腎の不調はいつ治る?
季節で読み解く
「治癒と悪化」の法則
「春になると体調が良い」「季節の変わり目に必ず腰が痛くなる」。そんな経験はありませんか?東洋医学では、病気の経過は決して偶然ではなく、季節の巡りと密接な法則(旺相死囚休)があると考えます。本稿では、生命力を司る「腎」の病が、いつ癒えやすく、いつ悪化しやすいのか、その予測の法則と特有の症状について解説します。
この記事を読めば、東洋医学について理解できるかと思います。分かりやすく、丁寧に解説するので、ぜひ一緒に学びましょう!
腎系統の病理

腎系統の病理について
四季の病理と「旺相死囚休」
病が「腎」にある場合、その経過は季節(春夏秋冬)や五行(木火土金水)の法則によって予測できます。
古典では、「腎の病は、春(木)や朝に癒えやすく、春に癒えなければ夏(火)に甚(はなは)だしくなる(悪化する)。そして長夏(土)に死ななければ、秋(金)を経て、冬(水)に再び起こる(持病となる)性質がある」と説かれています。
これは、五行のエネルギーレベルの変化を示す「旺相死囚休」の原理に基づいています。
腎病の症状と冷え
腎に病が発症した場合の一般的な症状としては、以下のようなものがあります。
- 下腹部の異常
下腹が張る、出っ張るなどの問題が起こる。 - 腰背痛と虚痛
腰や背中が痛み、脛などに「虚痛」がある。
ここでいう「虚痛」とは、激痛とは異なり、なんとなく力が抜けたような感じで、ヒヤヒヤする、スカスカするといった感覚を伴う痛みやだるさのことです。特に「脛が冷えて仕方がない」というのは典型的な腎虚の症状です。
腎機能が低下すると身体に冷えが入りやすくなりますが、その冷えはまず「脛」から侵入してくるのです。
季節ごとの腎の状態
1. 冬(旺)
冬になると、腎は「旺」つまり「王様」の時期を迎えます。腎臓に当番が回ってくるわけです。しかし、腎臓に病がある(働きが落ちている)状態で当番が回ってくると、当然ながら過重負担となります。
この負担に耐えきれずに負けてしまうと、病は再発したり、さらに悪化したりします(加重再発)。体が弱っているところに、さらに働かなければならない負荷がかかるためです。
2. 春(休)
春になると、腎の子供にあたる「肝臓(木気)」が働く番になります。子供である肝臓が先頭に立って働き、親である腎臓を養ってくれるため、腎臓自身はあまり働かなくてよい時期、すなわち「休憩」の時となります。
そのため、腎臓病は春になると負担が減り、治癒力が増して癒えやすくなるのです。「臓病が治るには春夏秋冬かかる(一年かかる)」と言われるのは、巡り巡ってこの「春」が来なければ治癒の機運が高まらないことを示しています。腎臓の弱い人は、春の陽気を利用して治療に専念したり、転地療法を行ったりするのも良い方法です。
3. 春から夏へ(囚)
一方で、春から夏にかけて気温が上昇してくると、寒さを好む腎にとっては「囚(とらわれ)」の身となります。腎は寒さの中で活発に働きますが(旺)、外気が熱くなると自由な働きができなくなり、機能が停滞しやすくなります。不摂生をすれば悪化しますし、摂生していても働きは鈍る時期です。
4. 長夏・土用(死)
夏の暑さの中に涼気が交じり始める「土用(7月の終わりから8月頃)」は、変化の時期です。ここは五行で「土」にあたり、腎(水)にとっては「土剋水」という最も苦手な相剋関係になります。
弱っている人にとって、季節の変わり目は非常に耐えがたいものです。変化とは、良い意味では成長ですが、悪い意味では悪化や死へと向かう分岐点でもあります。したがって、腎臓の弱い人にとってこの時期は最も注意が必要な「死」の時期となります。
5. 秋(相 / 準備期)
秋は、腎にとって「相(助けられる)」の時期ですが、同時に冬への準備期間として負担がかかる時期でもあります。
冬に王様として君臨するためには、秋のうちに内側で力を蓄え、準備をしなければなりません。冬の芽が秋に形成されるように、力は小さくとも内側で活発に働き、責任が徐々に重くなっていくため、養生が必要な時期と言えます。
このように、中心となる臓器(ここでは腎)の「旺(ピーク)」の位置を基準に季節を巡らせれば、他の臓器の病理も同様に理解することができるでしょう。










今回の講義の概要
五行の法則により、腎(水)は「春(木)」に負担が減って癒えやすく、相剋関係にある「長夏・土用(土)」に悪化しやすい傾向があります。
冬は腎が主役(旺)ですが、病気があると負担過重で悪化します。逆に春は休息(休)できるため治癒力が高まります。
腎の不調は、激痛ではなく、なんとなく力が抜けたような「虚痛」や、脛の冷えとして現れるのが特徴です。