東洋医学の家相術 ー 「北」は腎を冷やす?方位があなたの健康に与える影響
「住んでいる家の向きや間取りが、自分の健康に影響しているかもしれない」と考えたことはありますか?東洋医学では、自然界のエネルギーと私たちの身体は深く結びついており、特に「北」という方位は、生命力の源である「腎」に大きな影響を与えるとされています。本稿では、なぜ北玄関や北側の水回りが良くないとされるのか、その理由を家相の知恵と共に探ります。
この記事を読めば、東洋医学について理解できるかと思います。分かりやすく、丁寧に解説するので、ぜひ一緒に学びましょう!
腎と北
東洋医学において、北という方位は、一年では「冬」、一日では「夜」に対応し、生命力を司る「腎」と深く関連しています。この方位から訪れる冷気は、万物を引き締め、内側へエネルギーを蓄える「求心作用」を促します。
この北の気が身体にとって良い働きをすれば(適気)、腎は養われ旺盛になりますが、悪い働きをすれば(剋気)、腎は傷つけられます。
例えば、家相において、住居の北側に河川や海などの水場があったり、北玄関や家の中心から見て北にトイレや風呂場があったりすると、その冷たく湿った気が腎を傷つけ、長い年月をかけて腎系統の病にかかりやすくなると言われています。
北の働きと家相
方位と五気の働き
私たちは、知らず知らずのうちに方位の影響を受けながら生きています。方位が持つ性質、春夏秋冬という季節の働き、そして一日の時間の流れは、根源的にはすべて同じ一つの真理(五気の働き)が、時間や場所、名称を変えて現れたものなのです。
したがって、「北」と聞けば「冬」を、「冬」と聞けば「寒さ」を連想するように、これらは全て共通の性質を持っています。北は北風を受け、太陽の光が最も当たりにくい、冷たく陰の気が旺盛な方位です。この性質は、一年で最も寒い「冬」や、一日で最も気温が下がる「夜」の性質と全く同じです。
そして、五行における「水」もまた、冷たく、物を引き寄せ凝縮させる「求心性」を本来の働きとします。冬や夜、そして北という方位は、この「水」の気が最も盛んに働く時空間なのです。
この「水」の気、すなわち寒さに対して、私たちの身体は自然と中心にエネルギーを集める「求心作用」で応じます。その結果、身体の「水」を司る「腎」の働きが最も活発になります。このようにして、腎と北は深く関連しているのです。
季節と太陽の複雑な関係
自然の働きは非常に複雑です。例えば、太陽の通り道一つをとっても、季節によって全く異なります。
春分・秋分には、太陽は真東から昇り、適度な角度で家の中に光を届けます。
夏になると、太陽は北東側から昇り、非常に高い角度で空を移動するため、真南向きの家には直射日光がほとんど入らなくなります。しかし、太陽熱で暖められた空気が南風として流れ込むため、南が持つ「夏」の性質が支配的になります。
冬は、太陽の位置が低く、南側にしか光が当たりません。北側は完全に日陰となり、寒さが最も厳しくなります。
このように複雑な自然の働きを、頭の中だけで理路整然と整理するのは大変なことです。現代の教育は一面的な見方を教えることが多いため、このような多層的な自然観を理解するのは難しいかもしれません。しかし、訓練すれば誰でも分かるようになります。もしすぐには理解できなくても、「自然とはそういうものなのだ」と一度受け入れてみることが、理解への第一歩となります。
「適気」と「剋気」ー 受け取る側の重要性
北の気、冬の気、夜の気は、本来であれば身体の求心作用を促し、腎を養い旺盛にする「適気」となります。
しかし、これは受け取る側に十分な体力や防衛力がある場合の話です。身体が弱っていたり、不摂生で疲労していたりすると、同じ寒さでも、かえって腎の働きを過剰に刺激し、消耗させてしまう「剋気」となってしまいます。風邪をひくのは、まさにこの防衛力が低下している時に、寒さという外因に負けてしまうからです。
つまり、冬の寒さが益となるか、害となるかは、その人自身の状態によって決まるのです。
九星気学で、善行を積んだ人を「祐気保有者」、悪行を積んだ人を「剋気保有者」と呼ぶのに似ています。日頃から養生に努め、体力が充実している人は「祐気保有者」であり、適度な寒さはむしろ健康に寄与します。一方、不摂生で体力が低下している「剋気保有者」は、少しの寒さでも体調を崩す原因となってしまうのです。
病気を考える際は、ウイルスや寒さといった「外因」だけでなく、それを受け止める自分自身の身体の状態という「内因」が必ず存在します。この両方を併せて考えることが、東洋医学の診断と治療の基本となります。










今回の講義の概要
北という方位は、季節の「冬」、一日の「夜」と同じく、エネルギーを内に収斂させる「水」の気を持ち、生命力を蓄える「腎」の働きと深く関連しています。
北玄関や北側の水回り(トイレ・風呂)は、家の中に冷たく湿った気を招き入れ、知らず知らずのうちに腎を傷つけ、健康を損なう原因になると考えられています。
北がもたらす寒さや静けさは、体力のある人にとっては腎を養う「適気」となりますが、弱っている人にとっては不調を引き起こす「剋気」となります。健康は、外部環境(外因)と自分自身の状態(内因)のバランスで決まります。