なぜ骨の中で血液が作られるのか?
マクロファージが繋ぐ
「運動器と免疫」の進化論
腰痛や関節痛の治療で、骨の変形ばかりを気にしていませんか? 実は、筋肉も骨も関節も、進化を辿れば「原始マクロファージ」という同じ細胞から生まれた兄弟のような存在です。なぜ筋肉の疲れが骨を破壊するのか、そしてなぜ「痛み」を薬で消してはいけないのか。進化生物学と免疫学の視点が、痛みの常識を覆します。
免疫学から考える腰痛、ひざ関節痛、肩こり
骨と血液の意外な「進化の絆」

運動器の発生と進化
骨と血液は「兄弟」である
骨の中に、なぜ「骨髄」があり、そこで造血(血液を作ること)が行われているのでしょうか? 一見関係なさそうな「硬い骨」と「流れる血液」の関係は、筋肉、骨、軟骨、関節を含む運動系と、白血球などの血球系が、どのように進化してきたかを知ることで理解できます。
共通の祖先「原始マクロファージ」
下等な多細胞生物(クラゲやイソギンチャクなど)は二胚葉生物といわれ、主に外皮と腸から成り立っています。しかし、体は単にこの二層だけでできているわけではありません。外皮と腸が作る内腔の間には、アメーバのような原始マクロファージが多数存在しています。
外皮と腸はそれぞれ機能分化を遂げていますが、この原始マクロファージこそが、単細胞生物時代の万能な機能を保持し、進化の「種」となった細胞と言えます。
原始マクロファージは、移動するために自らの細胞内で原始筋繊維を発達させ、そこから筋肉を生み出しました。それと同時に、生体防御(異物の処理)をつかさどる白血球(進化マクロファージ)をも生み出したのです。
その後、多細胞生物の進化に伴い、原始マクロファージは運動器系に関節と骨を加え、血球系には白血球のほかに赤血球や血小板を加えていきました。
骨の病気は免疫の病気である理由
このように、運動器系と血球系は「原始マクロファージ」という同じ母体から進化し、今日の高等生物においても極めて近縁(兄弟のような)細胞として存在しています。
これが、現在でも骨を作る骨芽細胞や、骨を溶かす破骨細胞がマクロファージ由来である理由です。そして、骨の中心にある骨髄が、同時にすべての血球系細胞を生み出す工場となっている理由でもあります。
この進化的背景を知ると、臨床上の重要な事実が見えてきます。 例えば、リウマチなどで骨の病気がある人は、必ず白血球系の変化、つまり免疫系の低下も生じています。これは、広くいえば一般的な腰痛でも同じことです。
実際、程度の軽い腰痛であっても、血液検査をすると末梢血のリンパ球の割合が30%を切るような免疫系の低下(交感神経緊張状態)が見られます。
これは、これらの疾患がまず「筋疲労」で始まり、それによって交感神経支配下にある骨を破壊する顆粒球が増加し、その結果として骨や関節に異常が生じてくるからです。関節の病気も軟骨の病気も、単なるパーツの摩耗ではなく、必ず白血球(免疫)の分布に偏りが生じている全身病なのです。










この記事を読めば、免疫について理解できるかと思います。分かりやすく、丁寧に解説するので、ぜひ一緒に学びましょう!
今回の講義の概要
・骨と血液は「原始マクロファージ」から生まれた兄弟
・骨髄で造血が行われる生物学的理由
・骨の病気は「免疫の病気」である