東洋医学講座 381

東洋医学講座 381 腎と命門 〝君火〟〝相火〟とは

君火と相火ー あなたの体を動かす二つの「火」の秘密

君火と相火 と呼ばれる概念は、東洋医学では、私たちの体の熱、特に「安定した熱」と「活動による熱」を表しており、それぞれが生命活動において異なる、しかし密接に関わる役割を担っています。


この記事を読めば、東洋医学について理解できるかと思います。分かりやすく、丁寧に解説するので、ぜひ一緒に学びましょう!

今回の講義の概要

君火(くんか)とは
相火(そうか)とは
君火と相火の関係

腎と命門

生命力の動源〝腎〟

〝君火〟〝相火〟とは

この地球上で言えば、気温は上がったり下がったりと変動しますが、その変動の範囲の中に、これ以上は上がらず、これ以下にも下がらないという、ある一定の「温度の幅」が存在します。この、上がり下がりを含めた、基盤となるような決まった温度の全体を、ここでは「恒温こうおん」と捉えることができます。

人体で言えば、約36.5℃という、常に一定に保たれる恒常的な体温があります。この人体の「恒温」こそが君火です。生命活動の基盤となる、恒温を作り出している根本と言っても良いでしょう。

また、火の例えで考えましょう。マッチを擦るときに火がつきますが、これは単に擦ったという動作だけでなく、火がつくための潜在的な条件や力といったものが存在します。この「火をつける働きのある温度(または条件)」が君火であると捉えられます。それに対し、擦るという動作によって人工的に引き起こされてついた火、すなわち「人工火」が相火であると言えます。恒常的な基盤である君火と、外的または活動によって引き起こされる人工的な火である相火、という対比です。

これを人体の体温に当てはめるなら、「総体温(君火)」と「活動による部分的な体温(相火)」と考えても分かりやすいかもしれません。

皆さんが戸外を走ったり、食事をしたりすると体が熱くなりますが、これも相火の働きです。しかし、この活動による発熱は、約36.5℃という君火(生命を支えるバックボーン)がしっかりと存在しているからこそ可能なのです。この、基盤となる君火と、活動によって生じる相火という関係性が、両者の違いを表しています。

君火や相火といった体内の熱の問題は、いずれにしろ、東洋医学でいうじんしんの働きに深く根ざしています。非常に微妙な概念であるため、異なる言葉で区別して表現されますが、その根本にある生命活動の働きとしては同じものであると捉えられます。

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