東洋医学講座 346

ノースポールの花

辛味の働き ー肺と辛味の関係ーその働きと健康への影響

この記事を読めば、東洋医学について理解できるかと思います。分かりやすく、丁寧に解説するので、ぜひ一緒に学びましょう!

今回の講義の概要

辛味の働き
辛味を食べると体が温まる理由
辛味の健康への影響

肺と辛味

「辛味過ぎれば筋脈は沮弛(そち)して精神すなわち夬(かい)す」と古典は述べています。「夬」は、易経の「沢天夬(たくてんかい)」の夬の字と同義で、さんずいのついた決にほぼ等しく、決心・対決するなどの意味を持ちます。これは決する、定まる、斑(むら)の意があります。易象では、はじめ地雷復であったのが、陽が長じてきて最後に残った一陰を夬(けつ)し去るというように解釈します。

収斂・凝結の働き

辛味は、五行では金気の働き、すなわち収斂・凝結の働きであり、この辛味が過ぎれば、筋肉・血管は沮弛(そち)します。沮は水の流れを止める意味があり、弛はゆるめる、ゆるむの意味があります。

辛味が過ぎると、まず肺が亢進して、肝を剋傷し、筋脈を収斂させます。これは金剋木の状態です。肺が亢進し、収斂したあとは元に戻ろうとします。そのときに元の状態以上に弛緩するので、性情性を失います。このように、緊張と弛緩が交互に現れ、ムラができます。適度な辛味は身を引き締め、全身の生理作用を円滑にします。

辛味を食べると体が温まる理由について説明します。辛味は、金気の働きで収斂作用によって身を引き締め、毛穴を閉じて隙間を失くし、体を保温状態にします。また、筋肉や血管を収縮させると、流れる血液量は一定なので、血流圧が高まります。つまり、血液と血管壁との摩擦が大きくなり、発熱が活発になります。これは、高血圧の人が辛い物を食べると、血圧が上がることからも理解できるかと思います。

反対に、冷え症の原因としては、血管が収斂しないために血圧が低く、摩擦力が小さくなり発熱量が減ることが考えられます。一方、食品の面から考えると、アルカリ性食品を多く摂る人は貧血傾向であり、冷え症になりやすいです。冷え症の人は果物を好み、肉類は食べない傾向があります。肉類やタンパク質、炭水化物などの酸性食品を多く摂る人は血液の濃度が濃くなり、血流圧が高まって発熱量も大きくなります。たいていの暑がりの人は、肉類や脂肪を好む傾向があります。

いずれにしても、辛味の過剰摂取は、収斂や弛緩に偏り、中庸を失うため良くありません。筋脈の関係では、脈を火性、金を木性と見て、肺とどのような関係になっているかを考えることが重要です。

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