体調で変化するNK細胞の活性
年齢と体調に応じたNK細胞の活性変化
NK細胞は年齢によってその数が変化します。生まれたときは数が少なく、加齢に伴って増加します。20~30歳の健康成人の末梢血中では、リンパ球の10~15%ほどです。この比率はその後も増加しますが、機能はほとんど向上しません。
NK細胞のキラー活性は、パーフォリン分泌が必要なのでリラックスした副交感神経優位の体調で最大となります。ストレスでNK活性が低下する理由でもあります。細胞レベルでも体全体のレベルでも、ほとんどの分泌現象は副交感神経支配下にあるからです。ここで述べた現象は、落語を聞いて笑っているとNK活性が上昇するという話とつながります。笑いは最大の副交感神経優位の体調をつくるからです。
働き盛りでがん年齢の50~60歳の人では、NK細胞はリンパ球中の20%ほどになりますが、NK細胞の比率が高いからといってあまり喜んでばかりはいられません。NK細胞の数や比率はストレスで上昇するからです。これは生体ががん細胞を処理しようとする生理的な反応といえます。
NK細胞は、末梢血よりも肝臓や骨髄でさらに多く見出されます。肝臓や骨髄でつくられ、末梢に送り出されているものと思われます。ヒトの肝臓は、胎児期に赤血球をつくる造血臓器です。生後、この肝臓での赤血球造血は停止し、骨髄に移ります。しかし、生体の肝臓は赤血球はつくらなくなるものの、NK細胞や胸腺外分化T細胞をつくり続けています。
この記事を読めば、免疫について理解できるかと思います。分かりやすく、丁寧に解説するので、ぜひ一緒に学びましょう!
今回の講義の概要
・NK細胞の数と機能の変化
・副交感神経とNK細胞の活性
・NK細胞の分布と生産