東洋医学講座 393

東洋医学講座 393 腎と耳 耳の多様な個性

耳の形と色でわかる健康・性格・体質診断

人の顔が一人ひとり違うように、耳にも様々な個性があり、その形や色には健康状態や性格、体質に関する多くの情報が隠されていると東洋医学では考えます。本稿では、耳を「栄養質」「筋骨質」「心性質」の3タイプに分類し、それぞれの特徴や、日々の血色の変化でわかる体調のサインまで、耳を通して自分を知るための興味深い観察術を紹介します。


この記事を読めば、東洋医学について理解できるかと思います。分かりやすく、丁寧に解説するので、ぜひ一緒に学びましょう!

今回の講義の概要

  • 耳の形で体質と性格がわかる
    耳の形を「栄養質(耳たぶが大きい)」「筋骨質(軟骨が発達)」「心性質(耳たぶが小さい)」に分類し、それぞれの性質や行動パターン、リーダーシップの傾向を読み解きます。
  • 耳の血色は健康のバロメーター
    耳が「黒い」「白い」「暗くくすんでいる」といった色の状態から、腎や肺の機能低下、生命力の消耗、疲労の蓄積といった現在の健康状態を推測できます。
  • 健康な耳とは
    タイプに関わらず、耳が大きく厚く、活気と血色が良い状態が最も健康とされます。特に「心性質」の耳は腎の力が弱い傾向があり、女性は腎経の不調に注意が必要です。

腎と耳

耳の多様な個性

栄養質・筋骨質・心性質の耳

耳の形は一人ひとり異なりますが、大まかには「栄養質」「筋骨質」「心性質」の三つに分類して、その人の性質や体質を読み解くことができます。

栄養質えいようしつの耳】

耳たぶ(垂珠すいじゅ)が大きく垂れ下がり、耳全体が肉厚でふっくらしているのが特徴です。 このタイプの人は、物質的・精神的に物事を自分の方へ引き寄せ、留めておく力が強い傾向にあります。そのため、じっと落ち着いて物事に取り組むことができます。興味を持ったものは何でも手元に集めようとする性質があり、子供の頃であれば、どんな些細なものでも大切に取っておくようなタイプです。

筋骨質きんこつしつの耳】

耳の内側の軟骨(内郭ないかく)が、外側の縁(耳輪じりん)よりも外に飛び出しているのが特徴です。 この耳の持ち主は、負けん気が強く、意地っ張りな面があり、積極性や攻撃性を備えた実行タイプです。他人の意見に耳を貸さず、自分の信じた道をどんどん突き進んでいきます。体力にも自信があり、少々の不摂生は気にしない傾向がありますが、それゆえに無理がたたって突然倒れるといったリスクを抱えるタイプとも言えます。

これとは対照的に、外側の縁(耳輪)が内側を覆うように前に傾いている人は、比較的おとなしい性質です。用心深く、内向的で、行動する前からあらゆるリスクを考えてしまう慎重なタイプです。そのため、他人の言動が非常に気になり、聞いていないようでいて、実は細部までしっかり聞いています。この用心深さから、大きな病気をせず健康を保つ「一病息災いちびょうそくさい」の傾向があります。

心性質しんせいしつの耳】

耳の上部(天輪てんりん)が発達し、耳たぶが小さいか、ほとんどないのが特徴です。 このタイプの人は、理性的であると同時に感受性が非常に豊かで、勘が鋭い人が多いです。精神的な美しさや優雅さを重んじ、物質的なことにはあまり執着しない傾向があります。その反面、プライドが高く、心を傷つけられるとカッとなりやすい一面もあります。また、情にもろく、人が困っていると深く共感し、手を差し伸べずにはいられないタイプでもあります。

リーダーシップと健康面での特徴

部下を使う立場になった場合、それぞれのタイプで人使いの傾向が異なります。

  • 栄養質の人は、自ら先頭に立ってどんどん仕事を開拓していくため、周囲がついていけなくなるほどパワフルで、時に「人使いが荒い」と評されることがあります。
  • 心性質の人は、センスが問われる仕事を得意とし、感情やインスピレーションを大切にします。人の好き嫌いがはっきりしており、自分の気に入った人を重用し、そうでない人は使わないという傾向が見られます。

健康面では、いずれのタイプであっても、耳が大きく厚く、活気と血色が良い状態が最も健康です。形の観点から見ると、「心性質」の耳を持つ人は、最も腎の力が弱い傾向にあるとされます。特にこのタイプの女性は、膀胱炎など腎経の不調を経験しやすいと言われています。 また、耳にある子宮のツボが厚みを増したり、血色に変化が現れたりするのは、月経のサインであるとも言われ、腎と生殖器が密接に関連していることを示しています。

血色に現れる健康度

人相学には「耳黒くして、十年にして死す」という言葉があります。これは、耳の血色がいかに生命力と深く関わっているかを示すものです。

  • 黒ずんだ耳
    耳が黒ずんでいても、そこに活気や艶があれば、まだ腎の力は残っています。しかし、活気がなくなり、しぼんだように見える場合は、生命力が著しく低下しているサインと考えられます。異常な黒さは、生命の源である腎が枯渇している状態を示唆するため、最も注意すべき色です。
  • 暗くくすんだ耳(暗蒙色)
    全体的に黒ずむほどではなく、すすけたように暗くくすんでいる色は、疲労の蓄積を表します。疲労が続くと、特に耳の縁(耳輪)に現れやすく、一時的な腎機能の低下を示唆しています。
  • 白い耳
    常時、または頻繁に耳が白っぽく見えるのは、肺の機能低下を示唆している可能性があります。身体のどの部分であっても、「白」という色は東洋医学では肺と関連が深いと考えられています。白色を基調としつつも、ほんのりピンク色で活気があれば健康な「肺旺体はいおうたい」、活気がなく血の気のない白さであれば虚弱な「肺弱体はいじゃくたい」と判断されます。また、五行思想では白は「ごん」の気であるため、その性質も併せ持つと考えられます。

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