なぜあの人は風邪をひかないのか?
病気の真因「内因と外因」
「なぜ、同じ場所にいても風邪をひく人とひかない人がいるのでしょうか?」 一般的に病気はウイルスや寒さといった「外因」のせいだと思われがちですが、東洋医学では、それらを受け入れてしまう自分の身体の隙、すなわち「内因」こそが根本的な原因であると考えます。本稿では、病気を他責にせず、自らの生活習慣(食と呼吸)を見直すことで「冒されない体」を作る、東洋医学ならではの病因論について解説します。
この記事を読めば、東洋医学について理解できるかと思います。分かりやすく、丁寧に解説するので、ぜひ一緒に学びましょう!
病気の原因は何か
「内因」と「外因」

一般的に、病気にかかるというと、ウイルスや細菌が体内に侵入し、それらによって体が冒された結果だと考えられがちです。しかし、この考え方は病気を単に末端の現象として捉えたものに過ぎません。実際には、ウイルスや細菌に付け込まれるような「隙のある体力(状態)」になっていたことが根本的な原因なのです。
もし、体が壮健で菌に対する抵抗力が強ければ、外から菌に入り込まれる隙はありません。したがって、病気にかかることもないのです。
例えば、バス停で10人の人が長時間寒風にさらされながらバスを待っていたとします。この場合、風邪をひくのは不摂生や過労によって体力が極度に低下している人だけであり、10人全員が風邪をひくことはあり得ません。また、悪性のインフルエンザが流行し、学級閉鎖になるような状況でも、クラスの全員が感染するわけではありません。
このように、同じ外的条件にあっても、風邪をひく人とひかない人がいます。これは、寒風やウイルスといった「外因」だけに原因があるのではなく、その人の側に菌に冒されやすい体力、すなわち「内因」を作っていたかどうかが分かれ目となるからです。
感染力の強い食中毒や伝染病においても、同じ状況下で発病する人としない人がいます。これも原理は同じです。体内に入った菌に対し、人体の抵抗力が負ければ発病しますし、健全な防疫力があれば発病しません。菌を侵入させたことも要因の一つですが、第一の原因は、日頃の不摂生や過労によって健全な体力(抵抗力)を備えておかなかったことにあります。そして第二の原因として、冒されやすい外的条件を作ってしまったことが挙げられます。
この地上の大気中にはあらゆる病原菌が浮遊していますが、通常、健全な生活をしていれば、抵抗しきれないほどの菌が侵入してくることはありません。また、仮に侵入しても、堅固な備えがあれば身体が冒されることはないのです。ほとんどの病気は、不摂生や過労によって自ら「内因」を作り、知らず知らずのうちに病気を受け入れる土壌を作っているからこそ起こるのです。
私たちは病気に限らず、何事においても自分の非を棚に上げ、自分以外のせいにする傾向があります。病気も同様で、自分の不摂生な生活ぶりをすっかり忘れ、「病原菌のせい」にしている人が多いのです。これは自然界だけでなく、社会現象にも通じます。防犯においても、堅固な備えがあれば泥棒は入れませんし、誘惑にしても、本人の意志がしっかりしていれば、いくら甘い言葉で誘われても陥ることはないのと同じです。
このように、どのような場合でも「内因性」を強化しておくことが先決であり、最も大切であることが分かります。
では、病原菌に冒されない体と、冒されやすい体は、どのようにして作られるのでしょうか。
まず、人体の生成を大きく分けて考えてみると、「大気(呼吸)」と「飲食物」によって作られていることが分かります。特に肉体を形成している原質は飲食物であり、この飲食物の「適・不適」が、人体にとって重要なカギを握っていると言えます。
飲食物の内容や摂り方が正しければ健全な肉体が作られますが、もし体質に合わない食事、過剰または不足した量、不適切な摂り方をしていれば、体に歪みを生じ、バランスを崩し、菌に冒されやすい体が作られてしまうのです。
もちろん、体は飲食物だけで作られるのではなく、精神作用、睡眠、そして「天食」である大気や住居環境など、あらゆる条件が複雑に交錯し、営まれることで維持されているのです。










今回の講義の概要
病気はウイルスや細菌(外因)単独で起こるのではなく、それらの侵入を許してしまう身体の隙、すなわち体力や抵抗力の低下(内因)が根本的な原因である。
同じ環境でも病気になる人と健康な人がいるのは、日頃の不摂生や過労が内因を作っているからであり、病気の多くは自らの生活習慣が招いた結果である。
病原菌に冒されない体を作るには、肉体の材料となる「飲食物」と「大気(呼吸)」の質や摂り方を正し、内側から抵抗力を強化することが最も重要である。