肺と腎 ー肺と腎の密接な関係ー東洋医学の視点から解説
肺と腎 は、東洋医学において非常に重要な臓腑であり、互いに深く影響し合う密接な関係にあります。五行論では「金生水」の母子関係に例えられ、肺は腎を養い、腎は肺の働きを支えると考えられています。本稿では、この二つの臓腑の協力関係と、そのバランスが崩れた際に体に現れる様々な影響について解説していきます。
この記事を読めば、東洋医学について理解できるかと思います。分かりやすく、丁寧に解説するので、ぜひ一緒に学びましょう!
今回の講義の概要
・肺と腎の母子関係
・肺気の影響と水毒
・肺と腎の拮抗とバランス
肺と腎
肺と腎は、五行でいう金生水の母子関係にあり、母である肺が健全であれば、子である腎は安心してその働きを発揮できます。
肺気が活発に外表を守り、筋肉や組織に適度な収斂作用を与えることで、腎が司る体液循環は過剰に拡散することなく、恒常性を保ち、正常に生理機能を営むことができます。
もし肺気が弱いと、収斂・緊張の力が不足し、皮膚は潤いを失い、陽の活動する働きも低下して、腎水の体液循環を不調にします。
金気は乾燥した性質を持ち、水気を気化させる働きがあるため、その働きが低下すると、体内に余分な水分が溜まり、水毒を引き起こしやすくなります。水毒とは、水がその流動性や活性を失った状態を指します。
肺の呼吸運動は、全身に気を巡らせるとともに、体液(静脈血を含む)の還流を促進しています。
(母子相互の関係)
腎 ー 肺
100 100
(子が母を剋す関係)
腎 ー 肺
200 50
(母が子を剋す関係)
腎 ー 肺
50 200
肺と腎の拮抗関係について
肺と腎は、金生水の母子協力関係にあり、母である肺が堅実であるとき、子である腎は安心してその役割を果たすことができます。
肺気が活発に働けば、体の表面を守るだけでなく、筋肉や組織にもその影響は及び、それらに適切な収斂性を与えることで、腎が司る体液循環は散逸することなく、恒常性を保ち、正常な生理機能を営むことができます。
これに対し、肺気が弱いと、腎に問題が生じるだけでなく、収斂性や緊張性の働きが低下し、体が重い、だるいといった症状が現れ、活力が失われます。また、皮膚の潤いも失われ、腎水の体液環流も不調となります。
金気は乾燥した性質を持つため、水気を気化させる働きがあります。肺気が低下すると、水分の気化力が低下するため、体は水毒化しやすくなります。水毒は、水がその活力を失い、停滞した状態を意味します。そのような状態になると、吸引力がなくなり、活動性や流動性に欠けます。
肺の呼吸は、気を全身に巡らせるとともに、体液の還流を促しています。
ここで肺と腎の拮抗関係について考えると、肺と腎が同等の力で拮抗している状態が最も望ましく、これは平衡が保たれた好ましい拮抗と言えます。
次に、腎の力が過剰になると、肺に負担がかかり、子が母を剋す関係となります。これは、肺が弱っている時に、冷たい飲食物、甘いもの、夜食などを摂り、腎を過度に働かせると、腎は一時的に亢進し、その結果として肺に負担がかかる状態です。したがって、一過性の腎の亢進は、当然ながら腎自体も弱らせてしまいます。
さらに、肺の力が過剰な場合は、母が子を剋す関係となります。これは、腎が弱っている時に、肺の機能を過度に使用すると、例えば激しい運動をしたり、辛いものを摂り過ぎたりすることで、腎を養う力が不足し、腎が損傷を受ける状態です。
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