東洋医学講座 385

東洋医学講座 385 腎と膀胱 腎と膀胱の関係と働き

腎・膀胱と水分コントロール ー 熱・冷えと尿、休息の重要性

東洋医学において、腎臓と膀胱は体内の水分代謝と排泄を司る重要な臓器です。本稿では、これらの臓器が心臓とも連携しながら、体温の変化(発熱や冷え)に応じてどのように尿量や尿の色を変化させるのか、そして健康維持・回復における「休息」の深い意義について解説します。


この記事を読めば、東洋医学について理解できるかと思います。分かりやすく、丁寧に解説するので、ぜひ一緒に学びましょう!

今回の講義の概要

体温と尿の変化
腎臓・膀胱の役割と気化作用
休息の重要性

腎と膀胱の関係の働き

水分のコントロール作用

東洋医学において、腎臓と膀胱は密接な関係にあり、特に水分の代謝と排泄において重要な役割を担っています。また、心臓と膀胱も互いに関連し合って体内のバランスを保っています。

まず、膀胱の働きは、大きく体液のコントロールです。『素問』では、膀胱を水が出入りする「」のような場所として例え、体内の水分調節におけるその働きを説明しています。また、膀胱には「気化作用」という働きもありますが、これは『素問』には明記されていません。気化作用とは、体内の不要な水分に「気」の作用が働きかけ、有用な水分と尿に分離・転化させる機能と考えられています。

水分のコントロールは、体の状態によって異なります。例えば、発熱時には尿量が減少する傾向が見られます。これは、発熱によって血液循環が速まり、体内の熱を体表から放散させようとするためです。熱はあらゆるものを活動的にさせ、エネルギーを外向きに発散させる「陽遁」のような状態を生み出します。発熱時に顔色が赤くなるのは、心臓の働きが活発になり、熱を逃がすために動脈が皮膚表面に近づき、血流が増加するためです。このことから、顔色が赤い人は血行が良く、体内に熱がこもりやすいと推察できます。反対に、顔色が青白く血色の悪い人は、内臓が冷えている可能性が考えられます。

体が活動している間は、体内の「整備」が十分に行われにくい状態です。腎臓は、昼間はあまり活発に働くことができませんが、夜間、特に東洋医学でいう「申・子・辰」の時間帯(夜遅くから明け方にかけての時間)に活発に働き、血液の浄化や体内の調整を行います。昼間でも、体を横にして休息すれば腎臓の活動が促進され、心臓の活動が穏やかになることで腎臓が働き始めます。体が弱っているときは、薬に頼るよりも、十分な睡眠と休息をとることが非常に効果的です。これは、腎臓が活発に働き、体内の不要なものを排泄し、機能の低下した部分を修復しようとするからです。

臨床において、どんなに優れた治療を行っても、本人が非常に疲労している場合は、なかなか効果が現れません。場合によっては、体の負担となり生命に危険が及ぶことさえあります。現代社会では、慢性的な疲労を抱えている人が多いため、この「休息による回復の重要性」を理解しておくことは、健康を守る上で非常に大切です。

次に、冷えによる頻尿について説明します。発熱時とは反対に、体が冷えると尿量が増え、頻繁にトイレに行きたくなることがあります。これは、冷えによって体液の循環や代謝が滞り、細胞外液の浸透圧が高まることで、体がこれ以上水分を必要としないと判断し、余分な水分を排泄しようとするためと考えられます。これらの水分が膀胱に集まり、尿意を引き起こします。この場合の尿の色は、通常薄く澄んでいます(白色に近い)。

一方、熱があるときの尿の色は、濃い黄色や茶色になります。このように、尿の色を見るだけで、体内の熱の状態をある程度把握することができます。これらのことから、頻尿と尿量減少(減尿)が体の熱の状態とどのように関連しているかが理解できるでしょう。

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