肺系統の病理 ③ ー 肺気の実邪と虚邪 ー 症状の特徴と効果的な治療法
肺系統の実邪の症状
実の症状
肺気が実の症状を示すのは、主に実証タイプの人に見られます。ただし、虚証タイプの人でも、自分の体力を超える強い邪が入った場合に発症することがあります。
肺気が盛んなときは、肺の気が余裕を持っている状態です。これは、肺気を制御する火気の力が不足していることを意味します。火の力が弱まると冷えるため、肺気が旺盛になります。肺気は冷却作用を持つ気なので、金気を瀉することでバランスを保つことができます。
肺気が実になった場合の症状として以下があります。
- 喘咳があり、胸から上へとつき上げる感覚がある
- 上実下虚になりやすく、食事が進まない
- 肩や背中が痛むことがある
- 風邪により股、膝、足首、脛が痛む場合は実証体の風邪、あるいは虚証体に強い邪が侵入した状態
- 汗が出にくい場合、関節がさらに痛む傾向
これらは肺の実邪の症状であり、瀉することで体の平衡を保つことができます。
虚の症状
肺気虚の症状は、肺気が不足することで発生します。具体的には以下の症状が挙げられます。
- 呼気と吸気の異常(吸気が強く、呼気が弱く少ない)
- 耳が聞こえにくくなる
- 喉が乾く
夜尿症は肺気虚の良い例で、肺気の弱さが原因です。これは逆に肝気が強いとも言えます。夜尿症の子供は、昼間は暴れん坊で神経が高ぶり、くすぐったがる傾向があります。これは木気が強いよりも、それを制御する金気の不足が原因です。治療法としては金気を補い、木気を瀉す方法が有効です。簡単な方法として、寝る前に体をくすぐり木気を漏らす「くすぐり療法」があります。
肺気が小さくなる原因には先天性のものと後天的な生活環境の影響があります。厳しい家庭環境で育つ場合、肺気が小さくなり、その結果として虚症が現れることがあります。
肺気が低下している場合の治療法
- 肺の母である腎を補う
- 体を温めることで肺気を増加させ、肺気の機能を活性化させる
この記事を読めば、東洋医学について理解できるかと思います。分かりやすく、丁寧に解説するので、ぜひ一緒に学びましょう!
今回の講義の概要
・肺気の実邪の症状
・肺気虚の症状
・治療と調整法