腎と膀胱 ー 尿トラブルから探る水分代謝と気化作用の深いつながり
東洋医学において、膀胱は単に尿を貯蔵・排泄する器官としてだけでなく、生命活動を支える「腎」と密接に連携し、体内の水分バランスやエネルギー生成(気化作用)に深く関わる重要な臓腑と捉えられています。本稿では、腎と膀胱の兄妹のような関係性や協調した働き、膀胱の具体的な機能、そして関連する主な病症について詳しく解説していきます。
この記事を読めば、東洋医学について理解できるかと思います。分かりやすく、丁寧に解説するので、ぜひ一緒に学びましょう!
今回の講義の概要
・腎との連携と活動時間
・水分コントロールのメカニズム
・気化作用によるエネルギー生成と循環
腎と膀胱
膀胱は腎と壬癸のような兄妹拮抗にあり、尿の排泄を司ります。腎が申子辰(午後3時~午前9時頃)の刻に働くのに対し、心とともに寅午戌の刻(午前3時~9時頃)に働き、腎と協同しながら時間的に対比しています。
膀胱は腹腔下部に位置し、三焦から送られた水液が帰集する場所です。腸の熱によって気化運動が促され、下焦の活気をつくり、営気と衛気の循環を助ける働きをしています。
(下腹部まで冷えると小便が近くなり、温まると長く保てて、心臓循環への負担も軽減されます。)
≪膀胱の病症≫
≪膀胱と関連する臓器≫
≪膀胱の働き≫
⑴水分コントロールの種類と原因
①発熱時は尿量が減る傾向にあります。これは、体温上昇により血液循環が促進され、より多くの血液が各組織で必要とされるため、膀胱へ送られる水分量が減少するためと考えられます。また、膀胱に溜まった水分を排泄するには気が必要となりますが、発熱時はその気も消耗しやすいため、水分が体内で蒸発し、結果として排尿量が減少し、尿の濃度が高くなることがあります。
②冷えによる頻尿は、血液循環が緩慢になることで腎臓での水分代謝が十分に行われず、結果として膀胱へ送られる水分量が増加するために起こると考えられます。また、体内に水分が過剰に存在すると冷えを助長するため、身体は水分を排泄しようとします。さらに、膀胱の気化機能が低下することで、尿を濃縮する力が弱まり、尿量が増えることも頻尿の一因となります。
③昼間の多尿は、夜間に比べて心臓の活動が活発になり、血液や水分代謝が盛んになるため、水分コントロールがより頻繁に行われることが原因として考えられます。
④夜間の尿量減少は、昼間に比べて血液循環が緩やかになり、代謝活動も低下するためと考えられます。
⑵気化作用
小腸の熱気によって膀胱の水分が気化し、その気は(寅午戌の刻(午前3時~9時頃)に)日中の活動を支える源となります。昼間は心臓の働きと協調して、気化作用を活発にします。
夜間は心臓とともに休息し、気化作用も穏やかになります。
血液循環が活発な時は、気の巡りも速くなります。そのため、より多くの気を必要とし、膀胱の働きも活発になります。一方、血液循環が緩慢な時は、必要な気も少なくなり、気化量も減少し、膀胱の働きも穏やかになります。
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