法は、何よりも体調を整え、体力を強めることを眼目としています。東洋医学ではひとの精神活動を支配しているのは頭ではなく臓腑だと考えています。臓腑は胸と頭にあり、その働きを改善できる鍼灸の狙いもここにあります。

いろいろなヒステリー症状の場合、それに伴って起こる合併症として、むくみや冷えなどの症状がある循環器系の症候群と、食欲不振や便通不整などの消化器系の症候群が最も多くあります。つまり、神経のイライラは、このような症状となって体の不調を訴えるわけであります。そのために、このような症状を和らげるためによく効くツボが重要になってきます。

ヒステリーの鍼灸治療

主要なツボ

背中 「肩井」、「厥陰兪」、「心兪
   「膈兪」、「胃兪
腰部 「腎兪
胸部 「膻中」、「鳩尾
腹部 「関元」、「大巨
手部 「神門
足部 「足三里」、「湧泉

などが中心になります。

治療法

背中の治療から行います。とくに「厥陰兪」は、心包経の兪穴であり、自然界にある全ての邪気はこのツボから入り、臓腑をおかして病を起こすのだといわれています。これらの邪気はやがて募穴に集まります。したがって、兪穴と募穴は密接な関係にあり、兪穴と募穴を同時に活用することで、臓腑の異常が発見され、治療効果をあげることが出来ます。

厥陰兪」に対する募穴は胸の「膻中」であり、心経の兪穴である「心兪」の募穴は腹部の「巨闕」であり、胃経の兪穴である「胃兪」の募穴は腹部の「中脘」である、という具合になっています。

ヒステリー症状の場合、「膻中」には圧痛がある場合が多いので、施術の際は細心の注意が必要となります。

鳩尾」、「中脘」は消化器を整えるのに重要であります。便秘気味の人や、生理痛なども伴う場合は、とくに「大巨」をよく処置します。

最後に、精神不安やイライラをとり除くために頭の「百会」、気力をつけ、頭をすっきりさせるために、手の「神門」、足の「足三里」、「三陰交」、足底の「湧泉」を刺激します。

灸の場合は、米粒大または半米粒大のもぐさを1ヵ所3~5壮すえます。5日間続けて2日休む、という方法を繰り返します。

ヒステリー球には、「膻中」の灸と、「人迎」、「天突」の鍼がよく効きます。

日常での対処法

気分がすぐれず、イライラしたときは、自分の手のひらのほぼ中央でやや親指寄りの辺りを反対の手の親指でよくもみほぐすと、イライラした気持ちが徐々におさまります。

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