イライラすると
胃が痛むのはなぜ?
「肝旺タイプ」が注意すべき
病気と未病のサイン
「胃の調子が悪いから、消化に良いものを食べよう」。そう思って養生しても、なかなか良くならないことはありませんか?東洋医学では、その胃の不調の原因は、胃そのものではなく、エネルギーが強すぎる「肝」にあると考えます。本稿では、責任感が強くエネルギッシュな「肝旺(かんおう)タイプ」の人が、なぜ消化器系の病気を抱えやすいのか、そのメカニズムと未病のサインについて解説します。
この記事を読めば、東洋医学について理解できるかと思います。分かりやすく、丁寧に解説するので、ぜひ一緒に学びましょう!
病気の原因は何か

体質と病因
肝旺タイプが冒されやすい疾病
病気の発症は、その部位の機能が著しく低下していることを示しています。東洋医学の視点で見れば、自身の体質において「剋される系統(抑制を受けやすい場所)」が、最も病気に冒されやすい部位となります。
五行の法則において、肝(木)は脾(土)を抑制します(木剋土)。そのため、肝の気が強すぎる「肝旺タイプ」の人は、まず脾系(消化器・代謝系)が最も冒されやすく、次に肺系、そして体力が極度に低下した段階でようやく肝自体の症状が現れるという順序をたどります。
以下に、肝旺タイプの人に現れやすい脾系の不調例を挙げます。
軽度な機能低下(未病段階)の症状
肝の強すぎるエネルギーが脾を圧迫し始めると、以下のような兆候が現れます。
- 全身の重だるさ
脱力感が強く、体が重く感じられる。 - 胃部の不快感
胃が重苦しい、胸のむかつき。 - 意欲の低下
四肢がだるく、体を動かすのが億劫になる。 - 食欲不振
食べる意欲がわかない。 - 精神的偏り
一つのことを深く考え込み、取り越し苦労が増える(案じ性)。
※肝旺タイプであっても、他系統との力関係により、これらの症状が重なって出ることもあれば、一つだけ突出して出ることもあります。
重度な機能低下による具体的な疾病群
機能低下が進行し、本格的な病状に移行すると、以下のような疾患を招きやすくなります。
- 胃腸疾患
胃炎、十二指腸潰瘍をはじめとするすべての消化器疾患。 - 膵臓・糖尿病
糖尿病などの代謝疾患(東洋医学の「脾」は膵臓の機能も含みます)。 - 血液・脾臓疾患
造血性脾腫など。 - 鼻腔疾患
慢性鼻炎、副鼻腔炎などの鼻のトラブル。 - 全身性疾患
代謝異常による肥満症など。
肝旺タイプは脾系統だけでなく、肺系統も冒されやすい性質を持っています(※心旺タイプの項で詳述)。自分の体質の「偏り」を知ることは、どの臓器が先に悲鳴を上げるかを予測し、未然に防ぐための重要なカギとなります。













今回の講義の概要
五行の「木剋土」の法則により、肝旺タイプの過剰なエネルギーは、真っ先に消化器系(脾)を抑制し、ダメージを与えます。
胃の重苦しさだけでなく、一つのことをクヨクヨ考え込む精神状態(案じ性)も、脾系が弱っている重要な未病サインです。
放置して重度になると、胃炎だけでなく、膵臓機能(糖尿病)、鼻腔疾患、肥満など、一見関係なさそうな全身疾患へと発展するリスクがあります。