東洋医学の知恵 | 生まれ干支でわかる「腎」の力とあなたの体質
あなたが生まれたその日、その時間は、ただのカレンダー上の数字ではありません。東洋医学では、その瞬間の天地のエネルギーが、あなたの「体質」や「性格」、そして生命力を司る「腎」の強弱を方向づけていると考えます。本稿では、あなたの生まれ干支、特に「水」の気が、いかに深く健康と関わっているのかを紐解いていきます。
この記事を読めば、東洋医学について理解できるかと思います。分かりやすく、丁寧に解説するので、ぜひ一緒に学びましょう!
腎と壬癸・亥子
天地の働きと五臓の拮抗
五臓との関係は
東洋医学では、壬・癸・亥・子といった干支が巡ってくる特定の時間(年・月・日・刻)には、自然界の「水」の気が旺盛になると考えます。この「水」の気は、人体において「腎」と深く関連しています。
この時期、身体に起こる変化は、その人の腎の力の強弱によって異なります。
- もともと腎の力が充実している場合
旺盛な水の気に後押しされ、腎の働きはさらに活発になり、関連する機能も非常にスムーズに働きます。 - もともと腎の力が不足している場合
旺盛な水の気は、いわば「多すぎる仕事量」となって腎にのしかかります。その負担に耐えきれず、腎の機能はかえって低下し、腎系統の病が発症しやすくなるのです。
五行の相生・相剋と臓腑への影響
この「水の気が旺盛な時期(水旺のとき)」には、腎以外の臓腑もその影響を受けます。これは五行の「相生」と「相剋」の関係性に基づいています。
- 肝(木)への影響(相生)
「水は木を生む(水生木)」という相生関係にあるため、母である腎の気が旺盛になることは、子である肝にとっては追い風となり、その働きは助けられます。 - 心(火)への影響(相剋)
「水は火を剋す(水剋火)」という相剋関係にあるため、水の気が強まると、火に属する心は抑制され、最も厳しい影響を受けます。心の働きがもともと弱い人は、この時期に不調をきたしやすくなります。

このように、特定の五行が旺盛になる時期には、各臓腑がどのような影響を受けるか(旺・相・死・囚・休)を考慮して、体調の変化を読み解くのです。
生まれ持った体質と個性
人が壬・癸・亥・子といった「水」の干支を持つ年月日に生まれた場合、その人は先天的に「腎旺」、すなわち腎の気が盛んな体質を持つと考えることができます。
生年月日時は、その人がこの世に生を受けた瞬間の、天地自然のエネルギー状態を示すものです。それによって、その人の体質、性質、運命の傾向といったものが、ある程度方向づけられます。
人間の顔が一人ひとり全て違うように、その働きや性質も全く異なります。なぜなら、私たちの根源である自然界の働きそのものが、刻一刻と変化しているからです。父親・母親から受け継いだ遺伝的な要因や、育った環境、受けた教育が違うのはもちろんですが、東洋医学では、その人が生まれた瞬間の宇宙の働き(時間)の違いが、個性を創り出す最も根源的な要因であると考えます。
たとえ同じ両親から生まれた兄弟姉- 妹であっても、生まれた時間が異なるため、それぞれが受けた自然の気は異なり、全く同じ人間にはなりません。このことからも、私たちの存在の中心には、常に変化し続ける自然界の働きがあることが分かります。
十干・十二支とは、この偉大で精妙な自然の働きの法則性を解き明かすための、先人たちの知恵の結晶なのです。













今回の講義の概要
「水」の気(壬・癸・亥・子)が巡る時期は、腎の働きに影響を与えます。もともと腎が強い人はさらに活発に、弱い人は負担となり不調が出やすくなります。
水の気が旺盛な時期は、相生関係にある「肝」は助けられますが、相剋関係にある「心」は抑制され、不調が出やすくなるなど、他の臓器にも影響が及びます。
人が生まれた瞬間の天地のエネルギー(干支)が、その人の個性や体質の土台を形成します。特に「水」の干支を持つ人は、先天的に腎と深い関わりを持つ体質となります。