腎臓病の原因
慢性腎炎とネフローゼ症候群への
鍼灸アプローチ
「最近、身体がむくみやすい…」
「なんとなく身体がだるくて、疲れがとれない…」
「健康診断で、はじめて尿の異常を指摘された…」
その不調、もしかしたら身体の静かなる働き者、「腎臓」からのサインかもしれません。
この記事では、代表的な腎臓病である慢性腎炎やネフローゼ症候群の症状や原因、そして東洋医学に基づく鍼灸治療が、どのようにつらい症状の緩和や体質改善をサポートできるのかを詳しく解説します。
【目次】
1.腎臓病とは?
~慢性腎炎とネフローゼ症候群~
慢性腎炎の症状と特徴

慢性腎炎は、腎臓にある糸球体という部分に慢性的な炎症が起こる病気です。
- 特徴と発見のきっかけ
10~40代の比較的若い世代に多く見られますが、大多数は初期に自覚症状がなく、会社の健康診断や、風邪・妊娠時などの検査で、偶然タンパク尿や血尿を指摘されて気づくことが少なくありません。 - 進行した場合の症状
病気が進行すると、身体のだるさ、むくみ(浮腫)、高血圧などが現れ、心臓に負担がかかる(心不全)など、治療が厄介になることがあります。
ネフローゼ症候群の症状と特徴
ネフローゼ症候群とは、独立した一つの病名ではなく、腎臓の糸球体に障害が起こり、以下の4つの特徴的な状態を示す病態の総称です。
- 特徴と発見のきっかけ
ご自身で気づくきっかけとしては、顕著な「むくみ」であることが多いです。 - 進行した場合の症状
病状が進行すると、胸やお腹にも水がたまり(胸水・腹水)、咳やたんが増え、呼吸も苦しくなります。さらに、食欲不振、身体のだるさ、皮膚が蒼白になるなど、次第に体力が衰えていきます。
【重要】まずは専門医による診断と治療を
上記の症状に心当たりがある場合、あるいは健康診断で尿の異常を指摘された場合は、自己判断せずに必ず速やかに医療機関(内科、腎臓内科など)を受診し、専門医による正確な診断と適切な治療を受けることが最も重要です。 腎臓病は、早期発見・早期治療と、継続的な管理が不可欠な疾患です。
2.腎臓病に対する鍼灸治療
ひごころ治療院の鍼灸治療は、腎臓病そのものを直接治すことを目的とするものではありません。医師による専門的な治療と並行して、腎臓病に伴って現れる様々なつらい症状を和らげ、身体全体の調子を整えることで、腎臓の機能回復をサポートすることを目的としています。
東洋医学で考える腎臓病と水分代謝
私たちの身体において、腎臓は体内の水分量を調整し、不要なものを尿として排泄する重要な役割を担っています。 東洋医学でも、この水分代謝には、「肺」、「脾」、「腎」という三つの臓器が深く関わっていると考えます。
- 肺
呼吸を通じて水分を全身に散布し、皮膚から発散させる。 - 脾
消化吸収機能を通じて、飲食物から必要な水分を取り込み、不要な水分を処理する。 - 腎
生命エネルギーの源であり、全身の水分代謝を最終的にコントロールする。
さらに、東洋医学では、各臓腑にはそれを補うパートナーとしての「腑」があると考えますが、「腎」に対する腑は「膀胱」です。 また、全身の気・血・水の通り道であり、調整役でもある「三焦」の機能が低下すると、水分の巡りが悪くなり、尿が出にくくなることがあります。
以上のことから、腎臓病に対する鍼灸治療の方針は、「肺」、「脾」、「腎」の機能を整え、「膀胱」、「三焦」の働きを活発にすることを大きなねらいとします。
症状緩和に効果が期待できる主要なツボの例
腎臓病に伴う症状や体質に合わせて、以下のツボを中心に施術します。
特に「腎兪」と「水分」は、腎臓病のケアにおいて特効穴ともいえる重要なツボです。
具体的な鍼灸治療法
鍼灸治療を受ける上での注意点
- お灸の方法
腎臓病の方は、灸の痕が化膿すると、尿中のタンパクが増える可能性があるため、もぐさをなるべく小さく切り、水疱(みずぶくれ)やかさぶたを作らないように、細心の注意を払って施術します。 - 日常生活の管理
腎臓病は長い経過をたどることが多いため、鍼灸治療と合わせて、医師の指導に基づいた食事療法(塩分・タンパク質制限など)や生活管理が非常に重要です。風邪などの感染症予防に努め、血圧の上昇を防ぐことも大切です。
3.ご家庭でできる!
むくみ対策のセルフケア
むくみをとるには、かかとの中央を揉むと良い
むくみの最も大きな原因の一つは、尿をつくる腎臓の働きが悪く、血液中の水分が増えてしまうことです。ご家庭でできる簡単なセルフケアとして、かかとへの刺激があります。
- 方法
- 足の裏のかかとの中央部分を、反対側の手の親指で心地よい程度に押し揉みします。
- あるいは、金づちの柄や握りこぶしで、リズミカルにトントンと叩くのも良いでしょう。
- 時間の目安
片足に3~5分間程度、毎日続けることで、むくみの改善が期待できます。
セルフケアはあくまで補助的なものです。むくみがひどい場合や改善しない場合は、必ず専門医にご相談ください。













