肺と哭 ー東洋医学における哭(なげく)と悲しみ、沈着の関係
肺と哭(なげく)
哭は、なげく・なく・さけぶ・哀れむ声の意であります。肺の金性は沈着性があり、その極に達すると悲しむ、なげく、哀れむとなります。なげきや悲しみは肺を傷つけ、沈静は肺を豊かにします。
金気は〝定まる〟として〝確立〟とします。九星術では、六白金星の吉方祐気をとると、精神が確立するといわれています。
なげき悲しむのは〝金気〟の作用
肺は、その志の働きが悲しむとされます。肝は怒り、心は喜悦、土は思慮、腎は恐驚であります。金気は沈着性・収斂性を持ち、その状態が極に達すると悲しみ、哭(なげ)きとなります。金気の働きの度合いによって、悲しみとなるか、沈む・落ち着く・冷静となるかが決まりますが、これは同系統のものを寄せ集めてきたのではなく、働きかけた結果です。金気をAに働きかけた場合は冷静となり、Bに働きかければ悲しみとなるように、A・Bそれぞれ性質の違うところへ行きます。
金気の働きがA・Bそれぞれに消化された形となって出てきたものが冷静であったり、悲しみであったりします。金気の働きを寄せ集めるといった考え方が西洋的であるならば、東洋医学的考え方はどの程度の力がどのような条件のもとで働くかというように逆の立場から見方をしている点が大きく違います。
例えば、1年でいえば金気の働きが冬にはどうなるか、夏にはどうか、それを時間的表現で説明しているのが旺相死囚休の考え方です。東洋医学はこのような思考をしています。
人間には五つの心があり、それが合わさって一個性となります。肺には肺自身の心があり、それが働けば正義となります。
金性の性質は収斂作用であり、収斂とは固まる性質であり、人間でいえば、自分を引き締め、確立する働きです。金気の強い人は自己の精神が確立されています。しかし、金気の弱い人はよく哭(なげ)いたり、悲しんだりしますが、あまり悲観的に哭いてばかりいると、肺系機能が一層低下します。
この記事を読めば、東洋医学について理解できるかと思います。分かりやすく、丁寧に解説するので、ぜひ一緒に学びましょう!
今回の講義の概要
・肺と哭(なげく)の関係
・肺と金気の関係
・金気の作用とその性質