東洋医学講座 405

東洋医学講座 405 腎と羽音

声でわかる「腎」の力 ー 羽音と腎旺体の秘密

あなたの声は高いですか、低いですか?東洋医学では、その声の質、特に「羽音うおん」と呼ばれる低音域の響きが、生命力を司る「腎」の強さや、その人が生まれ持った体質を映し出すと考えられています。本稿では、声に隠された健康のサインと、生まれ持った体質との上手な付き合い方について探ります。


この記事を読めば、東洋医学について理解できるかと思います。分かりやすく、丁寧に解説するので、ぜひ一緒に学びましょう!

今回の講義の概要

  • 「羽音」は腎の音
    東洋医学の五音では、ハ行・マ行などの低く響く「羽音」は「水」に属し、生命力を司る「腎」と深く関連しています。
  • 低音は「腎旺体」の証拠
    生まれつき声が低く、よく響く人は、腎の気が盛んな「腎旺体じんおうたい」であると推測できます。これは聞診ぶんしんにおける重要な診断材料となります。
  • 強さゆえのリスク「自剋」
    「腎旺体」の人は精力的ですが、その強さゆえに生命力の根源である腎の力を過信し、使い過ぎてしまう傾向があります。これを「自剋じこく」といい、かえって健康を損なうリスクを抱えています。

腎と羽音

羽音うおんは水(腎)系統の音

東洋医学では、五つの音(五音)も五行や五臓と深く関連していると考えられています。その中で「羽音」は、五行の「水」に属する音であり、唇を使って発音される「唇音」です。日本語の五十音では、ハ行(ハ・ヒ・フ・ヘ・ホ)とマ行(マ・ミ・ム・メ・モ)がこれに当たります。

羽音は、対応する臓器である「腎」の機能を高める働きがありますが、他の五行の要素と同様に、発し過ぎるとかえって腎を傷つけることにもなります。

「音」の深遠な意味と羽音の位置づけ

東洋医学の診断学において、五臓と万物を対応させた「色体表」は非常に重要な基礎知識です。この中で、音は生命活動と深く関わっています。

東洋医学の深遠な考え方では、「音」とは、私たちが普段耳で聞いている音だけを指すのではありません。それは、万物を生成し、動かし、熱を生じさせるような、生命の根源的な働きそのもの、すなわち「木気」の作用と捉えられます。この世界の根源は、目に見えない原子の働き、すなわち「音」の世界なのです。

私たちが物事を「観る」というのは、表面的な形を見るのではなく、その奥にある目に見えない深い働きを観ることです。その働きを正しく理解し、自然の摂理に順応していくことこそが、「観音かんのん」という言葉の本来の意味だと考えられます。「観音」の徳が「仁」、すなわち慈しみの働きであると言われるのも、この生命を生み育てる「木気」の徳と通じているからです。

このように、音全体の働きは「木気」ですが、その音の中にも「木・火・土・金・水」の五行の性質が含まれています。「羽音」は、その中で「水」の性質を持つ音、すなわち「木気の中にある水音」と位置づけられます。

羽音から読み解く体質(腎旺体)

羽音は、その性質上、低音で響きます。ハ行やマ行の音は、低音で発することで本来の響きを発揮できますが、この音を正しく発するためには、腎機能が中心となって働いています。

したがって、声が低音の人は、腎が盛んに働いている「腎旺体」の一種であると推測できます。腎機能が低下している人は、これらの音を発することで元気づけられますが、やはり発し過ぎは禁物です。もし、低音で声がかすれている場合は、疲労が蓄積しているか、他の臓器の不調が腎機能の働きを妨げている可能性が考えられます。

この「腎旺体」の人は、総合的に見ると丸顔で、非常に精力的です。しかし、古くから「早死にする傾向がある」とも言われています。なぜなら、人間は自分の得意なもの(強み)を無意識に使い過ぎてしまう傾向があるからです。腎旺体の人は、生命力の根源である腎の力を過信し、無理をしがちです。その結果、最も大事な生命力の土台そのものを消耗させてしまうのです。

これは、いわば自らを消耗させる「自剋・内剋」という行為です。肝の力が強すぎる人は肝によって、そして腎の力が強すぎる人は腎によって、自らのバランスを崩してしまうことがあるのです。

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