白血球の自律神経による調節 とその役割
免疫 13
自律神経による調節
多細胞生物が一つの目的に向かって行動を起こすとき、細胞間にある程度の協力体制がないと、その目的を果たすことができません。これを無意識下に行っているのが自律神経です。
どのような生理学の教科書にも、ある細胞や器官が交感神経刺激や副交感神経刺激でどのような働きを表わすかが表になって記載されています。しかし、体細胞であるにもかかわらず、白血球はこの表には載っていませんでした。循環する白血球が自律神経支配下にあるとは考えられていなかったのでしょう。
体細胞が自律神経系の支配を受けるとき、自律神経系の末端はその細胞の近くまで行っていて、その末端からノルアドレナリン(交感神経刺激)やアセチルコリン(副交感神経刺激)が放出され、体細胞が働きだします。
近年の研究で、リンパ球の存在する胸腺、脾臓、リンパ節などの免疫臓器にも自律神経の神経末端が入り込んでいることが明らかにされています。また、腸管のまわりにはリンパ球が集まっていて、腸管が自律神経系の作用を受けるとき、同時にリンパ球もその刺激を受け取ることになります。
カテコールアミン(アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミン)の場合はアセチルコリンのように放出後もすぐには失活しないので、血中や体液中にも流れて、直接に白血球を刺激できます。
自律神経の末端の近くに白血球が存在しなくても、アセチルコリンの場合は、神経末端の周りに多くのアセチルコリンエステラーゼ(分解酵素)があるので、働きを終えるとすぐに分解されてしまいます。
この記事を読めば、免疫について理解できるかと思います。分かりやすく、丁寧に解説するので、ぜひ一緒に学びましょう!
今回の講義の概要
・自律神経の役割
・自律神経の影響範囲
・カテコールアミンの役割