東洋医学講座 408

東洋医学講座 408 腎と冬

冬は「蓄える」季節 ー 自然の求心作用と腎を養う過ごし方

冬になると、なぜか活動的になれず、内にこもりがちになることはありませんか?それは怠けているのではなく、自然のリズムに身体が順応している証拠かもしれません。東洋医学では、冬はエネルギーを内側へ集める「求心作用」の季節であり、生命力の源である「腎」を養うべき最も重要な時期と考えられています。本稿では、この自然の法則に沿った冬の過ごし方と、やってはいけないNG習慣について探ります。


この記事を読めば、東洋医学について理解できるかと思います。分かりやすく、丁寧に解説するので、ぜひ一緒に学びましょう!

今回の講義の概要

  • 冬はエネルギーを内に蓄える「求心作用」の季節
    冬の寒さは身体のエネルギーを中心(腎)に集める「求心作用」を促し、春への活動エネルギー(内燃力)を蓄えます。これは夏に外へ発散する「遠心作用」と対をなす自然なリズムです。
  • 冬の無理は腎を傷つける「自剋」行為
    腎を養うべき冬や夜に、過度な活動や冷たい飲食物で身体を冷やすことは、自らの生命力を削る「自剋じこく」行為であり、回復困難なダメージにつながるため最も避けるべきです。
  • 最高の養生は「休息」
    腎は身体の深い場所にあるため、不調に気づきにくい臓器です。冬は自然のリズムに従い、夜は早く休むなど休息を十分に取ることで、意識的に腎を養うことが賢い生き方と言えます。

腎と冬

腎は冬の気に左右される

冬の「求心作用」と夏の「遠心作用」

東洋医学において、春夏秋冬の四季と五臓には深い関連があります。これは、人間の機能が自然の働きに順応していることを意味し、ある意味では、私たちは自然の大きな力によって生かされているとも言えるのです。四季のリズムに従って、臓腑を中心とした身体組織は活動しています。

この春夏秋冬の四つの大きな変化(四大変化)の土台として、季節の変わり目を支える「土」の性質があるため、全体では五つの大きな変化(五大変化)となります。その中で、腎系統は「冬」の気に最も影響されます。

冬は、寒さによって身体が自然と身固めをし、エネルギーを内に収斂させます。その結果、中心に力が集まる「求心作用きゅうしんさよう」が働き、春に向けてのエネルギー、すなわち「内燃力ないねんりょく」を創り出します。

これに対し、夏は力が外へ向かって発散される「遠心作用えんしんさよう」の季節です。春夏の「陽遁ようとん」の時期には、内に蓄えられたエネルギーが外に向かって活動的に発揮されます。

寒さが増せば増すほど、この求心性は強くなります。力は身体の中心に向かって絶えず集まるため、腎の働きが活発になり、エネルギーの貯蔵(蓄力)が増します。この蓄えられた力こそが、次に来る春夏の「陽遁」の原動力となるのです。このサイクルは一日の中でも繰り返されます。夜は温度が低くなるため、身体は求心性となって休息し、腎が働いてエネルギーを蓄えます。そして、朝になるとそのエネルギーが外に向かって発動するのです。

この「求心性」と「遠心性」という考え方は、人生の過ごし方にも応用できます。例えば「八方塞がり」で何をやってもうまくいかない時期は、冬のようにじっと動かず、内なる力を充実させることに専念すべきです。そうして蓄えた力を、運気が巡ってきたときに存分に発揮することが、その時期を有効に活用する方法と言えます。

勉強もまた、知識を内に蓄える「求心性」の営みです。十分に知識を蓄えたら、今度はそれを社会で活かす「遠心性」の段階に移ります。しかし、常に覚えておくべきは、求心の中にも遠心の要素が、遠心の中にも求心の要素が重なり合っているという陰陽の複雑さです。この多層的な視点を心に留めておくと、人を診る際にも、表面的な状態だけでなく、その中心にある働きまで見通せるようになります。

冬の養生と「自剋」について

冬や夜は、腎を養うべき大切な時期です。この時期に腎を傷つけることは、自らバランスを崩す「自剋じこく」行為であり、非常に危険です。外からの要因によるダメージは、自分がしっかりしていればある程度防げますが、自らの不摂生による内からのダメージは、致命的になりかねません。

例えば、夜間に冷たいビールやジュースなどを飲むことは、水(腎)の気が盛んなときに、冷たさ(水の性質)で腎を直接傷つける行為です。これは、いわば自らを消耗させる自殺的行為とも言え、最も避けるべきことの一つです。

腎は身体の深い場所で働くため、多少機能が低下しても、すぐには表面に症状として現れません。そのため、不調に気づいたときには、かなり弱ってしまっていることが多いのです。腎系統は一度ひどく傷つけてしまうと回復が難しく、他の臓器の機能が回復しても、腎だけは元に戻らない場合も少なくありません。

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