免疫 61

胃潰瘍「酸消化説」が生まれた謎 - 痛みと治癒反応の誤解

胃潰瘍「酸消化説」が生まれた謎
痛みと治癒反応の誤解

胃潰瘍の発症はストレスによる免疫バランスの崩壊が真の原因であると考えられますが、長きにわたり「胃酸による自己消化」が原因だと信じられてきました。なぜ、この「酸消化説」が広く浸透したのでしょうか?その背景には、私たちの体が飢餓から逃れようとする「お助け反応と、治癒過程で必ず伴う痛みという生理現象の誤解が潜んでいます。

ツボ丸くん

この記事を読めば、免疫について理解できるかと思います。分かりやすく、丁寧に解説するので、ぜひ一緒に学びましょう!

今回の講義の概要

酸消化説は「お助け反応」の誤解から生まれた
痛みは副交感神経による循環改善のサイン
根本治療は原因の除去

免疫学から考える胃潰瘍

胃潰瘍の酸消化説が生まれた謎

ストレスやその他の原因によって交感神経緊張状態が生じ、次に顆粒球増多が起こり、ついに胃潰瘍が発症します。では、なぜ「酸消化説」は生まれたのでしょうか。それは、胃の酸分泌と生体の防御反応を見誤ったことから生じたものと考えられます。

ストレスによって副交感神経の働きが抑制されると、食欲が低下し、このままでは生体が飢餓状態に陥ってしまいます。この飢餓状態を救う反応として、胃潰瘍患者には一過性の副交感神経反応が急に引き起こされます。つまり、突然、胃の蠕動運動と、酸や消化酵素の分泌反応が起こります。

この反応が起こったときに食事をすると、蠕動運動によって生じた胃潰瘍の痛みは消失します。これは、空の胃が動くと痛みを伴いますが、食物が入ると正常な状態になって働き出すためです。こうして胃潰瘍患者は飢餓から救われることになります。

この「お助け反応」を、痛みを伴うがゆえに原因だと見なしたのが、「胃潰瘍の酸消化説」だと考えられます。そして、その結果、多くの制酸剤が誤って投与されることになりました。

しもやけなどの末梢の組織障害も、やはり交感神経緊張による血流障害と顆粒球増多によって引き起こされますが、この治癒過程では、同様に激しい痛みを伴います。これは、副交感神経反応によって循環改善が起こり、プロスタグランジンなどの痛みのホルモンが放出されるからです。

このように、交感神経緊張を解放しようとする副交感神経反応が起こったときに、常に痛みを伴うということを理解する必要があります。痛み自体を治療対象とするのではなく、その先にある根本的な原因を治療対象としなければなりません。

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日吉 直之ひごころ治療院 院長/鍼灸学士・はり師・きゅう師(国家資格)
日本初の鍼灸大学である明治鍼灸大学(現・明治国際医療大学)鍼灸学部卒業、鍼灸学士。はり師・きゅう師(国家資格)、介護予防運動指導員。 2001年より鍼灸臨床に携わり、2009年に武蔵小杉・新丸子でひごころ治療院を開院。 「納得なき施術はしない」を信条に、身体の声を翻訳し、必要最小限の刺激で回復の余白をつくる施術を行っています。 新丸子駅 徒歩4分/武蔵小杉駅 徒歩10分・当日予約はお電話で。 所属学会・研究会:日本東洋医学会/公益社団法人全日本鍼灸学会/日本伝統鍼灸学会 明治国際医療大学同窓会「たには会 関東支部」役員