東洋医学講座 418

東洋医学講座:「秋バテ」の本当の原因は、夏の「冷え」だった?

「秋バテ」の本当の原因は、
夏の「冷え」だった?

秋になると、なぜか体がだるい、風邪をひきやすい…そんな不調を感じていませんか?もしかしたら、それは「秋バテ」かもしれません。実はその根本原因、暑い夏に摂った「冷たいもの」にある可能性が非常に高いのです。本稿では、東洋医学の視点から、夏の冷えがなぜ秋の不調を引き起こすのか、そのメカニズムと季節を越えた養生の重要性について解説します。

この記事を読めば、東洋医学について理解できるかと思います。分かりやすく、丁寧に解説するので、ぜひ一緒に学びましょう!

今回の講義の概要

  • 夏の身体は「外熱内寒」
    夏の暑さでエネルギーが体表に発散されると、身体の中心部はかえって無防備で冷えやすい状態になります。
  • 夏の冷えが秋の不調を招く
    夏に冷たい飲食物で身体の中心部を冷やすと、秋になってエネルギーを内に蓄える「求心作用」がうまく働かず、だるさや風邪などの不調(秋バテ)を引き起こします。
  • 体感に頼らない養生が重要
    自分では「ちょうどよい」と感じていても、身体の内部は冷えていることがあります。特に運動量が少ない人は、日頃から意識して冷たいものを避ける養生が大切です。

腎と冬

腎と寒の関係と働き

夏の「冷え」が秋の不調を招く

ここでの要点をまとめると、「外気が下がれば下がるほど、身体は内に熱を生み出す力(内燃性)と、中心にエネルギーを集める力(求心性)を強める」という原則です。

この原則を理解すると、季節ごとの養生の重要性が見えてきます。

特に注意すべきは夏です。夏の暑さによって身体のエネルギーは体表へ発散され、体内、特に中心部は空虚で無防備な状態になっています。この時期に冷たい飲食物を摂ることは、このがら空きの中心部に「冷え」を直撃させることになります。

夏に受けた「冷え」のダメージは、身体の中心部の力を弱らせます。そして季節が移り、万物が収縮する「陰遁いんとん」の方向へ向かう秋になったとき、中心が弱っている身体は、寒さに備えて適切に筋肉を収縮させ、エネルギーを内に固めることができなくなります。

その結果、体力が落ちて風邪をひきやすくなったり、なんとなく体がだるくて仕方がない、といった不調が現れるのです。秋にこのような不調を感じる人は、夏の間に体を冷やす生活を送っていたと言えるでしょう。

もちろん、冬に冷たいものを摂ることも避けるべきです。例外として、体温が36.5℃を超えて熱がこもっている人が少し冷ます程度なら問題ない場合もありますが、冷たいものを飲んで「寒い」と感じるようであれば、それは身体にとって害となります。

注意したいのは、自分では「ちょうどよい」と感じていても、身体の内部は冷え切っているケースが往々にしてあることです。この内部の冷えは体温計では測れません。その人の全体的な健康状態から判断するしかないのです。

日頃から労働や運動を盛んに行う人は、熱を自ら生み出す力が強いため、多少の冷えには耐えられます。しかし、あまり体を動かさない生活を送っている人は、身体を冷やす飲食物や環境を極力避けるべきです。

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