東洋医学講座 369

東洋医学講座 369 肺と燥気

肺と燥気 ー 秋と肺の働きー燥気と健康の関係

ひごころ治療院

この記事を読めば、東洋医学について理解できるかと思います。分かりやすく、丁寧に解説するので、ぜひ一緒に学びましょう!

今回の講義の概要

燥気と肺の関係
秋の特徴と肺への影響
金気(五行)の作用

肺と燥

燥とは、乾く・乾かすという意味があり、「乾」と同義で乾燥を指します。

秋になると、長夏土用の湿気を多く含む大気が冷却・乾燥し、水分を失い燥気となります。この時、地中には地湿が内在し、大気中には純陽の天気のみが存在します。これは五行では金気と呼ばれます。

肺は燥気に適応しやすく、適度な燥気は肺の働きを助けますが、燥が過ぎるとその力を失います。そのため、肺は適度な燥気を好みます。

秋や夕方の大気は乾燥した窒素性の空気で、酸素(水中酸素・草木酸素・大気湿度中の酸素)や湿度が少なくなるため、肺呼吸が活発化します。

秋の体生理では、肺呼吸を盛んにし、皮膚などの外表の守りを強化して衛気を内在させ、冬に備える準備を行います。

秋・冬は身体が引き締まり、収斂(しゅうれん)に向かいます。一方で春・夏は身体が緩んで開放(かいほう)に向かう特性を持っています。

肺は〝燥気〟を好む

燥とは乾燥のことであり、乾く・乾かすという意味を持ち、その働きは「固くなる」ことが中心となります。

秋になると、長夏で湿度が多かった空気が冷却によって湿度を減少させ、収斂・乾燥した大気に変化します。このような乾燥は加熱によるものではなく、冷却による湿度の減少が要因です。例えば、冷蔵庫内の食品が乾燥するのはその一例と言えます。

金性の燥は冷却による乾燥であり、湿気を失い、凝固される乾燥現象です。このため、秋は地湿が地中にとどまり蒸発せず、大気中は純陽の天気だけとなります。これが金気であり、燥もまた金気に属します。

肺は燥気に適応しやすいですが、燥が過剰になると肺は苦しくなり、力を失います。乾燥度や湿度が極端でも肺には負担がかかります。肺に最も適しているのは、春秋のような温度や、特に秋の燥気を含む大気です。健康な人にとって収斂性のある秋の陽気は気分を爽快にし、身体にも良い影響を与えます。肺結核の患者が涼気のある高原地で療養するのは、こうした特性が理由と考えられます。収斂性の気候は病人にとって好適です。

春は遠心性・進行性の特性を持ち、陽遁期(ようとんき)であるため、病気が悪化しやすいですが、秋は急進性・収斂性の気が巡るため、病状を抑える方向に働き、患者が安定しやすい季節と言えます。

秋や夕方は乾燥した窒素性の大気で酸素が少ないため、肺は活発に働かなければなりません。陽遁期には、皮膚をはじめとした外側の守りを固め、衛気を内在させて身を引き締め、冬に向けた準備を行います。肺呼吸が活発であることは皮膚を引き締め、外的環境から身を守るための働きと言えます。一日の中では、夜間の冷気から身を守る役割も果たします。

いずれにしても、燥気は肺の働きを助けますが、過度であれば肺に負担をかけるということです。

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