五臓の働きと心の関係 ー肺と悲しみ、腎と恐怖
肺と悲
五臓と五つの心の働き
肺と悲しみ
金は収斂の働きであり、それが高まると孤独になります。さらに亢じると悲しくなります。高齢者になると悲観的になり、意気消沈しやすくなりますが、これは金気が働いているためです。高齢者でなくても、秋や夕方の金気が強く働く時期には、何となく悲しくなりますが、これも同じ原理です。
さて、心志を病んでいる患者さんが来た場合、どのような治療を行うのでしょうか。いくら鍼灸の技術が上手でも、心の治療ができなければ半人前です。その治療には、言葉の補瀉が大切です。言葉の他に、情による接し方の補瀉もありますが、これには時間がかかります。言葉の補瀉を行うには、相手の心情を見抜く必要があります。例えば、悲観的に物事を考えがちな人には、「これは肺金の虚なので、母である脾に力を与えればよい」と考え、土性の働きの優しく甘い言葉をかけることや、金気そのものの心理を用いる場合は、この人よりさらに不幸で悲しい人の話をしてあげることが効果的です。
腎と恐驚
水の作用は、金の収斂作用の極である凝結作用であり、それは同時に次の陽動の準備をする内撚作用でもあります。これは吸引凝固して内を守る働きです。つまり、周囲のものを自分に引き付ける力ですが、それは同時に自分を固く守ることになります。したがって、心情における水の作用は、用心する、警戒するなどです。それが亢じると、恐怖や驚き、ビクビクすることになります。
よく気の小さい子がちょっとのことで驚いてワッーと泣き叫ぶことがありますが、これは腎が虚しているためです。そのような子供には決して怒ってはいけません。怒って木気の働きをかけると、水生木で一層腎水が漏れるからです。
力があり、充実していれば、腎水が漏れても喜びを感じます。例えば、他人に何かをしてあげることに喜びを感じるときがそうです。母性がその代表的な例です。しかし、力がないと喜びを感じる前に自分が疲れてしまいます。虚して力がないものほど、また腎水を漏らしやすくなります。お金持ちほど財布のひもが固く、お金がない者ほど「これしかないけど使ってくれ」と言い、お金を借りに行ってもすぐに貸してくれます。したがって、お金を借りるなら、耳たぶの大きくない人のところに行った方がよいということになります。
この記事を読めば、東洋医学について理解できるかと思います。分かりやすく、丁寧に解説するので、ぜひ一緒に学びましょう!
今回の講義の概要
・肺と悲しみの関係
・心志を病んでいる患者の治療
・腎と恐驚の関係