ウイルスは「きっかけ」に
過ぎない。
病気を招く「内因」の正体
「風邪をひいたのはウイルスのせいだ」と決めつけていませんか?実はそれ、東洋医学の視点で見れば「半分正解で半分間違い」です。同じ空間にいても、病に倒れる人とケロッとしている人の差は、ウイルスの強さではなく、自分自身の「生活の積み重ね」にあります。本稿では、健康の土台を揺るがす「内因」と、外部からの刺激「外因」の力学を紐解き、冒されない体を作るための根本原理を解説します。
この記事を読めば、東洋医学について理解できるかと思います。分かりやすく、丁寧に解説するので、ぜひ一緒に学びましょう!
病気の原因は何か
「内因」と「外因」の本質を追究する

ここでは、病気の原因がどこにあるのかという根本的な問題を追究していきます。
原因を紐解く前に、まず「内因」と「外因」という考え方について説明します。この他に「不内外因」という分類もありますが、それについては後ほど詳しく触れます。
まず、「健康体」と「病体」の決定的な違いは何でしょうか。それは、健康体として正常に働いている機能が低下した状態、それが「病体」です。そう考えると、問題は「機能を低下させる原因はどこにあるのか」ということに行き着きます。結局のところ、それは「機能を低下させる生活とはどのようなものか」という問いに他なりません。
これを分かりやすく整理してみましょう。まず、私たちには「体力」というベースがあります。その体力が日々の生活の中でどの程度プラスされるか、あるいはマイナスされるかが重要です。ここには「先天的な体力・体質」に加え、成長過程における「後天的な生活習慣」が含まれます。そして、現在進行形でどのような生活(プラスかマイナスか)を送っているかによって、最終的な結果、すなわち「現症状」が決まるのです。
基本に立ち返れば、内因とは「その人の生活自体がどうであったか」ということに集約されます。厳密には、不摂生などは「不内外因」に分類されますが、ここでは分かりやすく「本人の側に起因するもの」を総称して内因と呼びます。
不摂生な生活によって体力を落としていると、それが内因となり、ウイルスや細菌に冒される隙が生まれます。それら外部の攻撃を総称して「外邪」、あるいは「外因」といいます。つまり、体力から生じる「抵抗力」と、外部からの「外邪」との拮抗バランスが崩れたときに、疾病が発症するのです。
大気中には、無数の細菌やウイルスが浮遊しています。例えば、同じ部屋にいる誰かがくしゃみをすれば、その空間は瞬時にウイルスに満たされます。それでも全員が病気にならないのは、私たちにウイルスを制圧する「抵抗力」があるからです。体内では、絶えず抵抗力とウイルスの戦いが繰り広げられています。
「人間は何のために生きているのか」という哲学的な問いがありますが、病因論の観点から言えば、体とは「ウイルスや細菌を制覇するために生きている」と言っても過言ではありません。制覇できなければ、逆に外邪に冒されて病に倒れるからです。
今後重要になるのは、個々の「体質」や「不摂生の種類」を細かく理解することです。自分の体力や体質を知り、どのような生活が善し悪しを決めるのかを知って初めて、現在の体の状態(症状)を正しく把握できます。
こうした根本的な成り立ちを考慮せずに、東洋医学の診断法である「望聞問切」を正しく行うことは不可能です。本来、診断の勉強にはこれらの基礎知識が含まれているはずですが、現実には表面的な技術に終始しているケースが散見されます。
根幹となる成り立ちを無視した診断は、単なる「枝葉(部分)」の観察に過ぎません。全体を深く洞察すれば、枝葉の診断だけではいかに大事なことを見落としているかに気づくはずです。基礎を基盤として初めて、脈診一つをとっても正しい判断が可能になるのです。











今回の講義の概要
病気とは機能が低下した状態であり、その低下を招くのは日々の「プラス・マイナスの生活習慣」の集積である。
大気中にウイルスは常に存在する。発症するかどうかは、ウイルス(外邪)の攻撃力と、自身の内側から発する抵抗力のバランスで決まる。
体質や生活背景という「根幹」を無視した脈診や診断は、表面的な現象を追っているだけであり、本質的な治療には至らない。